Corno blu

福岡のビスポークシューズの工房 Corno bluが革靴や皮革に関する技術的な情報を発…

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福岡のビスポークシューズの工房 Corno bluが革靴や皮革に関する技術的な情報を発信するnoteです。 イタリアの伝統的なハンドメイドシューズの手法とデザインを学んだ職人と、日本の整形靴専門学校で学んだ職人が週一ペースで綴っています http://cornoblu.info

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靴のサイズ換算表について

日本で販売される紳士靴のサイズ表記は主に以下の3種類のサイズ表記が用いられており、一般的には以下のような換算表が用いられている。 しかし、これらは便宜的に換算したものであり、厳密に解説すると各サイズ表記のピッチは以下のように展開される 日本 名称:メートル法    5mmピッチ 欧州 名称:パリポイント   6.6mmピッチ (ハーフ 3.3mm) 英米 名称:バーリーコーン  8.46mmピッチ (ハーフ 4.23mm) EU:パリポイント そもそも靴のサイズ表記は

    • 吊り込み代とは?

      今回は、「吊り込み※代」について述べたいと思います。 多くの方が、「縫い代」という言葉を聞いたことがあると思います。 しかし、靴の製作でよく耳にする「吊り込み代」はなかなか聞く機会がないと思います。 「代(しろ)」とは、あることのために必要な部分のことを意味します。 よって、「縫い代」とは縫う部分以外に確保しておく布の部分、つまり縫い目から布の端までの部分で、生地を縫い合わせるために、出来上がりサイズに縫い代をプラスして裁断しています。 また、「吊り込み代」とは吊り込

      • スエード靴を丸洗いする方法

        今回は、革靴のお手入れとして『スエード靴の丸洗い方法』について述べたいと思います。 革靴のお手入れでよく耳にするのが、ブラッシングやクリーナーで汚れを落とし、クリームで栄養を補給・乾燥を防ぎ、ワックスで光沢(表面の保護と防水性アップ)を出す、などだと思います。 そんなお手入れをしていても、革靴も道具ですから、思わぬところ・知らないところで汚れてしまい上記のお手入れでは対応できそうにない。。。 そのような経験があるかと思います。 そんな頑固な汚れなどがついてしまった時に思い切

        • 靴作りの道具#4『釘切り』

          今回は、靴作りで使用している『釘切り』について述べたいと思います。 釘切りとは、その名の通り釘を切るための道具です。 持ち手を広げたり閉じたりすることで、釘を切ることができます。 靴作りでは、主に最後の方の工程で使用します。 革を一枚一枚積み上げてヒールを製作し、最後に飾りの意味を持つ真鍮製の化粧釘※を打ちます。 その際、最後まで打ち込むのではなく少し余力を残しておきます。 その余力分の化粧釘を釘切りでカットします。 カットした部分にはバリが出るため、その後やすりをかけ

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        靴のサイズ換算表について

          靴作りの道具#3『ニッパー』

          今回は、靴作りで使用している『ニッパー』について述べたいと思います。 靴作りで使用する場面としては、主に吊り込みで使用した釘を抜くことです。 靴修理では、古くなったトップリフトやハーフラバーを剥がすことなどに使用します。 ニッパーについてChatGPTに聞いてみると、 「ニッパーは、金属やプラスチックなどの素材を切断するための手工具です。 一般的には、金属製やプラスチック製のハンドルを持ち、その先端には刃が取り付けられています。 刃の形状やサイズは、切断する素材や使用目的

          靴作りの道具#3『ニッパー』

          靴作りの道具#2『銀ペン』

          今回は、靴作りで使用している『銀ペン』について述べたいと思います。 まず初めに銀ペンとは、革を裁断する際のラインを引く、縫製する際に目印となるラインを引くなど、革専用の銀色のインクが出るボールペンのことです。 皮革業界でよく使用されているものは、ドイツのschneider社製の銀ペンかと思います。 この銀ペンのメリットは、革に描いた線が手や布で擦るとほぼほぼ消えて見えなくなることです。 デメリットは、インクの残量が見えないため、最後のインクまで使い切れたかどうかが不明確

          靴作りの道具#2『銀ペン』

          靴作りの道具#1『ボールペン』

          今回は、靴作りで使用しているボールペンについて述べたいと思います。 現在、私が使用しているボールペンは、uni MITSUBISHI PENCILの『ジェットストリーム』です。(ちなみに0.7mmのもの) これまでにさまざまなボールペンを使用してきましたが、このボールペンがストレスなく書き続けられると考えています。 ボールペンを主に使用する作業は、革の型入れやインソールの設計などです。 革靴のインソールやアウトソールに使用される厚さ4〜6mmの革は、植物タンニン鞣し※1で

          靴作りの道具#1『ボールペン』

          靴作りの道具#0『酸化被膜(タンニン鉄)がよく現れる大ハンマー』

          靴作りにはハンマーをよく使用します。 また、用途によっても様々なハンマーを使い分けています。 その中から今回は、『幅広で真っ平らなハンマー(以下、大ハンマー)』について紹介します。 過去のブログ※で「鉄に反応して表面に真っ黒な酸化被膜(タンニン鉄)を作る」と書きました。 その反応を一番わかりやすく見ることができる作業工程が、『先芯(トウパフ)の吊り込み』です。 先芯には植物タンニン鞣しの革を使用し、水に数分浸しておくことで柔らかくなります。 柔らかくすることで吊り込みやす

          靴作りの道具#0『酸化被膜(タンニン鉄)がよく現れる大ハンマー』

          革について

          今回は『革』について改めて調べたことがあったのでそのことを少し述べたいと思います。 革とは、鞣し加工を行った耐久性のありながらも柔軟性がある動物の皮革のことです。 皮を取った後、鞣し加工をせずに乾かした場合、単に堅くなりもろくなってしまいます。これを防ぐために体毛や脂肪を取り除き、鞣し剤にさらすことで、繊維質の細胞組織がつながるため、伸縮性や弾力性、通気性が生まれ皮から革へと変化します。 紳士靴のアッパー革には、クロム鞣し※1がメジャーな鞣し加工となります。ソール革には、

          革について

          Shoemaker stoolについて

          普段私たちが作業している場所には、様々な道具が並んでいます。その中でも今回は、靴作りの世界で欠かせない『shoemaker stool』について少し探ってみたいと思います。 shoemaker stoolは、靴職人が作業を行う際に欠かせないアイテムの一つです。特徴としてまず挙げられるのが、座面のカーブでしょうか。このカーブにより長時間座って作業しても、お尻が痛くなりにくいようになっています。また、木製でシンプルな構造ながらも一生使い続けることができるような丈夫さを兼ね備えて

          Shoemaker stoolについて