[創作論738] リチウムイオン電池の診断

リチウムイオン電池の健全性を、非破壊で診断する技術が開発されました。

リチウムイオン電池(LiB)は、過剰な急速充電などで過度なストレスが加わると、内部のLiイオンが負極表面上で析出することがあります。
Liが析出すると電池の容量や出力を低下させるだけでなく、故障の要因ともなります。
このため、LiBのリユースや長期使用では、Liが析出して劣化していないかどうかを確認することが欠かせません。
従来、LIBの劣化診断は、Liイオンの動きに着目した抵抗値の変化などを計測して行っていました。
しかし、この手法ではLi金属の析出度合いを直接判断できないという課題がありました。このため研究チームは、Liイオンの動きではなく、金属材料の特性の変化に直接的な影響を与える電子の動きに着目しました。
電子を高周波で流すと電子電流が通流経路の縁に集中する表皮効果という現象を利用すれば、負極表面という電極の縁に析出したLi金属を特異的に検出できると考えました。
電子の流れを抽出するため、さまざまな条件で実験を繰り返し、特定の高周波帯域で「イオンの動きや端子など構造体による影響が小さく、電池内部の電子の動きを強調して捉えられる」という性質があることを発見しました。
この高周波帯域では、負極表面にLi金属が存在すると、電子が流れやすくなる方向に電池内部の抵抗が変化することがわかりました。そこで、この抵抗値の変化を捉えられるセンサを試作し、Li金属の析出をモニタリングできるかを検証した結果、非破壊、リアルタイムでLi金属析出を容易に計測できることを確認しました。
将来のLiBのリユース促進に貢献するとともに、Liの析出を監視するためのセンサとしての応用も期待できるとされています。


素晴らしい研究ですね。
創作活動においても、リサイクルの意識を強く持ちたいですね。

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