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【BIMからAI、ブロックチェーンまで】建設業に大きな影響を与えるテクノロジー5選

建設業の仕事を変える(建設DX)ことになる、テクノロジー(IT)トレンドをキーワード毎にまとめてみました。

どうしてもマニアックになってしまい、わかりにくい点があるかもしれませんが、最後まで読んでもらえると嬉しいです!

建設テックとは。生産プロセスにおけるデータを「溜める」「活用する」技術のこと。

産業におけるIT活用のことを〇〇テック(金融×ITでFinTechなど)と呼ぶ風潮があり、それの建設版を建設テックと呼びます。

Construction TechやCon-Techとか色んな表現がありますが、個人的には『建設テック』が気に入ってるのでそう呼んでます。

市場や事業としての面白さや魅力は、過去にnoteで書いているため、是非そちらを読んで頂ければと思います。

建設テックは市場として盛り上がってきており、サービスも増えてきてはいますが、具体的にどう世界を変えるのかといったテクノロジー目線の話はまだまだ少ないと感じたため、解説してみようと思いました。

その前に、建設業で使われるテクノロジーやサービスを建設テックと括ってしまうと広くなり過ぎてしまうため、先に私が思う建設テックの範囲をお伝えしておきます。

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建設テックとは「現実世界の建物とデジタルにある建物の橋渡しをするための技術」だと考えています。

建物を建てる過程で発生する行動を、デジタルの建物情報として「蓄積する」か、デジタルの建物情報を「活用して」現実世界の建物を建てるかのどちらを効率化するための技術が建設テックです。

この定義を踏まえて、今回は少しでもオリジナリティある解説が出来そうなテクノロジーを5つ選んでみました。

BIM ・ CIM

建設業の人には語る必要がないぐらい10年ほどバズワードとなっているBIM・CIM(ビム・シム)ですが、継続して注目のテクノロジーです。

3次元データベースとも呼ばれ、2次元図面が中心の建設業において、3次元というわかり易い見た目を提供するだけではなく、データをオブジェクトとして扱い情報を持たせる事ができるのが特徴です(例えば壁というオブジェクトに対して値段や素材をデータとして持たせることができる)。

BIMがBuilding Information Modelingの略で建築、CIMはConstruction Information Modelingの略で土木で使われるという事で区別されています。(この使い分けは日本独自のものらしいですが)

国交省もCIMに続き『建築BIM推進会議』を設置して、民間だけでなく官でも大きな動きがあり2021年も建設テックの中心的存在になると考えています。

一方で、最大手以外が行う一般的な建設プロジェクトにおいては、普及していると言うには遠い印象です。

普及に至らない最たる理由としては、BIM・CIMツール(データを構築するソフトウェア)の周辺ソリューションが少なすぎることが上げられます。

2次元は紙に印刷したり、PDFで出力するなどデータの活用が非常に簡単かつ汎用性が高いです。

しかし、BIMは3次元のため同様のことができず、BIM・CIMツールは進化していくものの、構築したデータを活用するソフトウェアが少なすぎるため、3次元データベースを構築するに見合ったコストメリットを出すことが非常に難しいのが現状です。

今後はBIM・CIMのエコシステムを、いかに作っていくかが課題であると考えられ、それらが上手く回ることで本来のデータベースとしての力を発揮できるようになるでしょう。

ボタンひとつで建物のコストが算出できたり、必要な図面が瞬時に出力できたり、工事計画のパターン別シュミレーションを行い最適解が瞬時に導き出せたりと、建設業における生産性向上に様々なシーンで大きく貢献していくことでしょう。(すべてはBIM・CIMが出ててきた10年前から言われていることですが、実務で効率的に実現できた例は多くありません....)

私たちが開発しているPhotoructionでも、BIMデータを活用できる周辺ソリューションの一つとして『Photoruction BIM』というオプションを用意しているため、興味のある方はぜひお問い合わせ頂ければと思います。

ブロックチェーン

主に仮想通貨で使われてるプロックチェーンですが、建設業でも活用の可能性が大いにあります。

様々な活用の仕方があると思いますが、個人的に期待しているのは工事記録の原本性の保証です。

現在の建設工事において、進捗や品質を記録するために使われるのは主に「写真」です。

そのため工事写真は改ざんが行われると、品質を担保できなくなってしまう事から、行政が定めた厳密な各基準に従って撮影する必要がありました。(厳密に言うと、民間工事は準拠する必要がないのですが、実質的には沿ってきた形です)

しかし令和2年の今年、工事写真の基準において主流となっている「デジタル写真管理情報基準」が数年ぶりに大きく改訂し、これまではJPEGしか認められてなかった工事写真が「JPEGやTIFF形式等」も可となり、さらに監督職員の承諾が得られれば動画までも扱えるようになりました。

つまり、これまでは単なる写真というデータに、多くの情報が付加できるようになったのに加え、写真という形式に拘らない記録も認められるということになります。

そのため、動画や360写真、点群などをはじめとした効率の良い記録と、そこに付随する情報を合わせた新しいスタイルの進捗管理が出来るサービスが出てくると予想されます。

その時に、大前提として記録の原本性を確保するための技術がブロックチェーンとなります。

ブロックチェーンを活用すれば、例えば建設業が自社展開するアプリケーションで記録さえすれば、原本証明ができるようなことが可能になるため、ハードウェアは何で記録しても良くなります。

プライベートチェーン(仮想通貨で使われているのは主にパブリックチェーン)を活用すれば、そのネットワークの中であれば誰が撮影しても同じぐらいの信頼性があるということになり、ゼネコンはより協力会社や機械に頼ることが出来るようになるかもしれません。

ブロックチェーンだけ切り取るとインパクトが無かったり、生産性をあげる有効的な手段が考えにくかったりしますが、インフラであり前提技術として考えると、建設業に大きな影響を与える可能性を秘めていると思えるのではないでしょうか。

AI(人工知能)

説明不要な気はしますが、大量のデータをコンピュータが学習して人間のように何かを判定したり分析する技術です。

当社でも、aoz cloud(アオズクラウド)と言う建設業特化のAIを開発して2年経ちますが、AIは既に建設業でも実用化できるレベルに達していると考えています。

どのようなことが出来るかと言うと、一例ではありますが紙やPDFの図面をAIに見せると、部屋の形状であったり使われている記号であったり柱の位置など、特定の情報を自動的に抽出できます。

それで何になるんだ?って思うかもしれませんが、抽出した後に他の情報と組み合わせることで、人間が行っているタスクの一部を自動化できるのが強みです。

例えば検査書類を作る作業は、人間が図面を見て特定の情報を書類に落とし込むというものですが、従来だと建物によって図面が異なるため、簡易的に書類作成ができるソフトウェアの開発が限界でした。

しかしAIを用いれば、どのような図面でも書類に使う情報を引き出すことが出来るため、従来のソフトウェアと組み合わせて使うことで書類作成の完全自動化が可能となります。

これはヒトが行っているタスクの一部完全に機械へ置き換えたことになり、建設業の方はもっとクリエイティブなことに時間を使うことが出来るようになります。

もちろん、AIは図面以外にも写真や工程など様々なデータから必要な情報を抽出するのに使えるため、今後データを適切に溜めることで、どんどんタスクの自動化が進んでいくのではないかと考えています。

一方でデータがないと考える事が難しく、人間のように業務のコンテキストを読む事ができないのは課題です。

例えば人間であれば平面図に柱が書いてなくても、どこに柱があるかと言うのはわかるかと思いますが、AIは書いてないもの、学習していないものは判断する事ができません。

そのため、人間が行っているプロセスの置き換えは暫くは難しいでしょう。

5G(第5世代移動通信システム)

現状よりも10倍以上、通信速度が早くなると期待されている5G。

近年、建設業ではこの5Gを用いた土木工事における重機の遠隔操作などの取り組みなどが盛んです。

こういった遠隔で現地に影響を与える取り組みは多くなってきているものの、すぐに恩恵を受けるのはシンプルにファイルのやりとりなどではないかなと思います。

大容量データが多い建設業において、インターネット回線はまだまだ遅いと感じることが多いです。

例えばBIMなどの3次元ファイルを筆頭に、図面データは大きいファイルで500MBを超えたりすることもあるため、頻繁にデータを更新してやり取りするという行為そのものがストレスだったりします。

また、工事現場の事務所にNAS(サーバー)をおいてファイルのやりとりをしている会社もまだ多いですが、外部との接続はインターネットでのやりとりになる事が多いため、NASに入ったファイルを移動するのも大変だったりします。

5Gになったときにそういった大容量データの更新を、よりリアルタイムで出来るようになるため、日々の仕事がグッと楽になるのではないでしょうか。
※なんか普通すぎてすいません...

VR(バーチャル・リアリティ)

仮想空間で建物を再現できるVRは、建設業においては主に営業で活用される機会が増えてきました。

顧客に見せるのもの派手ですし、何よりも図面で話すよりもイメージのすり合わせができるため、顧客満足度を上げつつ手戻りが減りメリットも大きいと聞きます。

そういった意味では既に非常に有効なテクノロジーではあるものの、業界への影響という所だと、VRの建物を専属で請け負う建設業が出てくると予想します。

もともと、パース専門の会社があったり、専属のチームがいる建設業などもあったりしますが、VRはより作成した後の活用性が高いということで、より専門家の需要が高くなってくると考えています。

解像度や没入感、VRへのアクセス等はどんどん技術革新によって改善されていくため、VRで生活すると言う日も思っているより遠い未来ではないと思っています。

そうなった時、現実世界で空間を造る建設業のノウハウはVRでも活きるはずです。

現実世界ではありえない構造の建物なども可能になるため、これまでの制約から離れた考えもでき、面白い建物が沢山生まれるのではないでしょうか。

最後は少し趣旨と違いますが、働き方を変えると言う意味ではこういった目線もあると思い紹介してみました。

働き方を変えるテクノロジーはまだまだある

ここまで5つのテクノロジーを紹介してきましたが、もちろん建設業を変える可能性のあるテクノロジーはまだまだあります。

IoTは設備機器に埋め込むことでメンテナンスのやり方を大きく変える可能性を秘めていますし、MRやARも営業や設計の考え方を変えて行っています。ウェアラブル端末も小型化していくことで、施工管理における効率化をより高めてくれますし、フォトグラメトリは写真を撮影するだけでBIMデータとの比較により自動進捗管理を可能とするかもしれません。

そして、テクノロジーの進化に伴いそれらを有効的に提供するサービスが必要となってきます。

私たちが開発している建設業向けクラウドサービス『Photoruction(フォトラクション)』は、ここで紹介したテクノロジーが建設業に与える影響、そして未来を見据えつつ、直近の実務で便利に使えるサービスとなることを一番に意識して提供しています。

自分たちで保有していないテクノロジーは、様々な企業様と積極的に連携して推進していますので興味ある方は是非ご連絡ください。

また、一緒にこれらのテクノロジーを広めて、建設産業のDXに挑戦してくれる仲間も広く募集しています。

私のTwitterに直接DMをして頂くか、以下のページから応募出来ますので、こちらもお気軽にご連絡ください!




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