企業は「社会科学的」な存在?~リベラルアーツで考える~

今回は、企業を中心に、「集団の特徴」を、「リベラルアーツ」のフレームを使って考察していきたいと思います。そういう見方もあるね!と思って頂ければと思います。

大前提、「企業」は社会科学的な存在

そもそも「企業」というものは、社会において、利潤追求といった「社会的な活動」を目的が強い集団なので、大前提として「社会科学的な存在」です。

ただ、そういった前提のなかで、企業ごとの特徴や重きの置き所が少しずつ違っているといえることろもあり、今回はそれを見ていきましょう。


ホンダは「自然科学」寄りの企業

私が、わかりやすい事例として、よく学生や転職希望者に説明するときに例に出すのが「自動車メーカー」です。具体的にはトヨタをはじめ、ホンダ、スバルなど。


ではひとつずつ見ていきましょう。まずホンダを取り上げます。

ホンダは、本田宗一郎氏に代表されるように「技術のホンダ」という印象や側面が強いと思います。直近だと小型飛行機のホンダジェットなども象徴的ですね。

そもそも「技術」というのは、人がより暮らしやすくするために、大自然から何かを取り出したり、加工したりする手段です。

ホンダはここをブランディングをしたり、実際に注力している度合いが高いですね。宗一郎氏も、親父と呼ばれてエンジニアとしてガレージにいる時間が長かったそうです。

この点において、ホンダは技術=自然科学に重きを置いている企業と仮置きしたいと思います(但し、ホンダにはNo2である藤沢武夫氏がおり、技術屋だった本田宗一郎を経営面で全面的に支えていました。本田氏は藤沢氏に実印を預けて経営は全て任せるほど。つまり、企業の社会科学的側面はこの藤沢氏がおり、支えていたからこそ企業として成立していたと捉えることができます)。

スバルは「人文学」=「あり方」寄りの企業

続いて、スバルです。

スバルも独自固有の技術を有しているわけですが、ここではそれ以上に、「あり方」を大事にしている点に注目したいと思います。

スバルは根強いファンは多いと思います。また直近はCMで長尺のエモーショナルなストーリーを訴求していますよね。スバルを選ぶ人は(他の自動車メーカーでももちろんいますが)、スバルに「乗ること自体」に価値やワクワク(情緒的価値)を感じている、つまり、機能性ではないところに価値を感じている側面があると思います。

この意味でスバルは「あり方」=人文学的な側面を大事にしている(もしくはウリや武器にしている)企業と仮置きしてみたいと思います。

トヨタは最も「社会科学的(効率性/効果性を追求している)」企業といえそう

最後にトヨタです。ここまでに触れたホンダ/スバルは、もちろん企業である以上、社会科学的な部分も成立しているし、むしろしっかりしている部類の企業たちです。

しかし、トヨタは、そんな中でも、さらにより一層、効率性/効果性といった、生産性や機能的価値を磨くことに最も注力している企業といえると思います。

つまり、、、
■最も世界で売れる車はどんなものか?
■最も多くの人に乗ってもらえるにはどうしたらいいか?
■最も万人受けするデザインはどんなものか?

こういうことは、実はトヨタが最も追求し、達成していると言えるのではないでしょうか。

そういった意味でトヨタは、社会科学的な存在である企業の中でも、最も社会科学的達成を追求している/出来ている企業ということが出来ると思います。

以下が自動車メーカー3社のまとめです。

同じような感じで、マツダや日産もマッピングできるでしょう。また皆さんの所属する会社の特徴や力点はいかがですか?
皆さんも一度考えて見て頂ければと思います。


NPO/NGOは?

ここまでは、企業は社会科学的な集団という話しをしてきましたが、他の集団も対比的にみておきたいと思います。

例えばNPO/NGOはどうでしょうか?

これらは利潤追求ではなく、人々のよりよい暮らしを助ける/支援するという集団ですね。
この意味でNPO/NGOはあり方=人文学的な存在といえるでしょう。

但し!!

NPO/NGOも活動資金が必要です。
活動存続のために、例えば募金収集や政府援助獲得や、企業/パトロンなどの協賛を募ることと多いでしょう。
これって、、、大きな枠で捉えると、何気に「営業」と言えそうですね。

そう。NPO/NGOも、あり方を大事にしているとは言え、社会科学的存在でもあるのです(大事にしているのはあくまでもあり方ではありますけどね)。

自然科学的な集団ってあるの?

今回の最後に自然科学的な集団ってあるの?についてです。
これはなかなか見つけにくかったのですが、最近やっとその事例を見つけることが出来ました。

そのひとつが、オープンソースのOSの「Linux」です。

Linuxのコードはオープンソース(世界に無料開放)されており、さらに世界中のITエンジニアが無償/無報酬高あっているOSです。

つまり利潤追求ではなく、技術高度化/革新のためのコンソーシアム。
これはかなり自然科学度が高い集団といえそうですね(ハッカソンなども少しそういった側面もあるでしょうか)。




以上、今回は企業の特徴をリベラルアーツで味わってみてみる回でした。

企業は社会科学的存在度が高いですが、それ以外の集団の例として、

あり方(人文学)的集団としてNPO/NGO、
自然科学的な集団としてLinux

も取り上げて考察してみました。

よくわからなかった方は、前回の記事

「あり方×やり方」をリベラルアーツで捉えると画期的です

も合わせて読んでみて下さい。

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