[創作論783] ブルーチーズの色

茶色やピンクのブルーチーズを作る技術が開発されました。

ブルーチーズは「Penicillium roqueforti」と呼ばれる青カビを利用して作るチーズです。熟成過程で増殖したPenicillium roquefortiは、タンパク質や脂肪を分解する酵素を産生し、独特の風味を形成します。
2014年、Penicillium roquefortiのゲノム情報が公開されたことをきっかけに、Penicillium roquefortiの研究が進みました。
研究チームは、Penicillium roquefortiの胞子のコーティングに含まれる色素を形成する遺伝子を改変することで、最初は白色だったのが黄緑色、赤茶色、ピンク、暗褐色、水色と変遷し、最終的に濃い青緑色にすることに成功していました。
しかし、食品業界の規制により、遺伝子欠失菌株は商業的な使用が禁止されています。
そこで今回研究チームは、UV変異誘発により非遺伝子組み換え菌株を作成しました。
UV変異誘発とは、生物の遺伝子を直接操作するのではなく、紫外線を利用して生物の遺伝子に変異を引き起こす方法です。
Penicillium roquefortiに紫外線を当てることで、DNAに損傷を起こし、そのDNAが損傷を修復する過程でDNA塩基配列に変異を生じさせ、変異した株の中から色が変化した個体を選抜します。
変異株で作ったブルーチーズを試食したところ、風味の強さや味の特徴が異なると感じられることがわかりました。
色の薄いチーズを試した人は、よりマイルドな味だと感じた一方で、多くの人が色の濃いチーズはより濃厚な味だと感じました。
また、赤みがかった茶色や薄い緑色のチーズを試した人は、フルーティーでピリッとした味がするという感想を述べています。
これは、人は味覚だけでなく、視覚からも味を感じていることを示しているとのことです。
研究チームは、地元のチーズメーカーと協力し、この変異株を使ったブルーチーズの商品化を目指しているようです。


すごい技術ですね。
一度食べてみたいなと思います。

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