見出し画像

Voice 2020: 教えて、大学生の「いま」

友人の紹介で大学生女子たちと出会いました。
夏休みの間、とある事務所でインターン生として活動する三人。一人は2年生、二人は1年生。それぞれ違う大学ですが、三人とも法律関係の学部に所属しています。
インタビュアー・イノウエにとって、大学生とお話しするのはめったにない機会。自分の大学生活(およそ20年前!)と、どこが同じでどこが違うのか? コロナ禍の今、何を思うのか? 聞きたいことがありすぎます!

聞き手・編集: イノウエ エミ(2020年9月下旬取材)


◆ イマドキ(死語)大学生のスタイル

画像6

―――SNSは何を? LINEは全員やってますよね。他には?

「インスタとTwitter。インスタは2つのアカウントを使い分けています」

「インスタとTwitterとTikTok。TikTokはほとんど見るだけであまり発信はしません」

「私も同じですが、Twitterは3つに分けてます。友だち、趣味アカ、それから大学の先生とかもフォローしているアカウント」

(---→ ほぇー! アカ分けするのがふつうなんですね。いきなりスタイルの違いを突きつけられておもしろいです。ちなみに、基本的に鍵アカ(非公開)だそうです)

―――ニュースや流行などをキャッチする手段は?

「LINEニュースはよく見ます」

「最近、新聞を取り始めました(ひとり暮らし)」

「特にニュースサイトなどフォローしてなくても、Twitterのリツイート(拡散)やトレンドで入ってきますね」

(---→ ちなみに、二人はご実家でも新聞をとっていないとのこと)


―――テレビは見ますか? 好きな番組はある?

「部屋にない(ひとり暮らし)。特に困りません」

「寮の部屋にテレビがない。ちょっとさみしいです」

「けっこう見ます。ネタ番組とか、テーマがおもしろそうなときのアメトーク。ドラマも見ます。最近おもしろかったのは『私の家政夫ナギサさん』と『MIU404』」

―――YouTubeのチャンネル登録、何かしてますか?

「してます」(全員即答!!!) 

(--→ メイク系、お笑い、動物、お笑い、音楽など それぞれいろんなチャンネルを登録しているようでした~!)


―――音楽はどうやって聴きますか? 

「Spotifyで聴きます。無料の範囲で」

「私も。洋楽を聴きます。アリアナ・グランデあたりから入りました」

「以前はAmazon Primeを契約していました」

(--→ CDとか存在しない世界なんでしょうね(笑))


―――お金は何に使っていますか?

「洋服やコスメ、美容室などで飛んでいきます」

「生活費。ひとり暮らし1年目なので、季節ごとに買いそろえる必要がいろいろあって。バイトもしています」

「あまり使わないようにしています。将来、留学もしてみたいし、貯めています」

(--→ ちょっとびっくりしたのは、三人とも「スマホ(携帯)に月額いくらかかっているか知らない」ということ。中学or高校時代に「親子割」のような形で契約し、親が支払う形でスマホを持ち始めるのが今のスタンダードなのですね。大学進学後もその形態が続いているようです)


◆ 自分を好きになるのは難しい?

画像3


―――以前のように自由に渡航できる状況になったら、海外に行きたいですか? 行ってみたいところはある?

「あんまり遠くは‥‥韓国とか台湾くらいは友だちと行ってみたい」

「高校の修学旅行でオーストラリアに行ったとき、飛行機がかなり揺れて苦しんだので、まだ乗る気になれないかも‥‥」

「きれいだな~、行ってみたいな~と思うところ、スマホにいろいろメモしてます。マルタ島とか」

(--→ 実際にパスポートを持っているのは、一人でした。早く海外に行ける状況になるといいですね‥‥)


―――内閣府の調査(子ども・若者白書)などを見ても、日本の若い人は海外に比べて自己肯定感が低いという結果が多いのですが、みなさんの自己肯定感はどうですか?

(3人とも)「あまり高くないと思う」

―――自分のことは好き?

(3人とも)「うーーーん」「そんなに‥‥」

―――自分のいいところはどんなところだと思いますか? ここだけの話ってことで、堂々と言ってほしい!

「割と慎重なところ。裏を返すと、あれこれ考えてなかなか行動できない」

「気を遣うところ? それが悪い方向に行くときもあるけど‥‥」

―――空気を読みますか?

「読んじゃうと思う」

「読もうとしすぎて読めてない(笑)」

「先日参加したzoomミーティング。英語ネイティブの人たちは、雑談を含めて普通に話す。日本人はなかなか自分から話し出さない。私たちとしては、“声がかぶらないように” など気を遣っているつもりもあるのだけど、海外の人から見ると意思表示してないように見えるんだろうなと思いました」


―――意見を求められたとき、言えるほうですか?

(3人とも)「なかなか‥‥」

「まわりと全然意見が違ったらどうしよう?と思ったり」

「感想なら言える。でも、たとえば何かを決めるための意見だったら、他の人がどう思うか気になる‥‥」

画像1

インターン生として、とある会で「仕事と育児の両立」について研究発表した三人。インタビューさせていただいたせめてものお礼に、おすすめの本を紹介しました! 子育て支援、働き方改革や社会保障の仕組み、そして市民としての政治参加に至るまで、さまざまなトピックが対談形式でわかりやすく語られています。何度も読み返して勉強できますよ~! 全力でおすすめ! 
『世界一 子どもを育てやすい国にしよう』 出口治明・駒崎弘樹


◆ いろんな問題がありますよね

画像4

三人とも、『千と千尋の神隠し』が公開された前後に生まれた ” Z世代 ”


―――今、自分たちが置かれている状況についてどう思いますか? 依然オンライン授業が続いているのを始め、通常の学生生活には程遠いですよね。

「4月はほとんど外にも出られず、入学して一人暮らしを始めたばかりということもあって、このまま一人でいるとちょっとまずいかな‥‥という感じになって、バイトを始めました」

―――半年近くが経ちましたが、今はどうですか?

「生活には慣れましたが、学校のことを気軽に友だちに相談できないのは不便です」

―――他の人はどうでしょう?

「寮に入っているのでルームメイトとは仲良くなれたけど、授業はほとんどオンライン。友達の輪が広がりません」

「(2年生なので)友だちや授業の情報交換の面で不便はないけど、大学の環境については疑問があります。
 図書館がちゃんと開いていなくて困るとか。あと学費。オンライン授業なのに施設使用料は変わらない。また、前期はイヤホンとかコピー用の紙、インク代などを一定金額まで大学が負担してくれたが、後期はその連絡がなく、自己負担になるのか‥‥。紙やインクはどんどんお金がかかるんですよね。以前はコピーなども学校で(無料で)していましたから」


―――そういったことも含め、世の中について友だちと話しますか?

「あまり話しません」

―――インターンで学んだことなど、友だちにはあまり言わない? SNSで「インターンでこんな研修を受けた」など発信したりは?

「しないです」

「自分からはあんまり言わないかも」

「隠すわけではないけど‥‥」


―――日本人や日本社会のいいところはどんなところだと思いますか?

「思いやりや気遣い。日本語にも表れていると思います。“よろしくお願いします” とか、英語にはない表現」

「治安がいい。トイレとかも綺麗。みんなきちんとしている、時間も守るし」

―――では、反対に、日本の問題点って何でしょう?

「周りの目を気にして、悪いことを悪いと言えない」

「いろんな場面でのハラスメントの問題。手を挙げて訴えることができない。自分が我慢すればいいと思ってしまう。制度があっても解決されない」

「問題について、自分がしなくても誰かがするだろう、みたいな他人ごと感があるように思う」

「政治の分野を含め、まだまだ女性が進出していない」

「主張が弱い。デモとかもあまりない。昔の日本でデモをしている映像を見て新鮮に感じた。いま私たちには、デモするほど他の人に訴えかけたい強い気持ちがないなと思った。たとえば海外では、先日のジョージ・フロイトさんの問題について、遺族じゃなくても自分のことのように痛みを感じているし、アメリカ以外のいろんな国で大規模なデモが行われている。日本では、他の国で起きたことについてそこまで親身に考えていないような」

―――関心のある社会問題は?

「年金、少子化‥‥どうなるんだろう?と漠然とした不安はあります」

「貧困の問題。どこに生まれたかで決まってしまう」

「移民の問題。今まではヨーロッパやアメリカの問題だという感じだったけど、日本も直面する問題だと思う」

「日本の財政赤字。どんどん増えていっている。どこまで増えて誰が返すんだろう? 経済が良くなるわけじゃなさそうだし‥‥」

(--→ ここでタイムアップ。時間が許せば、まだまだいろいろ出てきそうでした!)

画像5

◆ 編集後記

じかにお話を聞けて良かったです! 三人ともとても礼儀正しく聡明で、誠実な受け答えをしてくれる学生さんたちでした。

小中高はとっくに対面授業が再開しており、大人は飲み会だのGoToトラベルだのでそこそこ遊んでいる中、いまだに学内外の活動が大きく制限されている大学生。不安や孤独、怒りなど、もっとネガティブな感情がばんばん出てくるかなと想像していましたが、特に一年生の二人は現況について言葉少なで、その姿にかえって胸が痛む思いがしました。

さすがZ世代、デジタルネイティブなんだな~と感心!
一方で、ぐいぐい前に出るよりは周りとの調和を重視する点などは、日本に暮らす女性に世代を超えて共通する点かもしれませんね。「自分のいいところは?」という質問に対して、ことさら慎重に、言葉を選びながら答える姿が印象に残っています。

ちょっとお話しただけでも、すてきな学生さんたち。自分のいいところをよく知って、てらいなく言えたらいいのにな(老婆心)。お話の中にも出たように、海外を含めいろんな人と出会うことでいろんな気づきがありますよね。若い人がいろいろ経験できる環境を用意するのも社会のつとめだと思いました。

「コロナ禍の今だからこそできることを」という思いでインターンに来ているだけあって、社会の問題についてはいろいろな認識がうかがえました。
これらの問題は、私を含め上の世代が見過ごしてきたり、解決できずにきたものです。人生の先輩方を尊敬し学ぶだけでなく、ぜひ批判的な目線も持ってほしいなと思います。そこから生まれる新しい動きを支援できる大人になれるよう、私もがんばります! ありがとうございました。(イノウエ エミ)

📷読むコーヒーブレイクで視点をきたえる
カンバセーション・ピースのオンラインミニマガジン “EYE”公開中です!

◆ コラム1.「あつ森」で考える自己肯定感
◆ コラム2.やっぱり有働さんが好き! ~自民党総裁3候補との対峙から
◆ コラム3.ぶっコミュニケーション@クラス懇談会
◆ おすすめ書籍の紹介 『コロナ後の世界を生きる―――私たちの提言』
◆ おすすめネットの記事のクリップ集

さらっと目を通せば15分くらい? いろんな記事をじっくり読み込んでいけば、1時間以上楽しめるはず。
冒頭の無料部分からおためしください😊
コーヒーブレイクということで、お値段は、スタバのラテよりお安くなっております♡ Paypayでも決済可です♡

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?