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本業から逃げないで
苦境のオアシス?他業種参入の心理を読み解く
はじめに
業績低迷や市場環境の変化など、経営が苦境に立たされた時、新たな活路を求めて他業種参入を検討する経営者は少なくありません。しかし、安易な参入はリスクを伴い、更なる経営悪化を招く可能性も秘めています。
本記事では、経営が上手くいっていない時に他業種参入したくなる心理を、行動経済学や心理学の観点から分析し考察します。
1. 確証バイアス:成功体験の過剰評価
過去の成功体験に固執し、新たな事業でも同じように成功できると過信してしまう心理です。過去の栄光にしがみつき、変化する市場環境や自社の状況を客観的に分析できていない可能性があります。
2. 損失回避の罠:現状維持への固執
現状の損失を回避しようと、変化を恐れ、他業種参入というリスクの高い選択肢を選ぼうとする心理です。変化への抵抗感が強く、新たな事業のリスクを過小評価している可能性があります。
3. アンカリング効果:最初の情報に引っ張られる
最初の情報や印象に引っ張られ、冷静な判断を下せない心理です。魅力的な情報や成功事例に惑わされ、十分な調査や分析を行わずに参入を決断してしまう可能性があります。
4. 過剰な楽観主義:成功への思い込み
根拠のない楽観主義に基づき、他業種参入でも成功できると思い込む心理です。市場調査や競合分析を怠り、甘い見通しに立っている可能性があります。
5. 認知バイアスの複合:思い込みの連鎖
上記の心理は単独ではなく、複合的に作用することがあります。思い込みが連鎖し、客観的な判断を曇らせてしまう可能性があります。
他業種参入の失敗例
過去の事例を見ると、他業種参入が失敗に終わるケースは少なくありません。例えば、以下のような例が挙げられます。
家電メーカーが参入したテーマパーク事業: 市場環境の変化や競争激化に対応できず、撤退を余儀なくされた。
アパレル企業が参入した飲食店事業: 十分なノウハウや経験がなく、経営に行き詰まり、売却された。
自動車メーカーが参入した不動産業: 業界慣れしておらず、収益化に時間がかかり、撤退を決断した。
他業種参入前にすべきこと
他業種参入を検討する前に、以下の点について慎重に検討する必要があります。
市場調査と競合分析: 十分な調査を行い、参入する市場の規模、成長性、競争状況などを把握する。
自社の強み・弱みの分析: 自社の強みや弱みを分析し、参入する事業に活かせるかどうかを判断する。
経営資源の評価: 必要な資金、人材、技術などの経営資源を調達できるかどうかを評価する。
リスク評価: 参入に伴うリスクを明確にし、リスク対策を検討する。
撤退戦略の策定: 失敗した場合の撤退戦略も事前に策定しておく。
まとめ
経営が苦境に立たされた時こそ、冷静な判断が必要です。他業種参入は安易な選択肢ではなく、慎重に検討すべき重要な経営判断です。
実際、405事業の相手先企業様は本業の焦りから他業種参入し、負債を増やしているケースも多々見られます。
お知り合いの小規模事業の社長さんが違う分野に手を出しそうになっていたら注意が必要です。
他業種参入したくなったら心理的バイアスがかからないよう、データなど客観的な分析に基づいて意思決定を行ってください。
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