[創作論760] 樹木の育ち

都会の樹木は、周囲の路面が舗装されていると育ちが悪くなると示唆されました。

都市に植えられた樹木がもたらす効果は、樹冠の大きさや密度に左右され、生育の悪い樹木では最大限のメリットを享受することができません。
そのため、単に市街地に植林して緑地化を進めるだけでなく、樹木がより大きく育つ条件を整えることが重要です。
研究チームは、都市における樹木の成長を制限する主なストレス要因のひとつは「路面の舗装」であると指摘しています。
木の周囲の地表がアスファルトなどで舗装されていると、土壌への雨水の浸透が妨げられ、樹木が吸収できる水と栄養素の量が減少します。
また、舗装された地面は大気や地表、土壌の温度を上昇させるほか、土壌の通気も悪くなるため根の発達が妨げられる可能性があるとのことです。
しかし、これまで街路樹の生育と路面の舗装と結びつけた研究は限られていました。
今回研究チームはスウェーデンのヨーテボリとメルンダルの複数地域で、アメリカガシワ・セイヨウトチノキ・セイヨウシナノキといった街路樹に路面の舗装が及ぼす影響について調査しました。
研究では樹冠の密度、樹木の成長、葉から蒸散で放出される水の量など、さまざまなパラメータに基づいて評価が行われました。
これらのパラメータは樹木がもたらす効果と密接に関連しており、たとえば樹冠が大きくて密度が高いほど遮光効果が強まり、蒸散は天然の空調として機能して空気を冷やします。
分析の結果、周囲の地表が草に囲まれている樹齢20~30年の街路樹は、地表が舗装されている街路樹と比較して平均2.6m高く、樹冠が1.3mも広いことが判明しました。
さらに樹冠の密度は61%も高く、冷却効果も2倍ほど強くなりました。
なお、根に水が届きにくいことの影響は木の種類によって異なり、セイヨウトチノキは舗装された路面の影響を最も受けにくかったとのことです。
しかし、路面の条件が良い場合は大気の冷却効果がアメリカガシワやセイヨウシナノキよりも劣っていたそうで、すべてのセイヨウトチノキを植えればいいというわけではないようです。


興味深い研究結果ですね。
自然をテーマにした創作活動もアリですね。

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