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大豆田とわ子と仕事とジェンダー(4話まで)

・大豆田とわ子の仕事パートが好きだ。1話、急なトラブルに見舞われ徹夜し、翌朝なんとか納品してホッとするシークエンス、そのプロセスの描写にすごく共感した。

・絶対に間に合わせないといけないんだけど、一致団結して気迫で押し切るというよりは、内心「できるかな。できないかもしれない」と半分疑ったり、脈絡なく昔の情景を思い出したりしながら作業する大豆田とわ子。それでも結果的に間に合っちゃう年の功というか経験値。

・「ギリギリの仕事」って、ドラマでは(TBSの日曜9時的にw)迷いなく怒涛に突っ込んでいくふうに描かれがちだけど、危うい綱渡りを “ ふわふわとこなしていく ” 感じがリアルだった。すごいわかる。

・3話、現場(設計)を立てれば管理が立たず、管理に沿うと現場から激しい反発をくらう。会社あるあるですね。大豆田とわ子は社長だから意思決定しなければならないが、社長にしては若く、就任したばかりで、しかも女性である。誰にも相談できない大豆田とわ子。家に帰って自分で新たな図面を引く。

・予算の範囲内に収まり、かつ現場のベテランも納得するクオリティの図面である。もともと有能なプレーヤーだった彼女、プレイングマネージャー的なアプローチをしたわけだ。大豆田とわ子の涙ぐましい努力。

・しかし、もともと斬新な図面を引いた天才肌の若手は会社に失望して辞めていく。実際は、若手は社長の立場を理解し、逃げない姿勢を尊敬すらしている。けれどその思いが彼女に届くことはない。苦い結末を噛み締める大豆田とわ子。

・社内で孤立しがちな大豆田とわ子。社長だから、おっさんばかりでつまらない業界の会食にも行かなきゃならない(※コロナが存在しない世界観です)。
一方、社内では「社長って、飲み会に出てるだけでパワハラ」w 切なすぎるナレーションww

・そんなとき、会社に不法侵入(笑)してきたシーズン2こと2番目の元夫、東京03角田は尋常でないボリュームの花束を彼女に差し出す。誰もいない夜中の社内で華麗に踊る東京03と大豆田とわ子。

・「中年ふたりが躍るドラマの名シーン」のフォルダに入れました。ちなみに、ほかには『エール』での薬師丸ひろ子と光石研(幽霊)が自宅の狭い廊下を進みながら躍るシーンとかが入ってます。

・300円にもケチケチする東京03の「器を小さくすればいいんだよ」というアドバイスが最高。本当に目を覆うばかりの器の小ささをさんざん見せつけられたあとだから「そんな彼だから今の大豆田とわ子を慰めることができたんだ」というのがめちゃくちゃ効く。優しい世界。

・‥‥‥って、すっかり大豆田とわ子に感情移入してたけど、私、社長やったことなかったw(当然w

・4話、かごめから見た世界。市川実日子、『アンナチュラル』で石原さとみのバディやったのに続いて、ヒロインの女友だち役がきてるね。

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・「じゃんけんで一番弱いのは、じゃんけんのルールがわからない人」
「みんなが当たり前にできることが私にはできない」
「大人になるのにあと100年くらいかかる」
「私から見たら全員が山。山に囲まれてる」
「あなたは社長。私には何もない」

・かごめ~!(号泣) 

・でも、かごめととわ子は、動物の鼻かなんかの(徹頭徹尾どうでもいい)テーマで、ワイングラスを投げて割るくらいの大ゲンカができる仲。そんな女友達、そうそう誰にでもいるもんじゃない。大豆田とわ子ワールドは女子の夢。

・かごめ 「あなたは社長。あなたみたいな人がいることで、小さい女の子が「私にもできるかも」と思える。すごいことだよ。あなたがやらなきゃいけない仕事」 

・かごめ~!(号泣)(再)

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・シーズン1こと最初の夫、八作(松田龍平)について「モテ方が自然現象」「公共の敵」「オーガニックホスト」ってめちゃくちゃ笑ったんだけど、彼がなぜモテるのか、その本質は、サラ(石橋静河)のセリフに表れている。それは「女性に負け続けることができるから」。なーるーほーどー! 彼は男のゲタを履かないのだ。

・このドラマ、ほんとセリフが多くていちいちハイコンテキストだから咀嚼が大変だわww

・わざと嫌われようとする八作の演技は「おしっこが止まらなくて」「3日間風呂入ってない」、そして女性に対して「太った?」。つまりセクハラの嵐。

・その演技を見抜いたサラが「男の子みたい」と言うのもふるってる。八作は演技だから(そしてサラは八作に恋してるから)許されるものの、「本来、セクハラ男はガキなのだ」という指摘である。

・そして、そんな八作が好きなのは、実はかごめだった!! 
彼女にとって大豆田とわ子は友だちを超えて「家族」。恋愛をしないかごめにとって、「家族」がもっとも近しい人間関係だ。
つまり、八作は、かごめの家族になるために、大豆田とわ子の夫になったと‥‥?

・すげー爆弾ぶちこんでくるな!!! 

・ちなみに、大豆田とわ子の一人娘、唄が、医学部を目指してたのに突然「受験やめてお金持ちと結婚する」と言い出し、メイク動画なんかにハマってるのもジェンダー問題に起因するのでは?と想像したり。女子が医学部を受けても点数をゴリゴリ引かれるのが我が日本であるからして。

・演技がうまくて、歌もうまくて、踊りまでうまい大豆田とわ子。「ば~か ばかばか ば~か!」の言い方ww 松たか子にできないことはないw

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