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人が成長するために必要な○○!


みなさんこんにちは!こしあんです。

みなさんは「人が成長する上で必要な事は?」と聞かれたらどのように答えるでしょうか。

いろいろあると思いますが、しっかり食べる、色んなことを学ぶ、異文化に触れる、といった事も考えられます。

私たちは生活しながら様々なことを学びますが、いつの頃からか「自分は○○に向いている」といった事を考えることがあります。
みなさんも自分は”文系だ””理系だ”と分けて考えることがないでしょうか。

そして、これを「自分の思い込みでは?」と考えることはあまりありません。

しかし、生まれつき”何かに向いている”人などいるのでしょうか?
私たちは自分の思い込みで能力に制限をかけている可能性があります。
もちろん、努力すればなんでもできるなんてことは言いません。

でも、昔できなかったことが出来るようになることもありますよね。
実際、最近の脳科学研究では、脳は何歳になっても変化し、成長を続けることがわかっています。
そして、成長させるためにはちょっとした負荷も必要です。
その負荷が「ミス」や「間違い」をすることなんです。

今回は、人が成長するために必要な「間違う」ことについてのお話です。


【間違いを愛する】

みなさんは何か間違えたとき嫌な気分になったり、自分を責めたりしないでしょうか。
誰でもミスをしてしまったら「もっと確認していれば!」とか「なんで私は上手くできないんだ」と落ち込んだりするものです。

しかし、それはなぜか?

これは本人の性格というよりも、私たちは「間違えることは悪いことだ!」と教えられて育つためです。
ミスを犯す度に「お前はどうしてみんなと同じようにできないんだ!」とか「もっと頭を使え!」なんて事を毎回言われ続けるとミスをすることが怖くなりませんか?
失敗したら「次は何を言われるんだろう」と身構えてしまいます。

本当の事を言えば、人はしょっちゅうミスをするものなので、そんなに気にする必要はありません。
しかし、ミスをすると多くの人は自分は”優秀ではない”と考えてしまいます。
でも、この考えは間違いです。

実は、ミスをすると脳の活動が増え、学習効果が高まることがわかっています。
そして、ここが重要なのですが、学びの途中で行きづまったり、間違えたりしてもいいという意識を持つと学習体験を向上させる神経細胞(ニューロン)の接続が強化されます。
間違いやミスは「人を成長させるためのきっかけを与える」という事を忘れてはいけません。
もちろん、わざと間違えることに意味はありません(笑)
それは本当の意味でミスとは言えませんからね。

そして、神経科学と高成績者の行動研究の両方で、ミスやつまずきがプラスの影響を与えるという結果が出ています。
ミシガン州立大学のジェイソン・モーザーが行った実験では、試験を受けている被験者の脳をMRIで調査し、正解した時と不正解の時の脳をスキャンしました。
調査の結果、不正解の時のほうが脳が活発になり、間違えることが神経回路の強化につながることがわかっています。

このことから、簡単な問題ではなく、脳を成長させるには理解できるギリギリ上をいくような問題に取り組む必要があることがわかりました。
自分の実力の”ちょっと上をいく問題”というのは出題者にとって悩ましいかもしれませんが、みなさんも簡単な問題ばかりだと退屈しませんか?
眠たくなってきたり、集中力がなくなってきます。

これは脳にとって良いことにはなりません。

ただ、難しい課題を出せばいいというわけでもありません。
脳を成長させるには生徒に間違いを促すような課題を与え、その間違いがメリットになることを教え、課題へ挑戦するのを妨げない環境作りが必要になります。

みなさんもテストの問題を間違えたとき、親や先生になんと言われたでしょうか。
間違えることの価値を教えてもらったでしょうか。
それとも、「こんな簡単な問題も解けないのか」と言われる環境でしたか。
さすがにそのような環境では脳の成長にもよくありません。
間違いを恐れない雰囲気作りはとても大切です。


【成長する脳】

ぶっちゃけた話、「脳は一生変わらない」とか「適性がない分野がある」という通念は、科学的に間違っていると言われています。
能力は生まれながらに定まってないし、一部の人が最高レベルに到達できるのも遺伝のせいではないそうです。
しかし、多くの人が「一部の人だけが賢くて、天賦の才や特別な知性を持っている」と考えています。

でも本当は、学習する度に脳の神経回路は形成され、強化され、接続して能力を高めていきます。
また、これを「脳の可塑性(かそせい)」と呼んでいます。

脳が成長する研究では、ロンドンタクシーの運転手を調査したものがあります。
この「ブラックキャブ」と呼ばれるロンドンタクシーですが、ロンドンのすべての道路を覚えなければならず、運転手は学習のために膨大な時間を費やすそうです。
なんでも最低4年は勉強するとか。

運転手は駅から半径10キロ以内にある2万5000の道路と2万種類の目印をすべて記憶しなければなりません。
そして、トレーニング期間が終わると試験を受けることになりますが、合格するまでに平均12回も試験を受けます。

そんな厳しい試験を通り抜けるタクシー運転手の脳はどうなっているのか?
と脳科学者が興味を持ち調査しました。

研究者たちは、トレーニングの前と後で運転手の脳がどう変化するのかを調べています。
するとトレーニングの後、運転手の脳の海馬が大幅に成長したことがわかりました。
この研究ではわかったことが2つあり、1つ目は研究が幅広い年齢層の成人を対象にしていましたが、その全員が相当の脳の成長と変化を示したこと。
2つ目は、成長した脳の領域である海馬が、あらゆる空間的、数学的思考に重要な働きをすることがわかりました。

ただ残念なことに、運転手がタクシーの仕事を辞めると海馬が再び萎縮したことがわかっています。
そして、その原因は加齢ではなく、使われなくなったことです。
このことから、脳は成人が勉強し習得するにつれて、新しい接続と回路を成長させ、必要でなくなると消失していくことがわかりました。

「何かを始めるのに、遅すぎることはない」といった言葉もありますが、あながち間違いではないようですね。
いくつになっても脳は成長していくようです。

その他の研究では、ジャーナリストのダニエル・コイルが行った調査があります。
コイルは、音楽、スポーツ、学問の分野で学習に優れた人のうち、極めて高いレベルに到達した人全員が「ミエリン」による脳の回路の作成を引き起こす種類の訓練をしていたことを見つけました。

私も知りませんでしたが、多くの人が「ミエリンってなに?」と思うかもしれません。

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上記の図のように、ミエリンはニューロンの軸索を取り囲んでいる物質です。
このミエリンによって神経細胞の電気信号が身体の他の部分へ伝わる速度を速めています。

たとえば、アイデアを振り返ったり、ボールを蹴ったりするとミエリンはそれに関する神経回路を覆って特定の回路を最適化します。
こうすることによって、次は効率的に動けたり、思考がスムーズになるわけです。

世界的な熟練者たちは、ミエリンが何層にも巻き付いていて「超一流の回路」を持っていると言われています。
逆にこのミエリンが失われると、電気信号の伝わりが遅くなったり、遮断されたりすることがあり、多くの神経症状をきたすそうです。



最後に、

みなさんも、ちょっと難しい問題だからこそ「あーでもない、こーでもない」と考えるのではないでしょうか。
簡単に解いてしまった問題というのは憶えていないものです。

スタンフォード大学のキャロル・S・ドゥエックも「ミスをするたびに、脳のシナプスが発火する。つまり、活性化し、これは脳が成長していることを示す」と言っています。

自己肯定感を持たせるために”間違いは避けるべきだ”という考え方もありますが、決して「間違ることは悪いことではない」という意識を無くさないでください。

この意識があるからこそ、「次は上手くやろう」と気持ちが前向きになり、脳が働きます。
もし、間違いを恐れる環境なら、ミスをしないことだけに全力を注ぎ始めます。
これでは、そのうち簡単な問題にしか取り組まないようになってしまいます。
そうすると脳の成長にもよくありません。

スタンフォード大学のジョー・ボアラーも「問題に正解することは脳にとって良いエクササイズになるとは言えない」と言っています。

何かに行きづまったり、ミスをしたときは気分が落ち込みますが、脳の神経細胞の接続は強化されています。
ただし、へこみ過ぎてそこで止めてしまっては意味がありません。

ロンドンタクシーの例にもあったように、使い続けることが大切なんです。
そうしなければ、回路はなくなってしまいますからね。


今回はここまで

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それではまた次回お会いしましょう。



※この記事は主に私の参考にした資料(主に読んだ本)をもとに考察したもので、私の主観が多分に含まれています。
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