[創作論767] 石器時代のガム

石器時代の若者が噛んでいたガムから、当時の病気や食生活を明らかにする研究が進められています。

1990年代初頭に発掘されたスウェーデン南西部のヒューズビークレフ遺跡は、ヨーロッパ人が農耕を始める直前の中石器時代の遺跡であり、1万200~9400年前のものだとわかっています。
ヒューズビークレフ遺跡からは、樹脂やシラカバの樹皮でできた「ガム」が115個も出土しています。
これらのガムには明確な歯形が残っており、中石器時代以降の石器文化で道具や武器を組み立てるための接着剤として使われていたか、単なる娯楽目的や薬用としてかまれていたとみられています。
研究チームは、このガムに残されたDNAを分析しました。
その結果、DNAの半分がヒト由来のものであり、性別は男女共にありましたがほとんどが10代の若者でした。
一方、残るDNAには吐き出された樹脂片に生息していた微生物や菌類だけでなく、人間が樹脂片の前にかんでいた物質や口内に生息する微生物に由来するものが含まれていたとのことです。
詳細な分析を行ったところ、口腔内のマイクロバイオームによくみられる微生物や、虫歯の病原菌であるミュータンスレンサ球菌、Hib感染症の病原菌などの痕跡も見つかりました。
これらの病原性微生物は高い頻度で存在していたものの、健康な口腔内マイクロバイオームにみられる範囲を上回っておらず、これらのガムをかんだ人々が病気を持っていたかどうかは不明です。
しかし、歯周病に関連する細菌は健康な人のレベルを超えて確認されました。
機械学習による分析の結果、樹脂片をかんだ少女は75%以上の確率で歯周病になっていたと研究チームは結論付けています。
本成果は、石器時代の人類文化の魅力的な記録を理解するための大きな一歩と考えられます。


とてもすごい研究ですね。
創作活動においても、遥か古代に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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