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靴作りの道具#1『ボールペン』

今回は、靴作りで使用しているボールペンについて述べたいと思います。

現在、私が使用しているボールペンは、uni MITSUBISHI PENCILの『ジェットストリーム』です。(ちなみに0.7mmのもの)
これまでにさまざまなボールペンを使用してきましたが、このボールペンがストレスなく書き続けられると考えています。

ジェットストリーム(上:0.5mm、下:0.7mm)

ボールペンを主に使用する作業は、革の型入れやインソールの設計などです。
革靴のインソールやアウトソールに使用される厚さ4〜6mmの革は、植物タンニン鞣し※1で鞣された丈夫な革を使用します。
その革は半裁※2もので大きく(だいたい小学生2人分くらい)、そこから必要な分の型入れをボールペンで行い、切り出します。
切り出したインソールやアウトソールを加工する際の設計にもボールペンを使用した後、革包丁で加工します。

その際のタンニンの影響なのか、ボールペンのインクが割とすぐにつかなくなってしまうといった経験をしてきましたが、このボールペンを使用し始めてからはそのようなことは今のところなく使用できてます。
インクの出具合もちょうど良く滑らかなかな描き心地で、紙に描くことと同様の使用感覚だと思います。

『ジェットストリーム』※2について調べてみると「超・低摩擦ジェットストリームインク搭載。従来の油性ボールペンと比較して、摩擦係数が最大50%軽減されています。顔料と新しい色材を組み合わせることにより、くっきりと濃い描線を実現。また、速乾性にも優れています。」との記載がありました。

私はこの記載を見て、くっきりとしたラインで描けることが、作業しやすい状態につながるのではないかと考えています。
詳しいことは分かりませんが、革のような素材に対しても問題なく使用できるボールペンだと思います。

note:村上 紀之

※1:植物タンニン鞣しとは、植物から抽出したタンニンを活用して鞣す方法です。
「動物の死骸が落ち葉等に埋もれた水たまりに浸かっていたものは、肉は腐っていたが皮は腐っていなかった」これが最初の植物タンニン鞣しと言われています。
実際に植物からタンニンを抽出して鞣し始めたのは、19世紀で場所はイギリスのようです。
ピットと呼ばれる桶槽に濃度の異なるタンニン液を張っており、濃度の低いタンニン液に皮を浸し、徐々に濃度の高いタンニン液に浸して「皮」から「革」へと変化させます(約1ヶ月〜3ヶ月、長いもので1年)。
特徴として可塑性、成形性、耐摩耗性等が高い、また伸びが少ないことが挙げられます。

植物タンニン鞣しの革

※2:半裁革とは、牛一頭分の革を丸革として背中側から切り分けてできる2枚の革の1枚分を意味します。
半分に裁断するという意味から文字通り「半裁」と呼ばれます。


※3:uni MITSUBISHI PENCILの『ジェットストリーム』のウェブサイトは下記URLからご覧いただけます。
https://www.mpuni.co.jp/products/ballpoint_pens/jetstream/jetstream/standard.html

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