[創作論794] 電流による反応促進

微小電流で触媒反応を加速する手法が開発されました。

ブドウ糖の分解やアルコール発酵など生体に関連した酸化還元反応には、多くの酵素が触媒機能を果たしており、これを活用してバイオセンサーやバイオ燃料電池などの開発が活発に進められています。
酸化還元反応においては酵素を介した電子のやりとりを伴うことから、触媒反応における電界の作用は非常に重要であり、電位の負荷によって桁違いの反応速度向上が得られることが知られています。
一方で、石油化学工業や医薬製造など化学工業界において主流となっている酸触媒による有機合成反応では、活性表面における分子の結合エネルギーが重要であり、酸化還元反応を含まないことから、これまで電位の負荷が系統的に検討されることはありませんでした。
研究チームは今回、電界作用が酸触媒による有機合成反応に及ぼす影響を検討しました。汎用化学品の原料である1-メチルシクロペンタノールの、リンタングステン酸触媒を利用した脱水反応などで調べた結果、380mVの電位負荷によって反応速度が最大10万倍まで増大できることを発見しました。
詳細なメカニズムに関する研究を通じて、準平衡的なプロトンの移行が促進されてC-O結合を効果的に切断することが推測されました。
実験は二次元的な平面電極を用いて行われましたが、化学工業界で実際に使われる三次元的な容器における実用化の検討も進める予定とのことです。


素晴らしい研究結果ですね。
創作活動においても、電流をうまく活用できれば面白そうですね。

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