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あのバス会社が鉄道運営?和歌や小説、ワイドショーの舞台となった地方のお話(勝手に鉄道検定:問221~問230解説記事)

ご覧いただきまして、ありがとうございます!
この記事では、問221~問230の「解答・解説」をします。

タイトルにあるお話は、「解答・解説」の中で登場します。
この記事は、問題文を見たすぐ後に「解答・解説」が始まる構成です。

「解答・解説」を見る前に問題を解いてみたい方は、下記リンクからご参照ください。

【凡例】
出題日 : 問題の難易度
 問題の概要(出題記事へのリンクを張っています)


問221 (2021/01/26) : ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(Lv. 1)
 北近畿へ向かう特急が発着しない駅

問222 (2021/01/27) : ★★☆☆☆☆☆☆☆☆(Lv. 2)
 特急きのさきでアクセスできる温泉地

問223 (2021/01/28) : ★★★☆☆☆☆☆☆☆(Lv. 3)
 特急はしだてでアクセスできる景勝地

問224 (2021/01/29) : ★★★★☆☆☆☆☆☆(Lv. 4)
 宝塚駅や三田駅を経由する特急列車

問225 (2021/01/30) : ★★★★★☆☆☆☆☆(Lv. 5)
 北近畿を走る「丹鉄」の正式名称

問226 (2021/01/31) : ★★★★★★☆☆☆☆(Lv. 6)
 丹鉄を走る予約不要の観光列車

問227 (2021/02/01) : ★★★★★★★☆☆☆(Lv. 7)
 今は丹鉄を走らない特急列車

問228 (2021/02/02) : ★★★★★★★★☆☆(Lv. 8)
 「丹後の海」について間違っていること

問229 (2021/02/03) : ★★★★★★★★★☆(Lv. 9)
 特急はまかぜが停車しない駅

問230 (2021/02/04) : ★★★★★★★★★★(Lv. 10)
 特急きのさき・快速大江山が経由する駅

それでは、「解答・解説」に移ります。

この記事では、下記の北近畿に関する図を何度か参照します。
今見た時点では何のことか分からない方にも、この記事を読み終えた頃には少し理解できるようになっているような記事であれば幸いです。

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問221の「解答・解説」

【問221】北近畿(京都府・兵庫県の北部)にある駅を終点とする特急列車が発着する駅として、間違っているものはどれか?

1. 札幌駅
2. 京都駅
3. 大阪駅

正解は、「1. 札幌駅」です。
札幌駅(北海道)から北近畿(京都府・兵庫県)への特急は存在しません

北近畿周辺の地図

問題文にある通り、北近畿京都府北部兵庫県北部を指す言葉です。
この後の問題にも関連するので明言はしませんが、有名な温泉地や景勝地があります。

北近畿への玄関口となる駅は、京都駅大阪駅です。
京都駅・大阪駅から北近畿へと向かう特急列車は、大きく分けて5つです。
こちらも、この後の問題に関連するので現時点では伏字とします。

【京都~北近畿】
・???
・???
・???

【大阪~北近畿】
・???
・???

北近畿へアクセスできる特急は、この5つのみです。
札幌駅から北近畿へ向かう特急は存在しませんので、ご注意ください。


ちなみに、北近畿は関係ありませんが、かつては札幌駅から大阪駅へ向かう特急列車が走っていました。
それが、寝台特急「トワイライトエクスプレス」です。

日本海側を経由し、青函トンネルを通って大阪駅~札幌駅を結びました。
現在、在来線の旅客列車は基本的に青函トンネルを通れません
基本的に青函トンネルを通るのは、北海道新幹線貨物列車です。

しかし、在来線の旅客列車でも青函トンネルを通るものがあります。
それが、豪華クルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」です。
TRAIN SUITE 四季島(トランスイートしきしま)はJR東日本が所有する豪華列車ですが、JR北海道の区間にも乗り入れることがあります。


また、JR西日本の豪華クルーズトレインは「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」といいます。
TWILIGHT EXPRESS 瑞風(トワイライトエクスプレスみずかぜ)は、前述のトワイライトエクスプレスとは異なりますが、コンセプトは引き継いだ形となっています。
大阪駅~札幌駅を結んでいたトワイライトエクスプレスを初代、瑞風のことを2代目と呼ぶこともあるそうです。


札幌駅という選択肢は、地理的にも遠いことからダミーとして選びました。
しかし、初代トワイライトエクスプレスで関西圏との繋がりはあったので、このように補足させていただきました。

話は豪華クルーズトレインの方に逸れましたが、こういった列車があることも知っていただけると嬉しいです。
ちなみに、JR九州にも豪華クルーズトレインがあります。
こちらは、是非ともご自分で調べてみてください!


話を北近畿に戻しまして、北近畿へ向かう特急についてまとめます。
問221では、京都駅および大阪駅から北近畿へ向かう特急が出ていることが分かりました。


問222の「解答・解説」

【問222】特急きのさきは、京都駅~〇〇温泉駅を結ぶ。〇〇に入る、兵庫県の温泉地はどこか?

1. 有馬
2. 城崎
3. 熱海

正解は、「2. 城崎」です。
特急きのさきは、京都駅~城崎(きのさき)温泉駅を結びます。

特急きのさきは、京都駅の嵯峨野線ホームから発車します。
嵯峨野(さがの)線は愛称であり、正式には山陰本線の一部になります。

京都駅の山陰本線(嵯峨野線)ホームは、30番線~34番線です。
京都駅の一番北側にあるホームの一番西側に30番線~34番線があります。

ちなみに、京都駅の一番北側にあるホームは0番線でもあります。
0番線と30番線のホームは繋がっており、この長いホームの東側が0番線で、西側が30番線となります。


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こちらが、特急きのさきです。
列車名を表す表示が紫色であることが特徴です。
北近畿へと向かう他の特急も同じような色や形をしていますので、列車名の色も確認しながらご自分が乗りたい列車かどうかをお確かめください。

北近畿へ向かう特急列車について、ここまで分かったことをまとめます。

【京都~北近畿】
・きのさき(京都~城崎温泉)
・???
・???

【大阪~北近畿】
・???
・???


城崎温泉(きのさきおんせん)は、小説にも登場する有名な温泉地です。
その小説とは、志賀直哉(しがなおや)作の『城の崎にて』です。

『城の崎にて』は、志賀直哉が山手線の電車にはねられ重傷を負ったのち、城崎温泉で療養をしたという実話がモデルになっています。
このとき、志賀直哉が宿泊した旅館が三木屋旅館だと伝えられています。


他の選択肢についても解説します。

有馬(ありま)温泉は、日本三名泉にも数えられる歴史ある温泉地です。
城崎温泉と同じく兵庫県にありますが、地理的には離れています。
アクセスには、神戸電鉄有馬線が便利です。

熱海(あたみ)温泉は、東京都心からも近い静岡県の温泉地です。
普通列車はもちろん、東海道新幹線サフィール踊り子で熱海駅へ向かうのも良いかもしれません。
ちなみに、太宰治が熱海を旅行したときの出来事が『走れメロス』のモデルとなったと言われています。


話を北近畿に戻しまして、北近畿へ向かう特急についてまとめます。
問222では、京都駅~城崎温泉駅を結ぶ特急列車が「きのさき」であることが分かりました。

下記の図では、紫色の線で描かれたものが「きのさき」です。

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問223の「解答・解説」

【問223】特急はしだての停車駅が最寄り駅となる、日本三景にも数えられる景勝地はどこか?

1. 保津峡
2. 大江山
3. 天橋立

正解は、「3. 天橋立」です。
天橋立(あまのはしだて)へのアクセスには、特急はしだてが便利です。

特急はしだては、京都駅~天橋立駅を結びます。
北近畿方面へと向かう全ての「はしだて」が、京都駅を始発駅とします
そのうち一部の列車は、豊岡駅宮津駅が終点となります。

豊岡行の列車は天橋立駅を通りますが、宮津行の列車は天橋立駅までは運転しません
宮津行の「はしだて」が宮津駅に到着するのは22時半ごろなので、天橋立を観光する目的で乗る方は少ないかと思いますがご注意ください。

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「はしだて」の画像を持っていないので、こちらで代用して説明します。
「きのさき」の表示は紫色ですが、「はしだて」赤色です。

「はしだて」も「きのさき」も、特急列車の外見は(基本的に)同じなので乗り間違いにはご注意ください。
とは言え、「はしだて」と「きのさき」を間違えるケースは少ないです。
これらが同じような時間に発車することは無いので、車両以前に時間を確認することで乗り間違いを防止できます

しかし、京都駅を発車して北近畿へ向かう特急列車が他に1つ存在します。
その特急と「はしだて」「きのさき」を間違えるの可能性はあります。

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それが、特急まいづるです。
「まいづる」の表示は橙色です。

京都駅~東舞鶴駅を結ぶ列車で、途中の綾部(あやべ)駅で「きのさき」や「はしだて」と連結・切り離しをします。
「はしだて」の車両に乗っているつもりが「まいづる」だった、ということもあり得ますので十分にご注意ください。


「はしだて」「きのさき」「まいづる」はJR山陰本線(嵯峨野線)の線路を通って北近畿へと向かいます。
「きのさき」「まいづる」は全区間がJRですが、「はしだて」は違います
「はしだて」は福知山駅から丹鉄(たんてつ)に直通します。
丹鉄は、北近畿を走る私鉄です。

JRか私鉄か、ということはあまり気にする必要が無いかもしれません。
しかし、料金面などで違いが出てきますので、福知山駅から丹鉄に直通することは頭の片隅に留めておいても良いかもしれません。

北近畿へ向かう特急列車について、ここまで分かったことをまとめます。

【京都~北近畿】
・きのさき(京都~城崎温泉)
・はしだて(京都~天橋立・豊岡【丹鉄直通】)
・まいづる(京都~東舞鶴)

【大阪~北近畿】
・???
・???


問223の解説の最後として、日本三景他の選択肢に関して説明をします。

日本三景とは、特に美しい日本の景勝地をまとめたものです。
北から順に、松島(宮城県)天橋立(京都府)宮島(広島県)です。
天橋立は海の中に道ができたような景色が有名です。

天橋立ビューランドなどから俯瞰して楽しむのも良いですが、白い砂と青々とした松を見ながら歩くのも良いものです。
歩いたのは途中までですが、天橋立の様子はこちらをご覧ください!


選択肢にあった保津峡大江山は、どちらも「はしだて」が通る駅が便利な京都府にある名所です。

保津峡(ほづきょう)は、京都駅からそう遠くないにも関わらず自然豊かな渓流が楽しめるスポットです。
最寄り駅は保津峡駅ですが、「はしだて」も快速も停まりませんのでご注意ください。
船での保津川下りも楽しめます。

大江山(おおえやま)は、ブナの原生林雲海などが楽しめる山です。
百人一首では小式部内侍(こしきぶのないし)の和歌にも詠まれている歴史ある場所です。
最寄り駅は「はしだて」が停車する大江(おおえ)駅です。
目的のスポットによっては、他の駅の方が近い場合もあります。

最後に、大江駅の近くに貼られていた小式部内侍の和歌を共有して、この話を終わりたいと思います。

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大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみも見ず 天の橋立
(百人一首 60番 小式部内侍)


話を特急に戻しまして、北近畿へ向かう特急についてまとめます。
問223の解説では、京都駅と北近畿を結ぶ3つの特急が分かりました。

下記の図では、橙色の線で描かれたものが「まいづる」、ピンクの線で描かれたものが「はしだて」です。
「はしだて」「きのさき」「まいづる」が京都駅を発着し、途中の綾部駅で「まいづる」が東舞鶴駅方面に分岐することが分かります。

「はしだて」の特急名の表示色は赤ですが、諸事情により図中ではピンクを使用しています。

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問224の「解答・解説」

【問224】新大阪駅~城崎温泉駅を結び、途中で宝塚駅や三田駅にも停車する特急列車は何か?

1. はまかぜ
2. こうのとり
3. スーパーはくと

正解は、「2. こうのとり」です。
特急こうのとりは、JR福知山線経由で新大阪駅~城崎温泉駅を結びます。

「こうのとり」は、新大阪駅~城崎温泉駅を結ぶ特急列車です。
新大阪駅、大阪駅、尼崎駅の順に停車し、尼崎駅から北近畿方面へと向かうためにJR福知山線を経由します。
尼崎(あまがさき)は、ダウンタウンのお2人の出身地としても有名です。

福知山線は、尼崎駅~福知山駅を結ぶ路線です。
大阪駅~篠山口駅の区間は、宝塚線という愛称でも呼ばれます。

問題文にある通り、「こうのとり」は途中で宝塚駅三田駅篠山口駅などに停車します。
読み方を補足しますと、三田(さんだ)篠山口(ささやまぐち)です。
ちなみに、ラーメン二郎の本店もある東京の三田は「みた」と読みます。

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こうのとり」は、黄色で表示されます。
車両は、京都駅を発着する「きのさき」「はしだて」「まいづる」と同じになります。

特に、城崎温泉駅から京都・大阪方面へ向かうときは注意です。
きのさき」は京都駅へと、「こうのとり」は新大阪駅へと向かいます。
「きのさき」「こうのとり」が似た時間に発車することは基本的に無いですが、発車時刻特急名の表示色などでお目当ての列車かをご確認ください。


はまかぜ」は、大阪駅~鳥取駅を結ぶ特急列車です。
赤い帯の入ったメタリックな車体が特徴的です。
(自分が撮影した写真はありません…)

「はまかぜ」は姫路駅城崎温泉駅などを経由して鳥取方面へ向かいます。
途中の区間では、JR播但(ばんたん)線を経由します。

大阪駅~鳥取駅を結ぶことは事実ですが、鳥取駅を発着する「はまかぜ」は1日1往復のみです。
そして、大阪駅を発車する「はまかぜ」は、そもそも1日に3本のみです。
それぞれ、浜坂駅香住駅鳥取駅を終点とします。

浜坂香住(かすみ)と聞いても「どこ?」となる方が多そうですね。
「はまかぜ」の終点にもなる浜坂駅・香住駅の周辺は、美味しい蟹が有名な場所です。
蟹以外にも、浜坂駅周辺には湯村温泉などの温泉地があります。

こうのとり」は、浜坂駅や香住駅までは行きません
浜坂駅や香住駅がある城崎温泉駅より西側の区間は電化されていないので、電車の「こうのとり」では運行できず気動車の「はまかぜ」なら可能です。

「はまかぜ」は、蟹が食べたい方にとって嬉しい列車かもしれません。
蟹のシーズンである冬期には、臨時特急「かにカニはまかぜ」が大阪駅から浜坂駅までの間を走ります。
また、天空の城として有名な竹田城へは「はまかぜ」(1号・4号)が停まる播但線の竹田駅が便利です。

大阪~鳥取間の移動目的での「はまかぜ」の利用者少ないかもしれません。
では、大阪駅~鳥取駅を移動したい方が利用する特急は何でしょうか?

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大阪方面から鳥取方面への移動は、「スーパーはくと」が便利です。
「スーパーはくと」は、京都駅~倉吉駅を結ぶ特急列車です。
途中、新大阪駅、大阪駅、姫路駅などに停車し、智頭急行線やJR因美線などを経由して鳥取駅やその先の倉吉駅まで向かいます。

大阪駅と鳥取駅を通る、という点では「はまかぜ」と似ています。
しかし、「スーパーはくと」は北近畿と呼ばれる地域を通りません
北近畿は通りませんが、京都・大阪と鳥取方面の移動には便利な列車です。
是非とも、ご利用ください。

北近畿へ向かう特急列車について、ここまで分かったことをまとめます。

【京都~北近畿】
・きのさき(京都~城崎温泉)
・はしだて(京都~天橋立・豊岡【丹鉄直通】)
・まいづる(京都~東舞鶴)

【大阪~北近畿】
・こうのとり(新大阪~城崎温泉【JR福知山線経由】)
・はまかぜ(大阪~城崎温泉~鳥取【JR播但線経由】)
※番外編(北近畿は経由しません)

【京都・大阪~鳥取】
・スーパーはくと(京都~倉吉【智頭急行線経由】)


ちなみに、スーパーはくとに使われる青い車両はHOT7000系気動車です。
HOTは熱いという訳ではなく、3つの単語の頭文字です。

それは、「兵庫県」「岡山県」「鳥取県」です。
智頭急行線が経由するHyogo,Okayama,Tottoriの頭文字を取ってHOTです。

智頭急行線が岡山県を通るのは、少しイメージしにくいかもしれません。
しかし、宮本武蔵の生誕地として伝えられる「宮本武蔵駅」は岡山県にある駅です。
「スーパーはくと」は宮本武蔵駅を通過してしまいますが、ご乗車の際にはH,O,Tの3県を通ること宮本武蔵駅に着目してみてはいかがでしょうか?
智頭急行線には、駅が一面ピンクで塗られた恋山形駅もあります。


話を北近畿に戻しまして、北近畿へ向かう特急についてまとめます。
問224では、大阪周辺~北近畿を結ぶ特急列車には「こうのとり」の他に「はまかぜ」があることが分かりました。

下記の図では、黄色の線で描かれたものが「こうのとり」、赤色の線で描かれたものが「はまかぜ」です。

※「スーパーはくと」は北近畿を通らないので、図からは除外します。

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問225の「解答・解説」

【問225】北近畿を走る宮福線、宮豊線、宮舞線の3路線を運営する「丹鉄」とは、何の略か?

1. 京都丹後鉄道
2. 北丹鉄道
3. WILLER TRAINS

正解は、「1. 京都丹後鉄道」です。
丹鉄(京都丹後鉄道)は、北近畿の観光に便利な私鉄路線です。

問224までは、京都・大阪と北近畿を結ぶ特急列車の話をしてきました。
京都・大阪と北近畿を結ぶ5つの特急は、問224の解説で分かりました。
ここから数問は、北近畿を走る京都丹後鉄道についてのお話になります。

京都丹後鉄道は、北近畿の観光に便利な私鉄路線です。
略称は、丹鉄(たんてつ)です。

京都丹後鉄道では下記の3路線を運営しています。

宮福線(宮津駅~福知山駅)
宮豊線(宮津駅~豊岡駅)
宮舞線(宮津駅~西舞鶴駅)

路線名は全て始点と終点が分かりやすい名前になっていますので、走行する場所のイメージが掴みやすいです。
※宮津駅、福知山駅、豊岡駅、西舞鶴駅の場所を把握している前提ですが…

JR線から直通の特急「はしだて」は、福知山駅から宮福線を通って宮津駅へ到着し、進行方向を変えて宮豊線へと進みます。
天橋立駅は、宮豊線が通る駅です。

小式部内侍の和歌が貼られていた大江駅は、宮福線が通る駅です。
ちなみに、大江駅の近くには河守(こうもり)城と呼ばれる山城が存在していました。
なぜ河守城の話をしたのかは一旦置いときまして、北丹鉄道の話をします。

北丹(ほくたん)鉄道北丹線は、かつて北近畿を走っていた路線です。
福知山駅~河守駅を結ぶ路線でしたが、1971年に営業を休止しました。
その後、1974年には正式に廃止され、会社としても解散しました。

河守駅は前述の通り、宮福線が通る大江駅の近くにありました。
では、宮福線と北丹鉄道は並走をするような形だったのでしょうか?

答えは「いいえ」で、並走はしていませんでした。
宮福線の開業は1988年なので、宮福線と北丹鉄道が同じ時代に走ったことはありませんでした。

宮福線は、1988年に宮福鉄道の路線として開業しました。
宮福線が開業した1年後の1989年、宮福鉄道は社名を変更します。

その社名は、「北近畿タンゴ鉄道」です。
よって、宮福線も北近畿タンゴ鉄道宮福線となりました。
1990年にはJR宮津線を引き継ぎ、北近畿タンゴ鉄道宮津線が開業しました。
宮津線は、現在の宮豊線と宮舞線を合わせた路線にあたります。

北近畿タンゴ鉄道時代の路線を整理すると、下記の通りです。

宮福線(宮津駅~福知山駅)
宮津線(西舞鶴駅~宮津駅~豊岡駅)

京都丹後鉄道になってから、宮津線が宮豊線宮舞線に分割されました。


ここで、話を変えて鉄道事業者に関するお話をします。
結構脱線しますが、ちゃんと北近畿の話に繋がりますのでご安心ください。

簡単に書いてしまうと、鉄道事業者の役割としては「列車を運行すること」「線路を保有すること」の2つがあります。
鉄道会社なんだから、当然2つともやるだろうと思う方も多いはずです。

そのイメージ通り、自社が保有する線路上で列車を運行する鉄道会社が日本には多いです。
このような鉄道事業者のことを、第一種鉄道事業者といいます。
JR大手私鉄東京メトロ東急名鉄近鉄など)は、だいたいが第一種鉄道事業者です。

他に、「列車を運行すること」のみの鉄道事業者や「線路を保有すること」のみの鉄道事業者があります。
前者を第二種鉄道事業者、後者を第三種鉄道事業者といいます。

まとめますと、下記のような形になります。

第一種鉄道事業者 : 「列車の運行」「線路の保有」の両方を担当
第二種鉄道事業者 : 「列車の運行」のみを担当
第三種鉄道事業者 : 「線路の保有」のみを担当

ちなみに、第三セクターという言葉も聞いたことがあるかもしれません。
第三セクターは、国や地方自治体(第一セクター)民間(第二セクター)合同で出資や経営をする団体のことをいいます。
第三セクター第三種鉄道事業者全くの別物になります。
第三セクターの鉄道事業者が、第一種鉄道事業者となることもあります。

鉄道事業者の話が長くなりましたが、ここからWILLER TRAINSのお話です。
選択肢にはWILLER TRAINS(ウィラートレインズ)とありましたが、これは何でしょうか?
丹鉄とは関係無さそうですし、海外の会社のようにも思えます。

しかし、京都丹後鉄道を説明するには切り離せない会社です。
問題文が「宮福線などを運営する鉄道会社は?」であった場合は、答えが「WILLER TRAINS」になります。
ここで、問題文を再び確認します。

【問225】北近畿を走る宮福線、宮豊線、宮舞線の3路線を運営する「丹鉄」とは、何の略か?

1. 京都丹後鉄道
2. 北丹鉄道
3. WILLER TRAINS

要約すると「丹鉄は何の略か?」とだけ聞いていて、鉄道会社の名前は?という質問文ではありませんでした
宮福線などを運営する鉄道会社の名前は、「WILLER TRAINS」です。

宮福線などを運営する鉄道会社が「WILLER TRAINS」で、そのブランド名のようなものが「京都丹後鉄道」です。
KDDI」という会社が「au」というブランドでサービスを提供している例は、WILLER TRAINSと京都丹後鉄道の関係に近いかもしれません。

ところで、北近畿タンゴ鉄道が京都丹後鉄道になったことで、北近畿タンゴ鉄道が無くなったと認識した方も多いと思います。
しかし、北近畿タンゴ鉄道は現在も宮福線などの線路を保有しています
つまり、北近畿タンゴ鉄道は第一種鉄道事業者から第三種鉄道事業者に姿を変えて宮福線などの路線に関わっています。

京都丹後鉄道のブランド名で宮福線などを運営する「WILLER TRAINS」は、第二種鉄道事業者に該当します。
ちなみに、日本の鉄道事業者で社名が全て英語表記なのは、WILLER TRAINSのみです。

そして、このWILLERという言葉は他の場所で聞いたことがありませんか?

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WILLERは、高速バスなどを運営する「WILLER EXPRESS」で有名です。
タイトルには「あのバス会社が鉄道運営?」と書きましたが、正確な表現はバスも運営する会社のグループ企業が、鉄道も運営しているになります。
宮福線などを運営するのはWILLER EXPRESSではなくWILLER TRAINSです。

もし、WILLERの高速バスをご利用になるときは、この記事と京都丹後鉄道のことを思い出していただけると嬉しいです。

ちなみに、さきほどの写真がサムネイル画像になっている記事もあります。
もし良ければ、ご覧ください!

ちょっとした裏話です。
実は、WILLER EXPRESSのバスを撮ろうとした訳ではありませんでした。
バスタ新宿の写真を撮ろうとしたら、バスが来たのでせっかくだから一緒に撮ってみたというお話です。
都合がよかったので、今回の記事にも転用させていただきました。

最後に、西舞鶴駅の案内表示を共有して話を終わりたいと思います。
「丹鉄入口」の案内に透けて、北近畿タンゴ鉄道の文字が見えます。
北近畿タンゴ鉄道から京都丹後鉄道になったことが、よく分かりますね。

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問226の「解答・解説」

【問226】丹鉄で運行されている観光列車のうち、予約不要・全席自由席が特徴なのはどれか?

1. 丹後くろまつ
2. 丹後あかまつ
3. 丹後あおまつ

正解は、「3. 丹後あおまつ」です。
丹後あおまつは、丹鉄を走る予約不要・全席自由席の観光列車です。

丹鉄(京都丹後鉄道)には、下記の3つの観光列車が走ります。

・丹後くろまつ
・丹後あかまつ
・丹後あおまつ

丹後くろまつ、丹後あかまつは、予約制の列車です。
特に、丹後くろまつではコース料理などが楽しめます。

一方、丹後あおまつは予約不要・全席自由席の列車です。

それぞれ特徴が異なりますが、京都丹後鉄道をご利用の際は是非乗ってみてください!


実は、以前にも丹後くろまつなどに関する問題を出題しました。
その時の解説記事が、こちらになります。

今とは記事の構成などが異なりますが、良ければご覧ください!


問227の「解答・解説」

【問227】2021年1月現在、丹鉄の路線を走る特急列車として間違っているものはどれか?

1. はしだて
2. エーデル丹後
3. たんごリレー

正解は、「2. エーデル丹後」です。
宮福線などを走ったエーデル丹後は、1996年に廃止となりました。

かつて、日本の各地ではジョイフルトレインと呼ばれる列車が走りました。
豪華だったり特色のある列車も多く、もしこの時代にタイムスリップしたら楽しそうだなと思います。

エーデル丹後も、ジョイフルトレインの一種です。
大阪駅~天橋立駅を結ぶ特急でしたが、1996年に廃止となりました。
「こうのとり」の前身にあたる特急北近畿と併結をして運行されました。


現在、天橋立駅へのアクセスに便利なのは特急はしだてです。
「はしだて」は、問223でも扱った通りで京都駅を発着します。

しかし、「はしだて」は頻繁に運行されている訳でもなく、大阪周辺の駅を出発する「こうのとり」は天橋立駅には参りません。
「きのさき」や「こうのとり」を利用すれば、福知山駅までは行けます。
では、福知山駅から先はどうしたら良いでしょうか?

そこでオススメなのが、「たんごリレー」です。
「たんごリレー」は丹鉄線内のみの運行で、福知山駅~網野駅を結びます。
福知山駅では、「きのさき」や「こうのとり」とタイミングよく接続をし、天橋立駅方面へのアクセスを便利にします。

「たんごリレー」は基本的に「丹後の海」という車両での運転です。
その「丹後の海」に関する問題が、問228です。


問228の「解答・解説」

【問228】丹鉄が保有する車両「丹後の海」について、間違っているものはどれか?

1. JR舞鶴線を走行しない
2. 水戸岡鋭治氏がデザインした
3. 電車ではなく気動車である

正解は、「1. JR舞鶴線を走行しない」です。
丹後の海」は、特急まいづるとして運転することもあります。

丹後の海」は、丹鉄(京都丹後鉄道)が保有する車両です。
主に特急として運用されますが、快速普通列車としても走ります。

丹後の海は、丹後の美しい海を連想させるメタリックな藍色の車両です。
木の温もりも感じられ、フリースペースでもくつろげる素敵な内装となっています。

車両のデザインは、クルーズトレイン「ななつ星in九州」や伊豆の観光列車「THE ROYAL EXPRESS」などのデザインを手がけた、水戸岡鋭治氏が担当しました。

「丹後の海」は、京都丹後鉄道を走る特急「はしだて」「たんごリレー」の他にも「まいづる」として運用されることがあります。
「まいづる」は基本的に単独で運行されることは無く、途中の綾部駅までは「はしだて」や「きのさき」と連結をして運行します。
「丹後の海」車両で運用される「はしだて」と連結する「まいづる」もまた「丹後の海」車両で運用されます。

綾部駅より先は、「はしだて」は福知山駅・宮福線方面へ、「まいづる」は舞鶴線東舞鶴駅へ向かいます。
JR舞鶴線は、綾部駅~東舞鶴駅の6駅を結ぶ短い路線です。

「はしだて」「まいづる」の運用はJRの特急車両が使われることもあれば、「丹後の海」が使われることもあります。
JRの特急車両は電車ですが、「丹後の海」は気動車です。
京都丹後鉄道の電化区間は福知山駅~天橋立駅のみなので、これ以外の区間をJRの特急車両が走ることはできません。

丹後の海に関する詳細や運行スケジュールは、こちらをご覧ください。


ここで1つ注意点があります。
問224までの解説で、北近畿を走る特急の列車名表示には色が付いているとお話しました。

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丹後の海」で運転される場合は、このように色が付きません
特に、「丹後の海」にて運用される「はしだて・まいづる」をご利用の方は乗り間違いにご注意ください。
京都駅方面から向かう場合、綾部駅に到着する前に今一度ご確認ください。


問229の「解答・解説」

【問229】特急こうのとりは停車するが、特急はまかぜは停車しない駅として正しいものはどれか?

1. 和田山駅
2. 八鹿駅
3. 尼崎駅

正解は、「3. 尼崎駅」です。
こうのとり」は尼崎駅に停車しますが、「はまかぜ」は通過します。

再び、下記の図を参照します。

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「こうのとり」「はまかぜ」は共に大阪駅と城崎温泉駅を結ぶ特急です。
しかし、経由する路線や停車駅が異なります。

こうのとり」は新大阪駅を発着し、尼崎駅にも停車します。
一方、「はまかぜ」は発着駅が大阪駅であり、尼崎駅には停まりません

他の選択肢である和田山駅八鹿駅には「こうのとり」「はまかぜ」の両方が停車します。

和田山駅は、JR山陰本線JR播但線が通る兵庫県朝来市の駅です。
ちなみに、朝来市は「あさごし」と読みますが和歌山県にあるJR紀勢本線の朝来駅は「あっそえき」と読みます。

「はまかぜ」が経由する播但線は、姫路駅~和田山駅を結ぶ路線です。
「はまかぜ」は和田山駅で山陰本線と合流し、城崎温泉方面へ向かいます。

八鹿(ようか)駅は、JR山陰本線が通る兵庫県養父(やぶ)市の駅です。
図には記載していませんが、和田山駅と豊岡駅の間の区間に位置します。

八鹿駅からは、湯村温泉へと向かうバスが出ています。
湯村温泉の最寄り駅は一部の「はまかぜ」も停車する浜坂駅ですが、遠回りとなるため八鹿駅からバスで湯村温泉へと向かう方も多いそうです。


問230の「解答・解説」

【問230】京都駅から「特急きのさき」と「快速大江山」を乗り継いで宮津駅へ向かうとき、3駅全てが経由駅となっている組み合わせはどれか?

1. 園部、上天津、大江山口内宮
2. 綾部、荒河かしの木台、大江
3. 梅小路京都西、胡麻、天橋立

正解は、「2. 綾部、荒河かしの木台、大江」です。
上天津駅北丹鉄道の駅であり、快速大江山天橋立駅までは行きません

難易度を上げるために、3駅の組み合わせに関する問題としました。
京都駅から「特急きのさき」と「快速大江山」を乗り継いで宮津駅へ向かうとき、綾部駅荒河かしの木台駅大江駅を経由します。
この3駅が特別な意味を持つわけでは無いですが、実際に通ったときにこの記事を思い出して「なんか聞いたことあるな」と思っていただければ嬉しいです。

快速大江山は、京都丹後鉄道内で運行される快速列車です。
丹後の海」で運転されることもあります。
快速大江山は宮福線の区間である福知山駅~宮津駅間で運行します。

天橋立駅は宮豊線の駅なので、快速大江山は通りません
よって、「3. 梅小路京都西、胡麻、天橋立」は間違いです。
梅小路京都西駅京都鉄道博物館の最寄り駅です。
胡麻駅がダミーだと思った方も居るかもしれませんが、京都府南丹市日吉町に実在する駅です。

上天津駅は、かつて宮福線と並走するような形で走った北丹鉄道の駅です。
問225でも解説した通り、宮福線の開業前に北丹鉄道は廃止となったので、実際に並走した訳ではありません。
よって、「1. 園部、上天津、大江山口内宮」は間違いです。
園部駅JR山陰本線大江山口内宮駅京都丹後鉄道宮福線が通る駅です。
ちなみに、宮福線には上天津駅はありませんが下天津駅ならあります。


最後に

小式部内侍が詠んだ大江山の和歌、志賀直哉の『城の崎にて』、など北近畿は和歌や小説などの文学に縁の多い土地です。
途中で紹介した下記の記事には、天橋立与謝野晶子の関連についても記載しています。
また、宮豊線には与謝野駅もあります。


そして、2014年にはワイドショー的にも北近畿が有名になりました。
元兵庫県議会議員の野々村竜太郎氏には、カラ出張疑惑がありました。
詳細は申し上げませんが、記者会見が記憶に新しい方も多いでしょう。

カラ出張先として選ばれたのは、城崎温泉佐用町でした。
恐らく、兵庫県内でも中心地の神戸から遠い場所なので架空の運賃・特急券料金を多く稼げるからという理由でこの2か所を選んだのでしょう。

本人は城崎温泉や佐用町まで列車に乗った経路を覚えていないそうですが、この記事を読んだみなさんなら分かりますね。

城崎温泉へは、「きのさき」「こうのとり」「はまかぜ」で行けます。
神戸からであれば、時間が合えば「はまかぜ」が良さそうです。
時間が合わないなら、尼崎駅から「こうのとり」が良さそうです。

もう1つのカラ出張先である佐用町へは、「スーパーはくと」で行けます。
問224の解説で扱った、京都駅~倉吉駅を結ぶ特急列車です。

ちなみに、自治体としての佐用町は「さようちょう」ですが、智頭急行線JR姫新(きしん)線の駅である佐用駅は「さよえき」です。
かつては自治体の方も「さよ」と読んでいましたが、自治体の改称後も駅名は変わらずに「さよ」です。

話は逸れましたが、北近畿は良いところです。
ご都合に合わせて、「はしだて」「きのさき」「まいづる」「こうのとり」「はまかぜ」をご利用ください!

京都丹後鉄道内では、「たんごリレー」「丹後あおまつ」「丹後あかまつ」「丹後くろまつ」などが走ります。
必要であれば福知山駅での乗り換えなどもしつつ、北近畿への快適な移動と充実した旅をお楽しみください!

最後にもう1度だけ北近畿の図を貼って、終わりとします。
図中にもありますが、これは簡略化された図です。
京都丹後鉄道宮舞線などは描画していないので、実際に旅をする際には正確な路線図をご確認ください。

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