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高級な店よりもクセの強い店に行け!

「たぶん、あの赤ちょうちんが光っている所だと思うけどなあ。あっ、ここ、ここ。でもやっているのかあなあ。」
ドアを開ける。
カウンターだけの店内、女性が二人カウンターで食事している。
店員は‥どこだ?
全体的に暗くなっているしもう閉店したのか?
時間は21時を回っているので早い店ならば閉店もしている可能性もある。


昨日は大学の後輩理学療法士と2人飲み。
10年くらい前から遊んでいる仲間の末っ子的存在。
私よりも6つ年下。
昔は皆で飲みに行き、2次会でラーメンを食べに行き、替え玉をしまくり、彼のお腹をパンパンにしてあげるのが日課になっていた時期もある。
そんな彼も今は2児の父。
破天荒な生き方から一転、しっかりと首輪をつけられた従順な生活を過ごしている。
年に1、2度、皆で集まる際に顔を見る。
4,5人で集まるのでそれほど深い話にはならない。
彼は理学療法士であるが薬の研究を行う会社で働いている…と思う。
この表現も正しいのかどうかわからない。
何度か聞いているつもりだが何をやっているのかイマイチよく分かっていない。
そんな彼から年賀状が。
「3月に転職します」
モヤモヤしてそうだな、と思っていたので急遽私からお誘いをし1on1で飲みに行くことになった。

敢えて予約は取らず、1人ではなかなか入りにくそうな店シリーズを開拓。
1件目、なんとなくの雰囲気を感じ取った私が突入。
「こちらどうぞ」
奥の方は広そうだが通されたのはカウンター。
狭い、狭すぎる。
隣の人とちょっとぶつかっているし。
場所は狭いが料理は非常に美味しい。
後輩の彼の話を真剣に聞く。
しっかり聞いたのは初めて。
3月からは今の会社と同じような会社へ転職するとのこと。
理由を聞いたがよく分からなかった、
が、
私が例えた
「お客様に美味しいものを提供する為にラーメン屋やっていたけど、麺が自分にしっくり来なくて製麺所に転職した、ってことかな?」
という質問に
「だいたいそうです」
ということなので一歩理解が進んだということで良いだろう。

ひと通り食べて飲んで、締めのラーメンをやはり彼には食べさせないといけないな、ということで食べログ検索。
小さな中華料理屋のエビワンタンメンと焼き小籠包が美味しい店を発見、クチコミをさらっと見ると美味しいが店主のクセが強い、とのコメントが。


「やってますよ、やってますよ」
半分だけドアを開けて中を覗いていた我々の後方からカタコトな日本語でやってきた店主。
カウンターに誘導される。
ビール、そしてクチコミ通り、エビワンタン麺と焼き小籠包を注文。
確かに美味しい、肉汁たっぷり、エビもぷりぷり。
女性2名のお客さんが帰る。
テレビを見ていた店主が一人でしゃべり始める。
「日本人はバカだよ、そんなんじゃ国が捕られちゃうよ」
NHKニュース、防衛費増のアンケート調査で60%の日本人が反対をしているという画面を見ながらつぶやく。
ここには非常に書きにくいが、母国の体制に不満があるらしい。
そこから店主の最近母国は紹興酒ではなくワインを飲む、や、ベトナムは今後めちゃめちゃ伸びてくる、などの話をつまみに紹興酒と中国焼酎を飲む。
話が止まらない店主、日本語がカタコトであるため半分くらいしか分からないがあの国の方の特徴である、まくしたてるような口調。
話自体は私は面白かった。

確かにクセは強い。

男性が1人入店、迎える店主。
なぜか2人でヒソヒソ話。
「前のなかなか良かったよ、で、あの話はどうなった?」
的なことが聞こえちゃうヒソヒソ話。

やはりクセが強い。

久しぶりの人との食事は、こういうインパクトのある店に行った方がいい、高級な店、雰囲気の良い店よりもクセの強い店、こういう所で話す相手とは一生の付き合いになるはず。

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