(続)Modernな熊野とDeepな熊野があるまち・・新宮市②
前回、熊野Modernな新宮は、熊野観光のハブになり得ることを紹介しましたが、今回は、新宮にあるDeepな熊野を紹介します。
意外かもしれませんが、熊野(和歌山県)の最深部は新宮市にあるのです。
古道らしい雰囲気が残る熊野古道大雲取越・小雲取越の真ん中は新宮市ですし、私が大好きな天然林の森やまったく美形な数々の滝など熊野の自然信仰を感じることができるところが新宮市にあるのです。
森
熊野の山も、多くは人工林に覆われ天然の森は少なくなっています。
そんななかで、熊野の自然信仰を育んできた天然林の森は新宮市内にもまだ存在します。
森は「妖精」、「神隠し」、もののけ姫の「こだま」などなど、森にちなむ言葉や言い伝えが多く存在し、「神々が棲む」あるいは「常世と人間界との境い」とされてきました。
特に熊野の原始の森は、火山地質と高温多湿な気候により、鬱蒼とし視界を遮り、人々の畏敬や空想をさせるには十分で、異質で妖しい雰囲気を醸し出しています。まさに熊野の森は熊野信仰の起源である自然崇拝の原点たるところです。
神々が棲まうところであるにも関わらず必要以上に「木」、「林」、「森」とそれから流れ出る「水」が犠牲になってきました。この熊野の森が永遠にあることを願ってやみません。
滝
熊野の森から流れ出る水は、周辺の地形と地質によって美しい滝となります。熊野の滝といえば「那智の滝」ですが、熊野は滝の宝庫でもあり新宮市には数々の美形の滝が存在します。
桑ノ木の滝
気品のある美しい滝。
熊野カルデラに関連する柱状節理の岩のうえを流れます。
熊野の自然信仰を創りだした風景です。
目の前に滝が現れ、滝と向き合うと時間が経つのを忘れることができます。
絶対に行ってほしい滝です。
鼻白の滝
大きな一枚の岩と天然林から流れる二段の滝。
周辺の風景は、ダイナミックでいにしえの熊野の風景を想像することができます。
この山すごいでしょう。ほとんどが天然林です。
当然、水はクリスタルです。
宝龍の滝
熊野の最深部にあります。那智の滝の裏側といっていいでしょう。
滝壺が広く穏やかで、その周辺で佇むことができる心地よい滝。
他にも熊野川沿いには、多くの滝が存在します。
雨の後、国道168号を走ればわかりますよ。
川
日本有数の多雨地帯から流れでる熊野川は、熊野カルデラに沿って流れその複雑な地形と大きさ、清らかな流れと時には大暴れする様子は、山や森、岩などと同様に熊野の自然信仰の原点となりました。
また、最深部から流れ出る支流は、まったくのクリスタルです。
赤木川
赤木川は、奥深い山々から流れてくるいくつかの支流を集め、熊野川に注ぎます。
川の恵みに感謝し、時に暴れる川に諫める。川をお祀りしています。
高田川
この川は、楽しいです。自然プールがあります。川の流れも穏やかですし、安全に気持ちよく楽しめます。
高田川自然プールのすぐ上流(さらに支流)に先ほど紹介した「桑ノ木の滝」があります。
もっと上流に行くと秘湯「雲取温泉」があります。この水系はこの辺では珍しい淡い乳白色の温泉つきですよ。綺麗な川で泳いだあとは温泉へ!!
北山川
日本有数の多雨地帯である大台ヶ原を源流に持ち、豪雨と急流により深い渓谷を形成する奥深い熊野を流れる支流。
この川も本当に綺麗。北山川の支流はさらに綺麗です。エグいです。
下の写真で、撮っているところと真ん中の島(山)の左半分は奈良県、右半分は三重県、右側の山が和歌山県新宮市です。右の川の中に三県境があります。
上流に行けば、瀞八丁があります。右岸側は新宮市です。
さらに上流には日本唯一の飛び地の村である北山村があります。
熊野川
雄大としか言いようのない母なる大河「熊野川」。火山地形のため上流より下流が狭くなっている珍しい川です。
いにしえは熊野本宮大社から熊野速玉大社まで熊野川を舟で下りました。
山のなかを聖地をめざし歩いてきて、この大河を見て熊野へ着いたことを実感して感動したのではないでしょうか。熊野の象徴たる川、熊野信仰の原点たる川です。
今は、熊野川川舟センターから熊野速玉大社まで川舟下りが楽しめます。
歴史と熊野川の不思議を感じることができます。特に外国人には大好評です。
熊野川とその支流を訪ねながら熊野速玉大社、熊野本宮大社間を走る「水の国」のサイクリングは秀逸です。(ほぼフラットです。)
海
新宮の海は、太平洋。でっかい海と、三輪崎の孔島、鈴島や浜の熊野古道である王子ヶ浜があります。
海も山、森、川と同様に熊野の自然信仰の対象でした。神宿る海。そんなダイナミックな風景があるのが新宮の海です。
ここの海も観に来てほしいな。
三輪崎には、孔島、鈴島がありいにしえの風景を観ることができます。
海岸線を歩きましょう。
王子ヶ浜は、七里御浜と同様に浜自体が熊野古道で御燈祭の禊ぎをするところでもあります。目の前は海(太平洋)しかありません。
道
新宮市内には、熊野速玉大社があるので熊野古道が集まっています。
熊野本宮大社→熊野速玉大社:川の熊野古道(熊野川)
伊勢神宮→熊野速玉大社:熊野古道伊勢路
熊野速玉大社→熊野那智大社:熊野古道中辺路(市内には高野坂があります)
熊野那智大社→熊野本宮大社:熊野古道大雲取越・小雲取越(中心部が新宮市)
なかでも、熊野古道大雲取越・小雲取越は、難路であるため歩く人が少なく、昔ながらの熊野古道の雰囲気が残っています。
磨崖仏やお地蔵さんなどの史跡も多く、旅の安全を祈ってくれています。
無音の道で紹介しまたが、音がまったくしない区間があり道の厳しさと相まって自分を振り返るには最高の時間を味わうことができます。
この道の素晴らしさを外国人が理解しており、ここは、日本人より海外のお客さまの方が多いです。
This is KUMANO KODO! です。
熊野速玉大社、熊野本宮大社、熊野那智大社を結ぶ三角形の中心も新宮市にあります。そこにはとてつもないパワーがあるかもしれません。
「Modernな熊野とDeepな熊野のあるまち・・新宮市①と②」で新宮市が持つ魅力を紹介しましたが、熊野を理解するにはほぼ全てが揃っているのが新宮市です。①で書いたように利便性が高く、うまく行程を組めば効率的に熊野が身体に入ります。是非!!
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