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『エール』 夢を追いかけた日々は遠く

子どもの手が離れてきて、再び歌手の夢を追う音(二階堂ふみ)。オーディションで歌劇のヒロインを射止めるも、実は「著名な作曲家の妻だから」というコネ採用。失意の中、夫 裕一(窪田正孝)に誘われて、教会の慈善コンサートの舞台へ‥‥。

11/6(金)の回。いい最終回だった‥‥いや、もとい。

冒頭で教会の扉を開けたのは裕一、ラストで閉めたのは音だった。

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苦しいときは殻に閉じこもりがちだけど、誰かが作ってくれた舞台に立ってみるのもいい。
そこで自分の歌を響かせ、人々が笑顔になるのを見届けて、「音楽で人を幸せにするのが好き」と確認する音。
大切な宝箱にそっと蓋をするように、今日の日の終わりの扉を閉めた。きっと次は自分で開くことができるね。

昭和のはじめの女性が「オペラ歌手になる」なんて、かなり遠大な夢だ。
個人教授についたり上京して音楽学校に通ったり、現実的に努力もした音さん。

でも、結婚して出産して子育てして、時代のうねり(戦争)があって。
そうこうしてるうち、10年20年あっという間に経つんだよね。
子どもは立派な反抗期を迎えるまでにすくすく育ち、夫は「ここまで音楽を続けてこれたのは妻のおかげです」と心から感謝してくれるけど、気づいたら自分の人生は小さくまとまっている‥‥。

コンサートに来てくれたお客さんたちも、

・夫と娘
・音楽学校の同級生
・そこで歌手として大成したかつてのライバル
・姉夫婦とその養子(的な子)
・歌の先生たち
・夫の幼馴染み
・娘の友だち

って感じで、音の人間関係は、「若いころ」と「親族関連」のほぼ二種類なんだよね。昭和の女性が年齢を重ねるってことの、ひとつの類型だなあとしみじみした。
令和に生きてる私だって、大して変わらん気もするし。いや昭和生まれやけどw

そこに、どんなふうに「自分の幸せ」というか「自分」を見いだすか?
‥‥って話だったんだよね。

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それにしても、音の幸せは夫の裕一がマッチョさから程遠い男だってことに拠るところが大きいなと思う。

吟や梅や光子さん、なつ(@なつぞら)やみね子(@ひよっこ)、すみれ(@べっぴんさん)も同じだ。

朝ドラには、いろんなタイプの「マッチョイズムに染まってない伴侶」が出てくる。
朝ドラって中高年のための枠というイメージが大きいけど、そういう意味では、若い女の子たちに見てほしいな~なんて思ったりもするんですよね。


・今週の二階堂ふみの歌。「うますぎない上手さ」の調整がすごい。音楽学校時代より微妙に衰えた歌唱力(高音がちょっと不安定とか、音程が少し外れてるとか)を表現してたよね。

・終了後、音と華の会話を裕一が立ち聞きしてるのが小さなツボだった。立ち聞きは朝ドラのお家芸!

・戦後のエピソードどれもぐっとくるんだけど、吟(松井玲奈)の夫、智彦さんまわりのエピソードもすごくよかったよねー! ケンに「住み込みで!頼む!」と頭を下げるシーンもだけど、吟に「この子は誰?」と聞かれて答えた「俺の友だちだ」で涙腺がぷつんと😭

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