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淡い夢
妙に現実味のある夢を見た。
新卒で入社した会社の同期に今の仕事の相談をしている夢。もう何年も出会っていないのに不思議だった。
とても柔らかい感覚で、心地の良い時間だった。この柔らかさは、彼の素質だと思った。
眉毛が下がってる顔をした、いいやつだった。眉毛は下がっていたけれど、口角はいつも上がっていた。だから笑いながら困った顔をするような人だった。
今日もそんな顔で、わたしの話を聞いていた。困っていたけれど、笑っていた。変わらない表情を見ていると、見ているだけで安心した。
彼のことを好きだと思ったことはない。恋しいとも愛しいとも思ったことがない。なのに、なぜ今になってこんな妙な心地よさを覚えるのだろう。
きっと、好きだったんだと思った。好きなことに気づいていない好きだったんだと思った。そんな好きに気づいたことは、人生で初めてだった。
旦那様、もし何かでこの文章を読むことがあれば安心してほしい。あなたのことを愛している。
さっきの話は、小学生の頃夏休みに食べたかき氷、あれって美味しかったなぁ、好きだったなぁ。そんなことをふと懐かしむ感覚。
遅れて届くからこそ、淡く心地が良い感覚。
あなたへの想いも、いつか遅れて届くものがあるのかもしれない。気になるけれど、今はわからないのだと思う。
彼が夢に出てきたのは、安心したい願望だろう。彼にはどんなに酷い話をしても、大丈夫だよと安心させてもらった記憶がある。遠い他人だから。
わたしは今、そんな安心感を求めているのだと思う。無条件に大丈夫だよと言ってもらえる、そんな空間や時間。
あなたは配偶者だから、一緒に悩んでくれるから、考えてくれるから、だからそう易々とは大丈夫とは言えないよね。わたしはそれを分かっているから、易々とあなたに不安は話せない。
現実味のない、ふわふわした大丈夫。きっとわたしは、そんな頼りなく柔らかいものを求めている。ラムネみたいに、すぐに消えて無くなってしまうようなもの。
求めているけれど、どんな風に手に入れられるのかは分からない。
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