[創作論768] 果物の匂い

熟した果物の匂いが、がん細胞の増殖を抑制する可能性があると報告されました。

今回研究チームは、ジアセチルという物質がヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤として作用することを発見しました。
ジアセチルは、果物の発酵中に酵母から放出される揮発性化合物で、ポップコーンなどにバターの香りをつけたり、電子たばこへの香り付けとして使われたりします。
ヒストンは、DNAを折り畳むために、DNAを巻きつけるためのタンパク質です。
このヒストンに作用する酵素であるヒストンデアセチラーゼが阻害されると、発現が抑制された遺伝子が発現しやすくなり、これがいくつかのがん細胞に作用することが示されています。
研究チームは、キイロショウジョウバエとマウスを、ジアセチル蒸気に5日間曝露しました。
その結果、キイロショウジョウバエやマウスの細胞、肺、触覚など、さまざまな組織で遺伝子発現に広範な変化が引き起こされたとのことです。
さらに、培養中のヒト神経芽細胞腫細胞をジアセチル蒸気に曝露すると、ヒト神経芽細胞腫細胞の成長が停止したことが確認できたようです。
また、神経変性疾患であるハンチントン病を起こすように遺伝子変異したキイロショウジョウバエで同様の実験を行ったところ、神経変性の進行を遅らせる効果が認められたとのことです。
ただし、ジアセチル蒸気を直接吸入すると、気道細胞の変異や閉塞性気管支炎を引き起こす恐れがあるとして、治療の最適解ではないかもしれないとされています。


驚きの研究結果ですね。
熟した果物の匂いをかぐと、創作活動の新しい発想が生まれるかもしれません。

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