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使い所がわからない私の特殊能力

私の体質なのか、特技に入るのかわからないが、「よく人に道を尋ねられる」というものがある。

特に年配の方に声をかけられるような気がする。
若い人には人気がない。


その人たちは他にもたくさん人がいるのに、私の所に一直線に歩いてくるんだ。

なぜ私なんだ?

声をかけやすい顔なのか?

それとも何か身体から出ているのだろうか。

考えてもわからない。


そしてこの能力は世界を越える!

そう、外国人にも道を聞かれるのだ。

非常に困る。


何を隠そう私は英語ができない。

悪い癖で、英単語を無理やりローマ字読みしたりするもんだからちっとも上手くならない。

そんな英語力の私に声をかけてくるのだ。

まったく、人を見る目がないな。


あの日も、どこかの交差点で信号待ちをしているときだった。

当時はまだガラケーの時代である。

ネットよりも通話がメインで、ちょっとした隙間時間にケータイを見るという人はほとんどいなかった。

私も他の人と同じように、信号が変わるまでボーっと突っ立っていた。

するとどうだろう。

ガタイの良い黒人の男性がこっちに向かってくるではないか。
いや、自意識過剰かもしれない。

早とちりはいけないな。


画像はイメージです


数秒後、私は自分の能力を恨んだ。
「Oh my god」オーマイガー


しかし、まだ諦めてはいけない!
チャンスはあるはずだ。

私は、「声をかけられたら伝家の宝刀『I can't speak English』と絶対に言うんだ!」と心に固く誓う。


しかし、

その決意は一瞬で、

脆くも崩れ去っていった。


私はアホなのかもしれない。

結局男性に声をかけられ「どうかしましたか?」とめっちゃ日本語で話しかけていた。

無視できない自分が恨めしい。

そうすると相手は何を思ったのか、身振り手振りで説明し始めるではないか!

もしかして日本語が通じるのか!?
私の運もそう捨てたものではない。


しかし、世の中はそんなに甘くなかった。
「日本語通じないやん!」と感じた。

私の淡い期待を返してくれ。


しかし、伝家の宝刀はまだ死んでいない。
間に合う!


と思っていた時期が私にもありまた。

後にこしあん氏はこう語っている

その時なぜか、

何となく、

本当に何となくなんだけど、

何を尋ねられているのかわかった気がしたんだ。


こうなっては伝家の宝刀はもう抜けない。
相手の話を聞くしかないだろう。

相槌は大切。
とりあえず「んー」とか「Arhan」と言ってみたりする。


「アーハン」ってなんや!気でも狂ったんか!
と私のアイデンティティが崩壊し始める。

時間がない、「相手の話に集中するんだ!」と自分に言い聞かせる。

だからといって突然英語力が上がるわけでもなく、結局細かいことはわからなかった。

ただ、この人は駅に行きたいのではないだろうかと感じた。


そうだ、考えるな、感じるんだ。


だから私は駅の場所を指さしてこう言ったんだ。

「straight!」

(意訳:道なりに進めば2つ目の信号で駅が見えてくるよ)

会心の出来である。


しかし、この男性はこう言うではないか

「really!?」


何が不満だと言うのか、本当だとも。

しかし、私は思った。
相手を不安にさせてはいけない。


だから全力の笑顔でこう答えた。

「YES!」


男性に幸あれ


こしあん





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