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エッセイ的なものと趣味丸出しのマガジン

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いつもの心理学などの話ではなく、好き勝手書いた話を置いています。
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#エッセイ部門

だから僕はゆっくり階段を下りる

出先から家に帰るために駅に向かう 時刻表を見ると5分もしないうちに電車がくる。 「急げば間に合いそうだ」 小走りに通いなれた通路を抜け、改札口へと向かう。 「それにしても観光客が多いな」 行き交う人の多さにうんざりしながら、もう何度もその言葉を口にしているような錯覚に陥る。 改札を抜けホームに向かうために通路を曲がり階段を下りる。 割と狭い階段で二人分の幅しかない。 普段から利用者が少ないのか人は疎らだ。 ただ、その日は先客がいた。 左側の手すりにはそれをし

踏切に殴られる

連日、35度を超える暑さが続いている。 コンビニから外に出た瞬間、 むわっとする空気に体当たりをされ、思わずしかめっ面になる。 わたしのフィジカルはそんなに強くない。 その帰り道、駅近くの踏切につかまってしまった。 日光を避ける場所などない。 ジリジリと皮膚を焦がすような感覚が腕や首の後ろから襲ってくる。 「あつい」 と隣にいた老婆から聞こえてきた。 「そうですね」と心の中で返事をする。 停車していた電車がゆっくりと走り出す。 遮断機の矢印も消えた。 もうすぐ開

 おにぎりとわたし

人は記憶を掘り起こす度に 自分の都合の良いように改ざんしていく だからこれはフィクションでもあり、ノンフィクションでもある。 ただ、私の中に確かにあるもの それだけは間違いない。 人は生まれてくるとき、誰もが祝福されて生まれてくるわけではない。 なぜかって? 私は”身をもって”それを経験してきたからだ。 そんな私でも、赤ん坊のときの写真は意外にも多い。 それなりに愛されていたのだろうか? それとも記録に残すことが”親らしい”ことだと考えていたのだろうか。

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使い所がわからない私の特殊能力

私の体質なのか、特技に入るのかわからないが、「よく人に道を尋ねられる」というものがある。 特に年配の方に声をかけられるような気がする。 若い人には人気がない。 その人たちは他にもたくさん人がいるのに、私の所に一直線に歩いてくるんだ。 なぜ私なんだ? 声をかけやすい顔なのか? それとも何か身体から出ているのだろうか。 考えてもわからない。 そしてこの能力は世界を越える! そう、外国人にも道を聞かれるのだ。 非常に困る。 何を隠そう私は英語ができない。 悪い