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不思議な砦

天使と呼ばれる存在はメロンパンナちゃんみたいにラブリーなタイプもいれば、官庁のお偉いさんみたいに頭の固いタイプもいた。

仏さま系の存在方は、穏やかで温かみのある何でも受け止めてくれそうなタイプもいるし、自分たちに近い仏さま系(ご先祖さまとか)は、やたらとお節介好きのおばちゃんみたいなタイプによく出会った。

神様の近くにいる存在は、どちらかと言うと寡黙で物静かなタイプが多いけど、妙に高飛車なタイプのヤツもいたし、ちょっと一言多いタイプもいた。

うちの家はやたらと様々な次元の存在が多く訪れる。なんていうか、異民族がシェアハウスしてるみたいな感覚。

でも皆、自分の領域や次元をよく理解していて、それぞれの領域を侵すようなことはしない。

皆お互いにつての疑問や質問をし合い、それぞれの違いを認識している聡明で賢い存在ばかりだった。

たまに、場違いな次元の低い輩が現れたら、みんな面白いほどにサーっと何処かに散っていく。

えー、さっきまで大盛り上がりだったのに〜笑笑。みたいな事が多々あった。

皆、本当に賢い。


私に憑いた害虫の行動がエスカレートしだした頃。

悪い噂というのは、人の世でなくてもあっという間に知れ渡るらしく、家にたくさん来ていた爽やかな存在たちは寄り付かなくなってしまった。

そのせいでか分からないけど、家にはジメジメとした空気が広がり、風が通らなくなった。

除湿のために付けたエアコンのせいで、観葉植物の葉が何枚か駄目になってしまった。もうすぐ成長期なのに最悪だ。

些細なことですぐイライラするようになっていて、感情や精神は乱れ易くなっていた。


あぁ、みんなまた戻って来ないかな。柊に会いたいな。ベラやベーテは元気かな。みんなとの不思議な生活が昨日のことみたい。

時間が経つにつれて、白い半透明の柔らかいものに包まれるように霞がかっていく記憶。

あれはもしかして夢だったのかしら…とか考えてしまう。

輪郭が持たないから、消えたら捉えられない気がする。

もう一度鮮明にみんなを思い出したい。

ひとりひとりのことを。

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