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熊野とは① 熊野がそこにある理由・・それは大地の営み

 熊野ってどこ?ってよく聞かれます。熊野は紀伊半島南部のことを言い明確な境界はありません。和歌山、奈良、三重の3県にわたる広大な面積を持つ聖地なのです。日本最大の聖地。
 信仰の中心は、和歌山県にある熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社、那智山青岸渡寺)です。
 紀伊半島には、
 ・自然崇拝の聖地 「熊野」
 ・仏教の聖地   「高野山」
 ・修験道の聖地  「吉野・大峯」
 ・神道の聖地   「伊勢神宮」
があります。古には紀伊半島は神の領域といわれ、4つの聖地が今も存在するところは他にありません。海外でこのことをプレゼンすると必ず食いついてくれました。(笑)
 熊野と都、高野山、伊勢神宮を結ぶ道が「熊野古道(熊野参詣道)」(吉野・大峯へは大峯奥駈道)です。
 ちなみに熊野の「熊」は、隅、端(すみっこ)・・上座・・神の座という意味といわれています。
 だいたいのイメージマップは下記です。

3つの霊場(聖地)と参詣道(古道)

大地の営み

 今から約1400万年前とも1500万年前とも言われますが、世界最大級のカルデラ型の噴火が熊野で起こりました。(この噴火のため地球の温度が10℃以上低下し大量絶滅が起きたとのこと。)「熊野カルデラ」といいます。熊野カルデラの火山活動によって放出されたマグマに由来する岩体が聖地「熊野」を生み出します。
 長い年月の浸食によりその形跡は明確ではありませんが、その後の隆起などの地殻変動による独特な景観が人々を圧倒します。
 古来より日本人は岩、滝、川、巨木などを崇拝してきました。
 熊野はその圧倒的な景観と自然現象に人々は畏敬を感じ「神が宿る」「神が棲まう」地として崇拝されてきたのです。
 まさに熊野は自然に感謝し、愛してきた日本人の心の原点というべきところです。

人々を圧倒してきた景観と熊野カルデラ

 今も人々を魅了する大地の営みを紹介します。

七越峰からの熊野の山並み。
この景色を観て涙を流す方も。

 日本最大の半島である紀伊半島。ほとんどは、山(紀伊山地)です。ここからの景色は、熊野三千六百峰といわれる紀伊山地の山並みと熊野本宮大社の旧社地である大斎原が臨め、熊野本宮大社がここにある理由が何となく感じることができます。
 私は、よくここに来て空と山並みを観てました。すがすがしい気分になるところ。
 また熊野の雰囲気を一目で感じられるところとして多くのお客さまを案内しましたが、そのすべての人が感動し中には涙を流す方もいました。初めてでも何回来ても「何か」をいただけるところです。
 夕陽と星空も最高。

夕焼けの残照のなかのミルキーウェイ

熊野の森。少なくなった自然林の森。
圧倒されます。

 熊野もスギ、ヒノキが多く、なかなか自然林の森とは会えません。熊野古道沿いでも照葉樹の自然林が多いのは熊野古道小雲取越や大辺路など一部です。
 この森は、鼻白で見つけた森ですが、大きな岩と岩の上に必死で生えている木とツル、岩を覆う苔。これが、本来の熊野の森だと感じその場に立ち尽くしました。自然崇拝の熊野の森を撮影したいというオファーがあれば、ここを案内していました。
 熊野のダイナミズムを感じるところなのでここもよく行くところです。

山笑う季節の熊野の森

熊野川の夜明け。ダブルウニウニ。
早朝の熊野川は、絶景の宝庫。

 熊野川は、奈良県吉野郡を源に大台ケ原を源流とする北山川を併せ、新宮市、紀宝町で太平洋に注いでいます。川自体が川の参詣道として一部区間が世界遺産となっている希有な川です。
 熊野本宮周辺の川幅が一番広く、下流の方が狭い面白い川。これも熊野カルデラの影響です。この川の形状と景観が信仰も恵みも災いももたらしました。熊野本宮大社の旧社地である大斎原は、広大な河原のなかの中州に祭祀されたものです。
 水に囲まれた大斎原は常に浄化されている場所。ご鎮座の理由はそこにあります。
 熊野川の冬は、霧が発生しそのなかから昇る太陽と川の景観は圧巻です。
 冬の早朝がお薦め。

北山川の支流「四の川」。
北山川の支流はほんまもんのクリスタルリバー。

古座川にある日本最大級の一枚岩「一枚岩」

 古座川は、熊野カルデラで形成された「古座川弧状岩脈」に沿って流れるまさしく熊野カルデラの申し子。樹木に隠されているが古座川沿いには、約22kmにおよぶ岩塊が続きその代表が幅500m高さ100mの一枚岩です。
 一枚岩のほかにも、天柱岩、牡丹岩、虫喰岩、ツインピークスの嶽の森山、滝の拝、数々の滝など古座川は岩の殿堂です。
 樹木に隠されてなかったら・・日本を代表する観光地になってたかもね。   
 サイクリングで訪れるのが最適です。カヌーも楽しめます。 


ツインピークスの嶽の森山。
標高(376m)は低いですが、岩場やナメトコ岩など楽しめる山。
三重県にある大丹倉。修験の場。
三重県の熊野は、ダイナミックな景観が多数。

橋杭岩の日の出。
この岩もマグマから形成された。

 熊野の海には、熊野カルデラや関連する火山活動で形成された多くの奇岩とそれによる絶景があります。橋杭岩は、その代表格で日の出、真っ青な海・空、月の出、星空などの撮影のため、フォトグラファーが集まります。
 私も被写体に困ったら橋杭に行きました。
 今も信仰の対象となっている岩もあり、パワースポットとして人気です。

中潮以上の干潮時しか渡れない白蛇弁天さま。
海外のお客様も訪れるスーパーパワースポット。

温泉

90度以上の温泉が自噴する湯の峰温泉。つぼ湯は世界遺産の温泉です。
ここでのゆで卵は熊野での人気アトラクションNO.1?!。私は12分43秒で半熟。

 熊野カルデラ沿いだけでなく、熊野には多くの温泉が湧きほとんどは源泉掛け流しです。湯の峰温泉や湯川温泉は、熊野詣の湯垢離(ゆごり)の場と栄えました。古からの温泉は自噴、湯量豊富、良質が当たり前です。
 温泉は、大地の恵みを感じる代表。他にも、絶景、抜群な泉質を誇る温泉が多数あります。

那智にある自噴の温泉。通称「たらいの湯」

熊野を語るうえで最も重要なところなので長くなりました。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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