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DIDあるあると視機能異常あるある

私達には、この器自体にもその傾向があるためもあるのか、視機能に異常を持つ者が多くいます。
その上、視機能が弱い者ほど代々表意識を持った時に、存在力(意識保持)も精神的にも安定している者が多いのです。

しかし!
DID(解離性同一性障害)と視機能弱者というのは、兼ね合うといろいろ都合がよろしくない…

というのも、視機能が弱い人達というのは後程説明加えますが、日常生活基本的に

●自分の記憶と経験と連続性(状態が継続していること)に頼るところが非常に多い

のです。

当事者の方ならもうわかりますよね?^^;

DIDというのは、

●「記憶」と「経験」と「連続性」が欠落する障害

なのです…

なので、この人たち、表に押し出される機会が大変多いものの、日常生活、必要以上に困ることの連続です

「へぇ~!」という程度にご査収いただいたら面白いかもしれません…(笑)

目次

  1. 視機能弱者は記憶と経験に頼る部分が多い

  2. 交代人格は経験が少ない

  3. 視機能弱者は…急げない?

  4. 交代人格、外から見てわからない

  5. おわりに

視機能弱者は記憶と経験に頼る部分が多い

視機能が弱く周囲の物を目で確認することが難しい人達は、目で認識できていない分をかなり多く記憶と経験でカバーします。

というのは、例えば部屋の家具の配置にしても私物の置き場所にしても、自分で位置関係を一度確認したらそれを覚えて、記憶の中で位置関係をマップのようにして、移動の時ぶつからない動線で動いたり必要な時必要な場所に必要な物を取りに行ったりします。
この記憶がなければ、毎回端っこから全て手探りでなければ何もわからなくなってしまう。見え方の度合いにも勿論よりますが、視機能がうまく使えないと少なくとも「探し物」は非常に苦手となります。
記憶がなければ、どこを探せば良いのか、そもそも探し物があるのかどうかすら、わからなくなってしまいます。

また、家具にしても道具などにしても、どういう手触りでどういう形状でどういう風に使う物かを記憶しているからこそ、使える。
形状が似たようなものが複数あったら特に、手触りや各特徴の違い、置き場所の違いで記憶しておいて判断する。

消耗品などは特に、買っておいた記憶やどれくらい使ったかの記憶、どこにしまっておいたかの記憶でストックの管理をする。これ、わからなくなると雪の中にどんぐりを隠し貯蔵しておいた栗鼠状態で、大変なことになります。

ちなみに最近日常生活をほぼ担っている人(物の視認識はほぼ完全に不可能)によると、日常の食糧(乾物・調味料などの食糧庫と冷蔵庫)の管理は非常に難しい!とのこと。
買い足したらいちいち覚え直していられないし、作ったものや減ったもの、いつまでに使った方が良いなどのものは特に覚えきれない。新鮮さの確認などはほぼ不可能、部屋に冷蔵庫&食糧庫の中身を全て点字で書き記しておくという手も考えたが、常に変動するため、点字はいちいちの特に部分的書き直しが物凄く大変。

…そしてこれらが、DIDの場合、更に更に大問題。

DIDは(私達の場合は)、「交代」があります。
意識を一度明け渡してしまうと、そこでその人の表での記憶は途切れ、次いつ浮上するかもわからないわけです。
他の人が意識を支配している間に、物の位置は変わり、消耗品は使われあるのかないのかもわからなくなり、新しい物は増え、いつの間にか処分されてあったはずのものがなくなり、下手したら家具の位置もがらりと変わって(特にこの家はよくある…)、見えない人にとっては新居か他人の家状態に(彼らにとっては実際他人の家なんですけどね)。

出掛けた時、出かけ先で交代した時、自分が準備したわけではない他人の鞄状態なので持ってきたものや自分の鞄の中身がわからない。
携帯などは最近はやり方を覚えてさえいれば使いやすいように設定やアイコン配置をしてあるので、拡大鏡モードや音声モードに自力で切り替えられる人が増えてきました(それでも滅多に使いませんが)。
実は、時計に関しては、視機能弱者が出ることが多いのがわかっているので、そもそもみんな腕時計よりも触読時計を持って出ることが断然増えました。時計見るのに苦がない人にとっても触読時計は色々便利ですし。
行き先や乗る電車の時刻などのメモに関しても…特に出先で交代する可能性があるという場合は、黒メモ帳に白ペンで大き目太目の字で書いて持って出ることも、弱視者の交代が多い時は良くしていました(逆に読みにくくなる人もいるのですが!)。
外でメモしたいことができた時、光を見ることがキツかったり(携帯やアプリの拡大鏡など使えない)、メモ用紙にペンで書いても(文字が小さかったり線が細かったりして)自分で書いても何と書いたかちゃんと書けたか見えない人が出てくることもあるので、小さいミニ点字器と小さいメモ帳をくっつけておいたものをすぐ取り出せるようにしておいたりも良くします(本当に小さいものなので簡単な単語メモ程度にしか使えませんが、それでも金額や日付を記しておいたりしたい時など、自分で書けたかインク出ているかもわからない字で書き殴ったり音声メモでデータどこ行ったか自分で確認したりできないようなものよりは安心感があるようで、黒メモ帳と同じように案外使われています、その代わり他の人が解読大変だったりするんですけどね)。
そしてこれはそもそも器の視覚過敏の波が大きいわけですが、遮光グラスを持ち歩く場合も増えました、2種類以上持つ時も(眩しい季節突入もあるし)。
そして単独外出の際、出先で突然交代してしまった場合もしもの時のために、「視覚過敏」の表明札をヘルプマーク代わりではないですが鞄につけることも多いです。

出掛けた時関連ですが、場所に関しても、「交代」はクセモノ。
いつどこで交代するかわからない解離者は、そうでなくとも突然交代すると「ここどこ?!」状態になります。大抵、一生懸命なにげない行動を装いながら周りの景色見まわしたり記憶と照合したりしてここがどこだか確かめるのですが、これが視機能が弱いと、その場でフリーズせざるを得なくなってしまうのです。その上、自分が今いる場所がどこか、周囲の物との位置関係すら、確認の方法がない場合も多い。
周りの人間に聞くか(聞ければですが)、理解者にビデオ通話して周囲の景色を見てもらい手掛かりを教えてもらったり(実際やったことがあります)、もしくは晴眼の人格が交代してくれるまでその場で待ったり、内部の晴眼の人格に情報を確かめたりできる人はその前に出ていた人や状況を知っている人の記憶をまさぐって奪取したり。
一番すごい例では、やはり視機能弱者が突然押し出される可能性がかなり高かった時期で天候に拘わらず長い傘を持ち歩く(交代してしまった時の探り杖だけでなく、気配恐怖が多かったのでパーソナルスペースをとったり護身用にも役に立っていた)習慣があった時、案の定知らない場所で突如光覚しかない人が押し出され交代不可能になってしまった時があり、ただその人は極めて内部管理能力に長けており、その場所を良く知っている人の記憶を詳細刻銘に探り出しそれを脳内マップに、傘の探り杖と鋭い気配察知能力で、何とか器を帰宅させた…という信じがたいほどの武勇伝があります。

さて、その上、DIDの場合は、個人の記憶も突然消えたり、曖昧になったりする場合があります。我々の場合、一度内部に戻ったり出てきたりした時に顕著な場合がありますし、表にいる時にふっと記憶が抜き取られる(思考奪取)ようなことも良くあります。
なので、基本的に「自分の記憶」というものが信じられない状態にあるのです。
自分の記憶が正しいかどうかは、視覚情報が弱い者達にとっては死活問題に直結しやすいのです。

交代人格は経験が少ない

また、解離者は、「経験」に関しても難があります。
記憶が人それぞれ分かれているため、器としてはそれだけの年数生きてあらゆることを日常で経験していても、その「各個人たち」は、ひとりひとりとしては非常に人生経験が少ないのです。
その上に日常生活の代行に困難がある者たちはなるべく日常で押し出されないようにがんばっていたりするため、尚更経験していないことが多かったり、経験していることが偏っていたりします。
なので、器としてはわかっている手順でも、使い方がわからなかったり、似たようなものを使った経験から新しいものの使い方が予測できたりしやすいのにその予測も利かなかったり、その上視覚情報がなく音や手探りが頼りだったら尚更代行困難なのですよね。

更に日常、彼らなりのやり方ならば案外できることも多いのですが、見た目を取り繕うために器と同じやり方をしなければならないことが多い。そうすると結局代行困難なので、どんどん押し出されることを恐れたり押し出されないよう必死にエネルギーを費やしてしまって、更に更に、ふと押し出されてしまった時に状況に対応できない…というスパイラルに陥ってしまうのです。
その上、彼らは表で流すべき内部の感情を溜め込んで預かっていたりする場合もあるので…そういうものも一緒に抑え込まれてしまったり、そもそも表に押し出されやすい者がひたすら抑え込まれたりしてしまうと、内部バランスもどんどん崩れてしまうので、全体としても死活問題に陥って行ってしまうのです。

更に彼らは(私達の場合、です)表に一度出ると非常に安定する場合が多い。つまり、不安定な時期の一貫性の欠如やポップアップも防いでくれるのです。

視機能弱者は…急げない?

最後に、これは交代人格(DID)に限らないのだと思いますが、視機能が弱い人達は、急げない…ということを、私達は痛感しています。
足元や周囲を認識しづらいと、どうしても素早い行動ができなくなります。
私達は表に出ると、元々のこの器の運動失調の影響も受けるため、基本的に元々素早い行動や激しい行動ができません。
が、これは視機能がうまく働いていないときに増長されるので、恐らく視機能が弱い方はこの傾向があるのだと思います。慣れた場所や慣れた行為でも、ある程度素早い行動は訓練次第で可能かもしれませんが、「急ぐ」ということはできません。目測を誤ったりわからなくなったりします。特に移動は。
しかも私達は、目で認識するより早く反応できる気がして感覚的に目よりも先に音や手探りで周囲を判断していたりすることがあります。「(ある程度)見えているつもり」なのに実は認識できていない、ことも多いので、判断を誤りやすい部分があるのです。
その上見え方が人によっても違い、更にはひとりひとりが表で生活している時間(経験・慣れ)が少ないのですから、なおのこと慎重にならざるを得ないのだと思います。

交代人格、外から見てわからない

交代人格は、器と違う度合いや種類の症状を呈していたとしても、外からはわかりません。
いや、これは交代人格にも限ったことではないですね。日常生活にかなり困難をきたすほどの症状を持っておられる方でも、障碍者手帳の申請が通らず社会的に「障碍者」枠でない人もいますし、視機能の問題だけで見ても、全盲の方はともかく弱視や視野狭窄、動体視力が弱い人などは外から非常にわかりにくい。多少挙動不審があっても、「見えてはいる」ということは周囲の目からわかるので、じゃあ何が問題なの?となってしまいやすい。
そして交代人格の場合は、これが交代した途端に劇的に変わってしまいます。極端な話、器だけ見ていたら、子供っぽい人格から交代して突然大人だけど目が見えない状態に変わり、そこから交代したと思ったら目はいきなり見えてるけど腰から下が全く動けない人に代わって立ち上がれない状態になったりすることもある。
今回は視機能の話にしているので視機能を例にとりますが、普通に弱視の人や目の悪いお年寄りなどでも周囲から理解されないのに、普通に見えている人格が突然視覚情報の取得が困難な人に代わってしまうと、社会的な助けは本当に得られにくいわけで。
「交代人格なんか代われば事なきを得るだろ?」と言われるかもしれません。私達は実際一生懸命何とかして交代したり押し出されないよう必死にあの手この手で耐えたりしてほとんど乗り越えてきました。
ただ、抑え込まれれば抑え込まれるほどそれは長く続かず、ある時一気に押し出されてしまうようなこともありますし、先程も書きましたが殊に私達の場合視機能が弱い人には精神的に安定感があったり表に出ていやすかったり出たら交代しにくい人が多い。
その上、解離者の「交代」というのは、無理やり抑え込むと内部バランスがそこで崩れてしまうことも多い。
だから、今この瞬間抑えれば事なきを得るというものではないのです。
それに、何より「押し出されてしまった時」には。
押し出されてしまった本人は、そして内部との意思疎通がとりにくかったり内部に戻って誰かと交代したりできない状況になった時は、本人は「現実問題」困るのです。本人は器の視機能を使いこなせないのですから。
更には、この器自体にも実際視機能の異常や視覚過敏があるので、際どいグレーゾーンながら表に出ている人と器との相性なども重なり突如見えているつもりで視覚認識が甘くなっていて道で怖い思いすることもあります。

一部の交代人格の症状なんて記事にしたって何の意味もないだろうともしかしたら思われる場合もあるかもしれませんが、交代人格であろうと脳の視野を司る部分の障碍であろうと目の障碍であろうと、一時的な発作的なものであろうと永続的なものであろうと、本人は日常生活で実際問題困るのです。
それに、原因は違っても症状や困っていることに同じものがあるならば、周囲ができる手助けや、乗り越えるアイディアなどという面においては、記事として有用であると思いますし、原因が違う人の場合でも共通項があるので情報発信や認知を広める情報の一端になると思います。

おわりに

今回、解離性同一性障害の交代人格で視機能が弱い人達のあるあるを並べてみました。

物を見ることが大変な人本人が記事にすればもっといろいろ当事者目線で出てくるのかもしれませんが、彼らはこうして画面を見て文字を打ち込んで記事を書くこと自体がやはりなかなか難しいもので、彼らが浮上しているのを見ている中で感じたことや、彼ら本人達と言葉を交わしてその中で得た情報を記事にしてみています。

恐らく、「交代人格&視機能弱者」という独特な特徴もあるかもしれませんが、解離の人にもあるあるのこと、視機能が弱い人達にとってあるあるのこと、両方あるのではないかなと思います。

また、こういう一見変わった(?)角度から記事を書くことによって、先程も書きましたがDIDの人の特徴や理解・手伝いが必要なこと、視機能が弱い人達の特徴や理解・手伝いが必要なことそれぞれに、他の記事でなかなか出て来ない部分が出てきたり考察しやすくなる部分もあるかもしれない、と思います。

もちろん、あくまでもこれは私達のあるある事例です。
多かれ少なかれ共通点はあるかもしれませんが、DIDにせよ視機能が弱い人にせよ、その状態というのは人それぞれ違います。
しかし、認識や考えるきっかけのひとつになれば、嬉しいです。

興味深いと思われたらいいねやフォロー、コメントもぜひ残していってください。

それではまたお会いいたしましょう。

(ほぼ全記事に対することなのですが、非常に長文が多いので、記事内容を音声データや動画にしたものも近々制作して挿入しようと思っています。私達自身、文章を書き始めると長文になってしまう傾向があるものの、読む立場は疲れるので…)

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