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事業所を作った経緯(その3)

事業所を作った経緯として「二次障害を防ぎたい」
と思った3つのエピソードを書いています。

今回は最後の3つ目、8050問題について書きたいと思います。

8050問題の最終的なオチは、「結局は親次第」という結論に至る内容なのですが、支援を受けるべき状態だったにも関わらず、支援を受けられず(必要性を感じずに受けないも含む)に大人になったらどうなるのか、を書きたいと思います。

まずは、8050問題とはなんなのか。Google先生に聞くと「80代の親が50代の子どもの生活を支えるために経済的にも精神的にも強い負担を請け負う社会問題のこと」と出てきます。

この8050問題の原因としてよく挙げられるのは以下です。


・ひきこもりの高齢化
・子が無職のため40代~50代の貧困化
・世間体を気にして親が子どもの引きこもりを隠す等

上記3つの問題の裏にあることとして、子のほとんどはなにかしら精神疾患の症状が出ていることが多いです。

実際に就労支援員時代に参加した当事者の家族会では以下のことを聞きました。

・高校2年生の時に統合失調症を診断された
・中高不登校の後、28歳の時の初診で統合失調症と診断された
・高校1年生から引きこもり、その後未受診のまま現在に至る

他にも様々なお話を聞きましたが、上記の当事者の方々の共通する事項として伺ったことは
幼少期に以下の様子が見られたようです。
・歯ブラシや服装に対して異常なこだわりがあった
・落ち着きのなさ(多動性、注意欠如)
・物事の理解力が少し低かった

上記内容は、現在「発達障害」と呼ばれる知れ渡っている内容と同じ様子です。知れ渡ってきた現在になって「言われてみれば子どもの時に同じようなことが多かった」と気づく親御さん(80代のお爺さんお婆さん)が多く、気づくまでに30年~40年経過している方がほとんどでした。また、ほとんど当事者の方が長期入院を経験者で強制入院等で手足を動かせないように固定された方もいらっしゃいました。ベッドの写真を見た時、歴史の教科書に出てくる昔の海外の尋問台を思い出しました。もうリアルというか残酷すぎて声が出なかったです。他害行為や癇癪などで周囲に危害が及ばないようにすることが目的だとは思いますが、リアルを見た気がしました。
気づくことが遅かった原因としては、児童発達支援や放課後等デイサービス等、法律が整いサービスとして広まってまだ10年であることと、小学校や中学校でも支援級等がない時代に育った方は支援の体制が学校側に整っていなかったためで、生まれた時代によってこんなにも差があっていいのかと思いました。

現在の児童発達支援において、上記の様子は「物事へのこだわりが強い」「ふらふらする」「着席して話が聞けな」「簡単な遊びのルールが理解できない」等のお困り事として親御さんからご相談いただくことが多い内容です。支援が世に広まってきたことから、支援が行き届くようになったことが変化として見られますね。

お子さんに上記の様子が見受けられるにも関わらず支援を受けていないと、どうなるのか。


まず、早い段階では「園への行き渋り」が出てきます。「行き渋り」の理由としては、園での生活を楽しめていないことであることが多いです。原因としては、「先生が怖い」「友達と遊べない」等でその他なにかしら本人の思った通りにいかないことが多いです。また、登園時に「玄関で泣いて行けない」こともありますね。「先生が怖い」のは先生からみてお子さんが危険な状態にある場合は注意せざるを得ないため、お子さんは「怖い」と感じることが多く、実際は平気な顔で机の上に乗ったしているお子さんに問題がある場合がほとんどです。これら全ての事柄の裏に隠れていることは「集団生活への適応力」が不足している点にあります。幼稚園の場合は、保育園より集団行動や先生からの一斉指示が多いため、集団生活に必要な能力が低い場合は先生目線でも目立つ傾向にあり、結果的に先生からの促しで療育に繋がる可能性が高いです。一方、保育園の場合は一斉指示や集団での規律は幼稚園程多くなく、保育園の先生も個別対応する余裕がない場合が多いため、課題があっても集団に埋もれやすいです。埋もれやすいことから特性に気づかれずに就学期を迎えるパターンが多いと思います。仮に療育に繋がっても、療育先でハズレくじを引いた場合、その特性にあわせた支援が合っておらず伸ばすべき能力を伸ばせずに就学期を迎える場合も多くあるので、療育先は市役所や相談員さん等、第三者からの意見を聞くことをお勧めしています。相談員さんは相談員としてハズレくじを教えるのはデメリットしかないので、その地域の本当に良い事業所を教えてくれるはずです。

次に、未就学の時に気づかずに就学期を迎えた場合はどうなるのか。

ほぼ小学1年生~3年生の時に支援級等に通う等、対策を講じることが多いです。理由としては、「勉強についていけない」「友達とトラブル(遊べない)」等がメインです。また、この時期から、本人が学校生活の中で自分で困り事を感じることが出てきます。そしていじめ等も小学校中学年頃から始めるケースが多いです。いじめの原因も気づかれていない特性だったりします。

次に、中高校生の時にどうなるのか。

個人的には、この時期には既に不登校となっているケースが多いように思います。中学時代は不登校で出席日数は年間で一桁。高校進学時は不登校から脱出するきっかけになりますが、なにか問題を抱えると高校でも不登校になるケースが多いです。中学時代の不登校はまだ進学先によってなんとか支援に繋がることは可能ですが、高校の不登校は引きこもりになり高校卒業後に支援に繋がる可能性が低くなります。結果引きこもりとなり、外部からの介入がより難しくなります。高校生以上の場合、本人の意思がないと病院にも行けず強制的に受診することが難しくなるため、そのまま支援が届かない場合は将来的に8050の関係性になる可能性は高いと思います。

高校生卒業から8050まで、色々な経緯があって結果的に8050のようになっちゃうのでは?と思うかもしれませんが、個人的には高校卒業してから30歳くらいまでに医療に繋がっていない無職の方の場合、8050の関係性になる可能性は十分高いと思っています。無職の方だけではなく、一度は働いたもののパワハラ等で傷つき身を守るために引きこもるしか選択肢がない状況に陥る場合もあります。医療に繋がっていないことの要因として「親御さんの理解不足」「本人の社会復帰への不安」「双方の精神科への偏見」等が挙げられます。一番厄介なのが「親御さんの理解不足」です。本当にやっかいです。本人になにか手を尽くそうとしても、まず親御さんをクリア(合意形成)にせねば本命に辿り着かないのですから・・・。一番身近な親御さんを支援者側の味方につけることができれば、医療なり福祉なり行政なり動かせるんです。「社会復帰の不安」は家で過ごした期間が長いがために自信が欠如している場合が大半ですので、他者と関わる地域サービスを活用し続けることで福祉や結果的に医療に繋がることもあります。いきなりの医療はむずいです。

色々書きましたが、

8050の関係性が作られた経緯として、50側(子)の問題ではなく、80側(親)に原因であるのではないかと思っています。もちろん時代背景的にサービスや情報自体が足りなかったことや日本特有の精神科長期入院も絡んできます。
ただ、結局子の一番近くにいて、子のために動けるのは親です。親が子の気持ちや状態を理解しようとしていなければ、どんなに時代が変わっても、この問題は解消しないだろうと思っています。

数十年前と比べて、今は事業所が沢山あり選べる時代になりました。親御さんとしてはどこを使おうか、という選択肢になるため使えない、ということがなくなります。ただ、選べるということはハズレくじがあるということです。お預かり型の場合、なにをしているのかは見えないためハズレくじかどうかはわかりません。ハズレのまま事業所に任せて歳を重ねると、結局就学期以降に困るのはお子さんです。そのお子さんにとっておそらく心地よい居場所としては、放デイか相談室になるかもしれません。私からすると、支援は受けていたはずなのになぜ相談室登校になってしまったのか?とツッコみたくなりそうです。今後5年10年で”児童発達、放デイは利用していたのに不登校になった”等「支援の効果出てんの?」といったケースが増えてきそうな気がしています。いや増えますねきっと。そう考えた場合、結局、大人になって社会に出て困る人の数に比例して精神手帳の発行数も増えて、みたいな話に勝手に繋がってしまい、なんだが支援を提供しているイチ事業者としてはちっぽけ過ぎて虚しい気持ちになります。

そんなこんなで色々書きました。個人的にアウトプットの側面もあり、まとまりのない内容となりました。

前職で16歳から86歳の心臓の悪いお父さんから伺ったお話から、二次障害を防ぎたい、と思いで事業所を作りました。正確には事業所をつくるきっかけを前職で得られました。本当に最終的に言いたいことは、結局は親次第で子は変わり、変わった子を見て親も変わるということです。

7月から発達検査(無料)を取り入れようと思いますので、次は発達検査の重要性を書こうかと思います。それではまた書きます!

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