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「意志力」は筋力だった!?

こんにちは! 

こしあんです。

あなたは意志力が強い方ですか?

それとも割と誘惑に負けてしまう方ですか?

心理学の世界ではこの「意志力」についても様々な研究がされています。

目標を達成するためにはこの意志力が大切だと言われますが、研究によれば「意志力」とは筋肉のようなもので、鍛えることもできますが、使用すると消耗していくものだとも言われています。

なので、1日の終わりにはすっからかんになっているそうです。

しかし、何かを成し遂げるために「意志力」は現実的ではないという意見もあります。
今回は、そんな私たちの人生をも左右するかもしれない意志力についてのお話です。


【意志力ってどんなもの?】

意志力という言葉の意味を調べると「自分をコントロールして物事を成し遂げる力」とあります。
あなたの周りにも「意志が強いな~」と感じる人がいるでしょうか?

意志力が強い人のイメージは、「どんな困難にも負けず、前に進む強靭な精神を持つ人」といったところでしょうか。
しかし、その意志力は持って生まれたものなのか、それとも鍛え上げられたものなのか、はたまたその両方か?

フロリダ州立大学の心理学者ロイ・バウマイスターはこの意志力について様々な研究をしています。
バウマイスターは研究を通して意志力は有限で、何かに多く使ってしまうと他のことには使えなくなるという「自我の消耗」理論にたどり着きました。

例えば、好きな物、甘いものを食べるのを我慢したり、怒りを抑えたりするとそこで意志力を使ってしまい、他のことに使う分がなくなってしまう。
そうすると意志力を回復しない限り、誘惑に弱くなるというわけです。

感情を抑える実験では、最後にはキレるだけでなく、必要のない物まで買ってしまう傾向が見られたり、甘いものを我慢する実験では、被験者が無性にお菓子を食べたくなるだけでなく、やるべきことを先延ばしにする傾向も見られました。

このような実験から、意志力の量は決まっていて使えばなくなる「限られた資源である」という考え方が支持されています。
また、バウマイスターは「意志力は筋力に似ている」とも言っています。
使えば疲弊してしまいますが、鍛えることも可能だそうです。



【意志力はどうやって回復するのか】

バウマイスターの研究チームは、「脳が疲弊するのはエネルギーがなくなってしまったからでは?」と考え、意志力の源はブドウ糖ではないかと予測しました。

なんでも脳が日々消費するブドウ糖は、最高で身体全体が消費する量の20%にまで達すると言われています。

バウマイスターの行なった実験では、砂糖で甘くしたレモネードと人工甘味料で甘さを補っているもののエネルギー補給にはならないレモネードを被験者に飲ませ、意志力の回復に違いがあるかを調べています。

結果は、砂糖で甘くしたレモネードを飲んだ被験者たちは、自己コントロールの向上が見られましたが、甘味料だけのレモネードを飲んだ被験者たちの自己コントロールは低下していったそうです。

また、血糖値が低いと難しいテストを投げ出したり、機嫌が悪くなって人に当たり散らしたりするなどの問題が生じることもあるそうです。
トルコのジルべ大学教授ゲイリオットの研究によれば、血糖値の低い人は固定観念に囚われる傾向があり、チャリティに寄付をしたり、他人を助けたりすることがあまりないこともわかっています。

昔から、「疲れたときは甘いもの!」ということも聞きますが、残念ながら補給するエネルギーは意外と少なくていいそうです。笑

ペンシルベニア大学の心理学者ロバート・カーズバンの主張によれば、脳が意志力を発揮するために必要なエネルギー量は、1分につきタブレットガム1粒の半分にも満たないそうです。

そうすると、私たちは甘いものを取りすぎているのかもしれません。
そのためでしょうか「お菓子の代わりにナッツを食え」と書かれている本もあります。笑

確かに疲れたからと言ってずっと糖分摂取をするわけにはいきませんよね。
そこで、体に持久性のあるエネルギーを与えてくれる「低血糖食」がよく勧められます。
これにはナッツ類、豆類、脂肪の少ないたんぱく質などがあげられます。

何かを決断する度に、甘いものを取った方が正しい判断ができるかもしれませんが、実際そのたびに糖分を取り、血糖値が急に上がったり下がったりを繰り返せば体と脳がきちんと糖分を消費できなくなり、自己コントロールがきかなくなると言われています。

これを繰り返すと、血糖値が高いにもかかわらずエネルギーが低い状態になるというわけです。

また、サウスダコタ州立大学の行動経済学者X・T・ワンと心理学者ロバート・ドボルザークが「エネルギー予算」という自己コントロールモデルを提唱しています。
これは、自己コントロールによって脳のエネルギー消費量が増加すると意志力は衰えていくという考え方です。

簡単にいうと、脳はエネルギーがたくさんあるときは普通に消費しますが、エネルギーの量が減りだすと節約を始めるそうです。
お金といっしょだと考えればいいかもしれません。笑

二人はそれを確かめるためこのような実験をしています。

19歳~51歳の人たちを65名集め、この人たちに「翌日に120ドル貰うか」、「1か月後に450ドル貰うか」と質問をし、好きなほうを選んでもらうという実験をしました。
また、報酬を参加者に選ばせる前に研究者たちは、参加者の血糖値を測定しています。
血糖値が高いほど脳に多くのエネルギーがある状態なので、意志力がまだあるというわけです。

1回目の選択後、参加者には普通の砂糖入りソーダかカロリーゼロのダイエットソーダが与えられました。
その後、再び研究者たちは血糖値を測ります。

そして、また同じ質問をします。

結果は、砂糖入りのソーダを飲んだ参加者たちは、目先の報酬を我慢してより多くの報酬を手に入れようとする傾向が見られました。
逆に、ダイエットソーダを飲んだ参加者の血糖値は下がり、少額でもすぐ手に入る報酬を望む傾向が見られたそうです。

この実験から、確かに血糖値が上がれば意志力が使えるという結果になっていますが、注意すべき点は他にあります。

それは、血糖値が高くどんなにエネルギーを持っていたとしても、1回目の選択肢を選ぶために使った意志力が回復しなかった場合、つまり、ダイエットソーダを飲んだ人たちは目先の利益に飛びつく可能性が上がっている点です。
つまり、参加者の選択を決定づけたのは血糖値の絶対水準ではなかったということです。

この表現が正しいかどうかわかりませんが、例えば意志力の上限が200の人と100の人がいるとします。
1回目の質問をされた時、少なからず意志力を使いますから200の人は150に、100の人は90に減ったとします。

意志力が150と90になったわけですが、何となく150の意志力が残っている人の方が得をする450ドルを選びそうな気がしますよね。
しかし、重要なのは2回目の質問をされたとき、脳にエネルギーが補充されたか、されてないかでその後の決定が変わってきます。

意志力が150残っていたとしても、脳は「エネルギーが増えているのか?減っているのか?」と考え、エネルギーが増えているなら意志力にエネルギーを回そうとしますが、減っているなら逆のことをします。
もっと言えば、150残っていても意思決定によって意志力が減り続ける状況なら脳は他のことにエネルギーを回し始めるということです。
さらに、血糖値が下がると脳は目先のことに集中するため、衝動的な行動に出る傾向があります。

そうすると脳はエネルギーの確保が重要事項になるため意志力に回すエネルギーどころではなくなるというわけです。


【意志力の使い方と鍛え方】

社会心理学者のハディ・グラント・ハルバ―ソンは意志力を鍛えるには「気の進まないことをして、意志力を鍛える」と言っています。

大きな挑戦である必要はなく、「猫背になっていると思ったら姿勢を正す」といったことや、「間食で高カロリーのものを食べるのをやめる」といったことでもいいそうです。
大切なのは取り組む価値があると思うことを続けることです。

慣れたら新たな挑戦を増やしていき、その挑戦の難易度も上げていくことが望ましいとされます。
また、意志力はストレスや多くの意思決定で減っていくため回復が必要です。

もちろん、ゆっくり休むのが一番いいのですが、それができない場合「意志力が強い人」を思い浮かべるとそれだけで意志力をパワーアップさせたり、回復を早めることができるそうです。

また、鍛える際の注意点もあります。

それは、2つの困難な目標に同時に取り組むのは避けるべきであり、どんな目標であってもできるだけ簡単な方法を見つけるように努力することが大切です。
難しい方法を選んで、自分の能力を試す必要はないということです。

冒頭であなたに意志力が強いかどうか聞きましたが、実は「自分は意志力がある」と思っている人の方が誘惑に弱いことがわかっています。
禁煙に関する実験なんですが、被験者は3週間の禁煙に成功した元喫煙者たちです。

その被験者たちに2つの質問をします。
「将来も禁煙を継続できる自信がありますか?」
「今後なるべくタバコの誘惑のある状況を避けようとしますか?」
といった質問です。

結果は、喫煙を続ける自信が強い人ほど誘惑のある状況に立ち向かう傾向があることがわかりました。
「立ち向かう」と言えば聞こえがいいですが、禁煙を続ける自信がある人ほど誘惑を避けようとせず、自分の意志力に頼ろうとしたわけです。
その後、数か月にわたり追跡調査を行ないましたが、「タバコの誘惑を避ける」と答えた被験者の方が禁煙を続けられたことがわかっています。

どんな人でも「疲れて意志力が弱まるときがある」と考えると、君子危うきに近寄らずといった考え方の方がうまくいくのかもしれませんね。


最後に

さて、ここまでは意志力とは何かを成し遂げるために必要で、筋肉のように鍛えられ、有限であり使えば減っていくということを説明してきました。
しかし、組織心理学者のベンジャミン・ハーディは、これは「表面レベル」だけの話だと言っています。

人生の成功要因は意志力ではなく環境であるという考え方です。

確かに環境が整えば無駄な意思決定が減り、意志力を他のことに回せるようになるのかもしれません。
自分の意志力を鍛えることも必要になってくるかもしれませんが、周りの環境を整えることも大切なことかもしれませんね。



今回はここまで

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最後までお読みいただきありがとうございます。

それではまた次回お会いしましょう。

※この記事は読んだ本をもとに考察し、私の経験したことなども踏まえて書いています。
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