【退職エントリ】僕がアクセンチュアを3年で辞めた理由
こんにちは、
コーキ(https://twitter.com/kokicareer)です。
2021年1月15日、2年10か月在籍したアクセンチュアを退職しました。
改めてお世話になった皆様、本当にありがとうございました。
2021年1月18日からはHR系のスタートアップ企業「Youseful株式会社」に社員第一号として勤務しています。
※Youseful株式会社は、執筆時点でYouTubeチャンネル登録者約11万人「Youseful」と登録者約5万人「トップ就活/転職チャンネル」を運営している会社です。
転職にあたり、今の自分の思考整理も兼ねて、本noteを執筆しようと思います。
現在就職活動中の大学生や若手サラリーマンの方など、いまキャリア選択に悩んでいる方にとって、キャリアの歩み方の一参考例になれば幸いです。
※前半部分は学生時代の話が中心となりますので、サラッと読みたい方は3章「多忙を極めたアクセンチュア時代」から読んでいただければと思います。
1.僕の学生時代 ~価値感を変えた「練習ボイコット事件」
「部長の指示に従う気にはなれません」
僕が当時部長を務めていた高校テニス部のある日の練習にて、後輩から突き付けられた言葉です。
これは僕のこれまでのキャリア選択を語るうえで外せない話になるので、まず最初に語らせてください。。
いわゆる、自己分析でよく言われる自分の「行動の源泉」を形成した出来事とも言えます。
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僕が在籍していたテニス部では顧問の先生がテニス素人だったこともあり、実質部長が顧問のような役割も担っていました。部長の絶対王政状態です。
そんな高校テニス部ですが、例年入部1年目の1年生のみが
を伝統的に課せられ、部員の半数が何かしらの怪我で通院している、(中には肉離れや疲労骨折を起こしている部員もいました)
そんなザ体育会系の部活でした。
特に3つ目の理不尽なペナルティは、毎年先輩後輩間に軋轢を生じさせる引き金となっていました。裏を返すと、実質顧問無しの部活の統制をとるための手段として使われていたとも言えます。
ただ、良くも悪くもこの伝統のかいあって、毎年県大会ベスト16以上に食い込むことができる準強豪校となっていました。
「この伝統を何とかして守らないといけない」
新しく部長に任命された僕は例外ではなく、この使命感に駆られて日々部活を運営していました。
この使命感が生んだ事件が、
「練習ボイコット事件」
です。
ある日の練習日、いつものごとく僕が練習前の号令をかけます。
もちろんこの部活で1年生のとるべき行動は全力の「はい!」一択です。
しかし、その日1年生からは何の返事もありません。
そこにあったのはいつもの威勢のよい返事ではなく、後輩20人以上の憎悪とも言える無言の目線だけでした。
その時の光景は今でも目に焼き付いています。
原因は、自分含めた先輩からの後輩に対する理不尽な接し方の積み重ねでした。
その後1年生の代表、副代表と話合いを重ね、何とか和解に至りましたが、この事件は自分の価値観に大きな影響を与えました。
それは、
「伝統や当たり前といった固定観念に囚われるのではなく、常に柔軟に変化していくことが大切」
という価値観です。
特に組織内の不条理や不合理という状態には、異常なまでに敏感になるようになったと思います。
この経験以降、この価値観は僕にとって強い「行動源泉」となりました。
この事件以降、部活においても大学のサークルにおいてもこのような
「組織において一人でも多くの人が幸せな状態」
を作り出すために、尽力しました。
ある意味逆説的ではありますが、これが自分にとって一番幸せな状態とも感じるようになっていました。
ただ、こういった状態を目指して部活やサークル活動に尽力する時間は、苦しくもありましたが、それ以上に強いやりがいと充実感を感じることができました。
そんな学生時代を送っていた僕も、社会人になると少なくとも週7日間の内、5日間は働くことになります。
この5日間を「部活やサークルを運営するかのごとく楽しんで働きたい」
学生生活を送る中でそんな想いを抱えるようになりました。
これはまさしく僕の本音の「就活の軸」でした。
2.僕がアクセンチュアに入社した3つの理由
ここまでそれとなくよさげなことを書いていますが、
大学では遊び(酒)の記憶しかないような典型的なクズ大学生活を送っていました。
正直、学業の記憶は一ミリもありません...。
そんな自堕落な大学生活を送っていましたが、大学3年生になり人生の転機ともいえる機会に出会います。
それが就職活動で出会ったとある人材教育会社のインターンです。
このインターンを通して、僕は初めて自分の「過去」・「現在」・そしてこれから40年続く社会人としての「未来」に真剣に向き合いました。
そこで、
「社会に存在する不条理、不合理を解消することで世の中を変えたい」
そんな想い(ビジョン)を持つようになりました。
これは上述した通り、僕が中高大と組織の代表として50人~100人規模の「一組織に存在する不条理、不合理に向き合う」という経験をしてきたことに由来します。
これまでは部活やサークルといった「組織」という小さな単位で実現してきたことを、今度社会に出るにあたっては「世の中」というもっと大きな単位で実現していきたい、と考えました。
そして、この想い(ビジョン)を実現するうえで、当時ファーストキャリアとしてベストな会社だと考えたのが前職のアクセンチュアです。
具体的には以下の3つが入社を決めた理由でした。
しかし、「社会に存在する不条理、不合理を解消することで世の中を変えたい」という壮大で抽象的なビジョンを掲げたものの、
新卒の就活時点では「一体社会のどんな不を解消したいのか?」は最後まで明確にすることができませんでした。
だからこそ、まずはコンサルタントとして多様な経験を積めれば、
「解決したい不」と「その不を解決する力」が自然と見つかるんじゃないか?
という漠然とした想いで入社を決断しました。
※リクルートにも内定をいただいていたのですが、アクセンチュアに決めた理由はこれでした。当時はまだ人材業界の不に向き合うという決心がつきませんでした。
これはある意味、モラトリアム的にコンサル業界を選んだとも言えます。
3.多忙を極めたアクセンチュア時代
そんなこんなで2018年にビジネスコンサルタントとしてアクセンチュアに新卒入社しました。
同期は海外大・旧帝大・早慶といった高学歴層が8割を占め、自分と同じMARCHレベルの大学は1~2割程度しかいませんでした。
経歴としても尖った経験を持つ方々ばかりで、研修の時から日々周りのレベルの高さに圧倒されっぱなしでした。
このような優秀な同期と巡り会えたのは、僕がアクセンチュアを選んでよかったと思える大きな理由の一つです。
そして、入社後1年目は証券会社向けのシステム開発のプロジェクトに従事しました。2,3年目には主に大規模プロジェクトのPMOとして、テクノロジーコンサルティングに従事し、様々な経験を積むことができました。(2020年にはTechnologyからStrategy&Consultingに部署異動もしています)
ちなみに、アクセンチュアはここ数年の働き方改革によって相当ホワイトな会社になっていると思います。
給与はもちろん、住宅手当や自社株割引など福利厚生も整っています。
勤怠管理についても厳密に行われ、スタッフには残業代もきちんと支払われます。
ただ、運がよいのか悪いのか、僕がアサインされていたプロジェクトはなぜか大半が炎上プロジェクトでした・・・
特に多忙を極めたのが1年目の証券会社向けのシステム開発プロジェクトです。
当時自分が在籍していた金融業界向けプロジェクトの中では1位,2位を争う炎上具合だったと記憶しています。
終電後の残業、土日出勤なんてことはザラにありました。
(こんな感じの勤務状況でした↓)
加えて、当時上司だったシニアマネージャーの方が大の酒好きであっため、終電過ぎまで働き、そこから午前3,4時まで飲んで、朝早くから出社なんてこともよくありました・・・(これはこれでとても楽しかったですが!)
また、実際の業務内容はイメージしていたコンサルの華々しい仕事とはかけ離れていました。
具体的には以下のような業務が中心でした。
「企業(顧客)の課題に向き合い、コンサルタントとして間接的に世の中を変える経験を積みたい」、という想いとは裏腹に、実際に僕が向き合っていたものはシステム課題やプロジェクト課題ばかりでした。
もちろんこの現場経験は1人前のITコンサルタントになるうえで必要不可欠な経験です。(何ならこの経験をちゃんと積ませてもらえることがアクセンチュアに新卒入社する最大のメリットとも言えます)
マネージャー以上になれば、企業(顧客)の課題に向き合う機会も徐々に増えるかもしれません。しかし、最速でもそれが4,5年後であることを考えると、それが自分のビジョンを達成するうえで、最短ルートであるようには思えませんでした。
業務で忙殺される日々に加えて、イメージしていた仕事内容との大きなギャップ。
日々痛いほどの成長を実感できてはいるものの、「自分は一体どこに向かってるんだろう?」そんな疑問が芽生えてきました。
そして、
「解決したい不」と「その不を解決する力」が自然と見つかるんじゃないか?
といった漠然とした想いで入社していましたが、
「この会社で働いていてもこれらが見つかるまでには、時間がかかりすぎるのではないか?」
そう考えるようになっていきました。
そこで、1年目の終わりからは以下のような活動を本業と並行して取り組み始めました。
もちろん本業の稼働が収まるわけではないので、昼休み、勤務後、土日といった空き時間をフルに活用してこれらに取り組みました。
これらの活動を開始していずれも目立った成果には結び付きませんでしたが、半年後ようやく芽が出ます。
それがTwitterでの「就活情報発信」です。
当時、就活情報を発信しているアカウントが少なかったこともあり、開始後半年ほどで約8,000人の方にフォローいただくことができました。
こちらのアカウントです。
https://twitter.com/consult_career1
そして、この情報発信活動は思いもよらない形で自身のキャリア選択に影響を及ぼしていきました。
4.僕がアクセンチュアを辞めた3つの理由
端的にいうと、3つあります。
順番に説明していきます。
4-①.当事者として事業開発に取り組みたかったから
「いずれ事業会社で事業を創る側に回りたい」
これは就活生時代から考えていました。
実際にアクセンチュアの面接でも「将来したいことは?」という質問に対して上記の返答をしています。
「社会に存在する不条理、不合理を解消することで世の中を変えたい」
という自身のビジョンを考えると、ある意味これは当然で、あくまでファーストキャリアとしてのコンサルでした。
加えて、
「解決したい不」が見つかり、「その不を解決する力」が身に付いた時
が事業会社へ転職するタイミングだとも考えていました。
そして、そのタイミングが今だと考えたため、今回転職を決意しました。
4-②.解決したい不が見つかったから
これはアクセンチュアでの活動ではなく、上述のTwitterを通して携わっていた以下のような就活支援活動の中で見つけることができました。
このような活動に取り組む中で、僕は特に以下の3つの「不」を多くの学生が抱えていることに気がつきました。
そして、学生が抱えているこれらの「不」の強さを日に日に痛感していくとともに、1個人としてできることの限界も感じ始めていました。
そんな時、ちょうど出会ったのがYouseful株式会社のCEO長内孝平とCOO船越颯介です。(きっかけはCEO長内の「今日お茶できる人いますか?」といったツイートでした。あの時勢いで僕がイイネしてなかったらこうはなっていませんでした笑)
Youseful株式会社は、YouTubeCh登録者約11万人のスキル教育メディア「Youseful」とCh登録者約5万人のキャリア教育メディア「トップ就活チャンネル」という2つの巨大メディアを有しています。
これだけの影響力を持ち合わせたこの会社でなら上述のような「不」を解決できるのではないか?、そんなワクワクした気持ちが湧き、Yousefulで働いてみたいと思うようになっていきました。
4-③.アクセンチュアで身に付いたスキルが事業開発においても活かせるという自信を得られたから
実は半年ほど前から、お手伝いという形でYousefulの業務にも携わらせていただいていました。半年働いたうえで、2020年の12月に転職を決意しました。
「たった3年弱のコンサル経験で何が身に付くの?」
そう思った方も多いでしょう。実際、Yousefulで働くまでは僕自身が一番そう思っていました。いったい自分は何ができる人間なんだろうと。
しかし、実際にYousefulで働いてみると、
といった、ITコンサルでは当たり前だと思っていたこれらのスキルに対して、とてもポジティブな評価をいただくことができました。
もちろんコンサルタントとしてはまだまだヘッポコですが、アクセンチュアで身に付いたこれらのビジネス基礎力は、事業開発という別フィールドにおいても活かすことができる、ということを知る大きなきっかけとなりました。
5.Yousefulへの入社を決めた日
入社のお誘いをいただいた時、正直かなり悩みました。(実際転職活動も行い、他社と比較検討する時間も十分にいただきました)
Youseful株式会社は2018年に創立された会社で、役員2名と業務委託&インターン生で構成されています。
つまり、ド・スタートアップに、社員第一号として入社する形になります。
もちろんこのフェーズの会社に転職するとなっては、現実問題給与は下がりますし、福利厚生も充実しているとは言い難いです。
こういった多々ある不安の中でも僕が特に感じていた不安は、
「自分がいま「不」だと捉えている就活領域の課題は、本当に自分が心から解決したい課題なのか?」
という点でした。
上述した通り、僕が感じていた社会の「不」は以下のようなものでした。
ただ、その一方で就活というニッチな領域にこれまでのキャリアを捨ててまで、挑む価値はあるのか?
という不安はどうしてもありました。
実際、就活領域については、人並み以上に就活を頑張ったからこそ色々話せることはあるものの、僕はその分野のプロでも何でもありません。
こんな悩みをCEOの長内に相談した時にもらった言葉が以下のようなものでした。一部抜粋してご紹介します。
この回答をいただき、僕の頭の霧が晴れました。
「社会の総量として、自分の人生に向き合い、人の役に立とう、社会の役に立とう、と立ち上がる主体が少ない」
僕が感じていた就活領域の3つの「不」は、いずれも抽象化するとここに行き着きます。
就活事業もHR領域における最初の第一歩と考えることができました。
「社会に存在する不条理、不合理を解消することで世の中を変えたい」
という壮大で抽象的だった僕の中のビジョンはこの瞬間に、
「人の役に立つことを通じていい世の中を作る個人を増やしたい」
に具体化されました。
これがYousefulへの入社を決めた理由です。
6.最後に伝えたいこと
とその前に、ここまで随分と話が長くなってしまったので、ここまでの話を簡単にまとめます。
僕は高校テニス部時代の「練習ボイコット事件」をきっかけに、
「伝統や当たり前といった固定観念に囚われるのではなく、常に柔軟に変化していくことが大切」
という価値観を持ち、
「社会に存在する不条理、不合理を解消することで世の中を変えたい」
という抽象的なビジョンを持ちました。
この価値観とビジョンに基づき、それ以降行動し続けた結果、Youseful株式会社に出会い、
「人の役に立つことを通じていい世の中を作る個人を増やしたい」
そんな具体的なビジョンを持つようになりました。
そしてその結果、いま心から向き合いたいと思える仕事に充実感を持って取り組むことができています。
1章で述べた、僕の当時の「就活の軸」である
「部活やサークルを運営するかのごとく楽しんで働きたい」
を実現できていると思います。
最後に、僕の好きな本「人生の勝算(著者:前田裕二さん)」の一説を紹介させてください。
コンパスとは人生の軸です。
僕は就活生時代に定めた自分の価値観とビジョン(すなわり、人生のコンパス)に基づき、行動し続けたからこそ、こうありたいという理想の社会人生活を今送り始めることができています。
いま就職活動中の大学生は、ぜひこの機会に本気で自分に向き合い、徹底的に自己を分析してみてください。
まずは抽象的でもいいので、自分の価値観とビジョンを定めてみてください。
その価値観とビジョンはこれから始まる
「社会人生活のコンパス」となってくれるはずです。
就活は人生を変える大チャンスです。
僕も引き続き自分の「人生のコンパス」に従って生きていこうと思います。
以上、最後までご拝読いただきありがとうございました。
---2022/4/2 追記---
続編として、「大企業からベンチャーに転職して1年、今僕が思うこと」というテーマで第二弾書きました↓
https://note.com/consult_career1/n/ncb2b6287b7d7
この退職エントリからちょうど1年後の心情を書いたものになります。ベンチャーに転職して失ったものと得たものを本音で書いているので、ぜひ合わせてこちらも一読してみてください。
コーキ
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※今後も就活やスタートアップの働き方についてnoteを執筆していこうと思います。イイネやフォローいただけますと大変励みになります。
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