こけらいふ vol.2 共感と少女漫画

過去の恋愛について思いを馳せる。

当時は別に好きじゃないんだと言い張っていた記憶が、あの頃は恋してたなぁという感想でもって思い出されることもあれば、当時は恋だと思っていた感情が、その時の自分の心音がよみがえるような鮮やかさで、そのまま冷凍保存されていることもある。

君に届けをこの前一気に読んで、足をバタバタさせたくなったり、心臓がぎゅうとつかまれるような気分になるときと、自分が昔恋していたなぁと思う時の気分はやっぱり違う。共感した時の体の感覚と、自分事に対する感情に伴う体の感覚はなんとなく違う。逆に、共感しているときと同じような感覚のとき、私は自分が自分を演じているような、自分の頭の上から、幽霊になって自分を眺めているような、あるいは自分の頭の中に冷たい自分がいて、自分を冷静に分析しているようなそんな感情になる。

自分が自分であることを認めることは何歳になっても難しいのかもしれない。

肉体から乖離したい、解放されたいという感覚が常にあり、手っ取り早いのが、自分じゃない他者に共感することなのかもしれないが、そうじゃない気もする。


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