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1,000億を超えるIPOやM&Aも実現! 魅力的な建設テックの世界。

建設とITを融合した「建設テック(CON-TECH)」が世界中で盛り上がりを見せています。

米国では1,000億円を超えるIPOやM&Aが既に実現しており、次は我こそだと言わんばかりに数多くのスタートアップ が国内外で登場しています。

フォトラクションもそんな建設テック企業の一つですが、今回は建設テックとはそもそもどんな物なのか、そして事業としてどんな魅力があるのかと言う視点でnoteを書いてみました。

建設テック企業で働いてみたいと思っている方、事業の種を探している方にとって、少しでも参考になれば良いなと思うため、ぜひ最後まで読んでみてください!

『乗り物業界』と言っているのと同じ。とにかく広い『建設業界』。

建設テックを一言で表現するのであれば「建設とテクノロジーを組み合わせたサービスを用いて、建設業界の課題を解決したり、働き方や産業構造を良い方向へ導いたりすること」でしょうか。

最近だとデジタルトランスフォーメーション(DX)と言う表現もできるかもしれません。

しかし、『建設業界』と言う言葉は『乗り物業界』と言っているのに近く、とにかく幅広い言葉として捉えることができます。

例えば建設業界を専門や生産物の違いで切っても、これだけのジャンルがあるわけです。(業界の人から見たら雑だったり間違っていたりでお叱りを受けるかもしれませんが。)

- ゼネコン(大規模な建築・土木の総合請負)
- 内装工事
- 設備
- 意匠設計
- FM
- 戸建住宅
- リフォーム
- 学校・文化施設
- 工場
- プラント
- 通信建設
- 店舗
- 道路
- 鉄道
- 水道
- 河川
- 発電用土木

さらに、これらには一つ一つに特化した建材(材料)や人材がいます。

工事の職種を見ても覚えきれないぐらい沢山あります。
(出典:http://yamadasougou.co.jp/kensetsu_qa/part1/q1)

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また、バリューチェーン毎にも職業や企業などが異なります。
(出典:https://www.ypmc.co.jp/topics/blueocean/1845/)

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これらの複雑かつ膨大な要素が『建設業界』を構成しているのです。
(※ ちなみに「建設」という言葉は建築と土木の総称です。土木は橋やダムなど、人が生活しない建造物を指し、業界では明確に言葉を使い分けています。)

理想だけでは解決できない課題の深さと大きさが魅力

建設テックというのは上記で示したいずれか、もしくは横断した分野にテクノロジーを当てはめていくことになります。

しかし、ここでも多くの要素が絡んでいるため簡単には解決できない課題が沢山あります。

例えば、よく業界内で問題視される多重下請構造。

元請の下に1次請負、2次請負、3次請負と工事会社が続くことで受発注が多階層の関係になってしまう状態です。

直接やり取りすれば中間マージンもなくなり、全員ハッピーになる!だからテクノロジーの力でこれを解消したい!

構造だけ見ると確かにそうなのですが、この間にいる企業が何もしていないわけではありません。(建設業法としては丸投げは禁止です。)

日本の建設業界は材工共といい、材料と人工がセットで請負のが基本(これがEC化も妨げています)なため多くの調整業務が間で行われています。

また、受給の波が激しいことから、多重構造によって調整する事で業界全体が成り立っています。

他にも多重構造は様々な役割があり、一概にそれ自体が課題というわけではなく、事象に潜む本当の課題というのが隠れています。

幅広い領域から一つ選び、深く潜って本当の課題を見つけ解決するプロセスこそが、建設テック最大の醍醐味と言っても良いかもしれません。

ちなみに、私たちフォトラクションは一言で表現するなら「ゼネコンのバリューチェンを可視化して、生産性を向上しつつ人手不足問題を解決する」という広範囲かつ高難易度で時間が掛かる一方で、建設業界においては最も大きな(一つである)マーケットの課題に挑戦しています。

人手不足を解決するための、建設BPOというサービスについて書いたnoteもあるので、ぜひ合わせてご覧いただけたら嬉しいです。

グローバル企業からスタートアップまで幅広い建設テック企業

建設テック企業側から見ると、どの領域から入ってどこまで広げていくのか、と言うところでマーケットの大きさが決まります。

しかし領域が広くどの課題も深いこともあり、たった一つの領域でもマーケットサイズとしては十分すぎるほど大きく、そこを仮に独占するだけでも事業としての大きな成長が見込めてしまいます。

例えばバリューチェーンの「設計」における作図に掛かる効率の悪さをまるっと解決した企業があるのですが、今では時価総額2兆円を超えるグローバル企業になっています。

業界人にとってはお馴染みAutodeskと言う企業ですが、「設計」における他の課題もたくさんあり、現状もまだまだ同業他社が多くいると言う状態です。

その他、テクノロジーが入ってない領域は多く、国内でも多くの企業やサービスがあります。

私のnoteばかりで恐縮ですが、どんなサービスがあるのか興味のある方は以下のnoteを見ていただければと思います(これでもほんの一部です)。

この中だけでも年間の売上が数十億になっているサービスがゴロゴロ存在していて(もちろん上場している企業も)、建設業界向けサービスのマーケットサイズの大きさを垣間見ることができるかと思います。

さらに、米国では企業価値が1,000億(!)のスタートアップも複数生まれています。

ここでは有名所として3社ほどご紹介したいと思います。

・PlanGrid(次世代図面サービスの提供)

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iPadが販売された時からサービス提供していますが、重たい図面を全てタブレットに入れて注釈はもちろん図面同士のリンクや、githubのように差分比較したりと、高性能な図面ビューワーを提供しています。
2018年にAutodeskが8億7,500万ドルで買収して話題となりました。

・PROCORE(建設業のOS)

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2002年からサービス提供している建設テックでも歴史ある会社となります。
バージョンアップを繰り返している分、特徴が一言では説明できないぐらい、たくさんの機能を提供しています。
その高機能ぶりは驚くものがあり、なんとOutlookやGmailのようなメーラー機能まで独自に実装しているぐらいです。
元々はインターネットやメールが建設業にまだ普及していない2000年代前半に、インターネット回線を繋ぐ手伝いのついでに一緒に導入してもらう、という営業スタイルで普及させていったようです。
今年の3月に時価総額4000億円を超えてIPO申請があり、こちらも大きく話題となりました。

・KATERRA(戸建ての自動施工)

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こちらは少し毛色が違いますが、テクノロジーを活用した建設業です。
営業から設計、施工までの垂直統合形の独自システムを活用して超効率よく戸建住宅の建設を自ら行っています。
米国ではいわゆる日本的なハウスメーカーがないため、新しい建設業として注目を集めています。
2019年にソフトバンクが評価額30億ドルで8億ドル近く資金提供して話題となった企業です。

建設テック特化のベンチャーキャピタルも登場

建設テックが盛り上がっている証拠の一つに、未上場の建設テック企業への投資を専門にする建設テック特化型のベンチャーキャピタルが出てきています。

多額の投資マネーが建設テック企業に流れることで、単なる効率化を実現するITツールだけではなく、働き方や産業構造に影響を与えるような大きな成長を目指すことができます。

お金があるところに優秀な人も流れていくので、未上場企業に投資するベンチャーキャピタルはスタートアップにとってみて非常に大事な役割を果たしています。

今回、日本ではあまり取り上げられることのない、建設テック特化型のベンチャーキャピタルを何社かご紹介します。

・Brick & Mortar Ventures

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米国のベンチャーキャピタルであるBrick & Mortar Ventures(ブリックアンドモルタルベンチャーズ)は、世界有数のゼネコンであるベクテル社の創設者一族によって設立された100億円規模のベンチャーキャピタルです。
投資先には上記でも触れたPlangridに加えて、同様にAutodeskに買収されたBuildingConccected、建設データの分析ツールとして急成長しているRhumbixなど多くの有望な建設テック企業に投資を実施しています。(他にもFIELDWIRE、buildzoom、ALICE TECHNOLOGIESなどまだ日本では無名ですが素晴らしいサービスを提供する企業が多いです)

・BUILDING VENTURES

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こちらも同じく米国に拠点を置く、建設テック特化のベンチャーキャピタルです。
投資先はWeWorkに買収された建設SaaSであるFieldlens、Googleに買収された3次元ツールであるSketchUpなどがあります。
パートナー企業もAutodeskやBentleyなど先行してグローバル企業となった建設テック企業も参画しており近年の建設テックへの注目度の高さも伺えます。
https://buildingventures.com/network/

・FOUNDAMENTAL

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こちらも米国を拠点とするベンチャーキャピタルです。(建設テック特化ファンドが米国に3つも!起業家もですがファンドも米国は層が厚いですね)
投資先は私はあまり知らないところが多いですが、設立されて間もないと言うこともありこれから台頭してくる企業が多いのではないでしょうか。
マーケットサイズや投資機会がどのぐらいあるのか解説しているページもあり、建設テックの可能性や魅力が伝わってきます。
https://foundamental.com/investment-thesis/

・JAPAN CON-TECH FUND

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最後は唯一の国内ファンドです。
カシワバラコーポレーションのコーポレートベンチャーキャピタルであり、国内の建設テック企業を中心に投資活動を行っています。
投資先は掲載されていないので、残念ながらどう言ったところに投資しているのかわかりませんでした。
ファンドと並行してCON-TECH MAGと言うメディアも行って情報発信しているのですが、海外の情報が多く非常に参考なります。
ファンドサイズは50億円と言うことで、まさにこれから建設テックで事業を始めようとする国内起業家は連絡してみると良いのではないでしょうか。

建設テックはDisruptではない。

雑多に建設テックのことを書きましたが、最後に強調したいのは建設テックはDisrupt(破壊的イノベーション)なサービスを目指してはいけないと言うことです。

スタートアップ の世界ではその業界を変革させてしまうことをDisruptと呼びます。

確かに建設業界は構造や業務だけ見ると、非常に非効率であったり無駄が存在しているかもしれません。

しかし、長い年月をかけて培われてきた事にはそれなりの意味があり、それが課題の広さや深さに影響してはあると思います。

建設テックも最近はスタートアップが台頭してきましたが、歴史ある企業が数十年かけて建設業界と共に歩み進化させてきました。

だからこそ、新しく参入するサービスもDisruptではなく建設業界に寄り添わないとうまくいきません。

フォトラクションも建設業界の一員だという気持ちで事業を進めています。

ここまで読んでいただいた方は、何かしらで建設テックに興味がある方だと思うので、ぜひ協業や事業のディスカッション、はたまたフォトラクションに興味を持っていただけたのであれば、ぜひご連絡ください。



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