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防災教育「防災セミナー」 Let’s Think Together!いっしょに考えよう!今わたし達にできること

概要
 
3月18日(土)14:00より、阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センターにて、『防災教育「防災セミナー」Let’s Think Together!いっしょに考えよう!今わたし達にできること』が開催されました。
当日は、学生11名(留学生: 6校8カ国10名、日本人学生:1校1名)、企業2名他の計15名が参加しました。

目的
 
本セミナーは、兵庫県内の留学生及び日本人学生を対象に、今日本だけでなく世界で起きている災害について知識を深め、自分達にできることについて参加者同士で主体的に考える場を提供することを目的に実施しました。

内容
 
留学生が日本に定着し、在住外国人となった後も、地域の防災訓練などに参加する機会は少ないのが現状です。災害を経験したことのない学生が、今後、起こりうる災害を想定して行動できる対応力を養い、課題意識を高めることを目的に、本防災セミナーを実施しました。  

 今年度は、阪神・淡路大震災の地、神戸の防災拠点に立地する兵庫国際交流会館の地域的特性と大学コンソーシアムひょうご神戸で長年取り組んできた学生災害ボランティア・ネットワーク事業のノウハウと人脈を活かした、より具体的で現実的な多文化共生と防災・減災をテーマにしたプロジェクトを実施しました。
2月に発生したトルコ・シリア地震のことも取り上げ、日本だけでなく世界で起こり得る災害を学び、留学生がより、リアルに、自分事として防災・減災を捉える気運を醸成することを目的としました。
 
プログラム内容と詳細
第1部 講義『日本で起こる地震・世界の災害について』

 講師の阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター主任研究員 ピニェイロ アベウ タイチ コンノ氏から1995年に発生した阪神淡路大震災の被害について、犠牲者の数や倒壊した建物の数などが写真を見せながら詳しく伝えられました。地震が引き起こす災害として、津波、土砂崩れ、地割れ、液状化などがあるため、地震が起きた後も注意が必要であると警告されました。
 また、建物を強化する、防波堤を築く等が「防災」、災害についての知識をつける、避難経路を決めておく、防災グッズを用意しておく等が「減災」であり、私達も是非実践していきましょうと話がありました。

その他にも災害時の詳しい情報が得られるサイトや防災グッズについて掲載されたサイトが紹介され、参加者は、すぐにアクセスし、内容を確認していました。

世界の災害について理解を深める参加者

第2部 個人ワークとグループワーク
『安心して暮らすために私達ができることは?』

 個人ワークでは、自分達の国では、どのような災害があるか、また起きたときにSDGsの観点から自分達に何ができるかを、5分間でワークシートに書き出しました。その後4~5人ずつのグループに分かれ、グループワークを行いました。
 グループワークでは、参加者は、始めに自己紹介をした後、それぞれの国で起こる災害や自分達にできることについて互いに話し合いました。実際に地震や火災等の被害にあったときの体験を熱心に伝えようとする留学生の姿も見られ、参加者は、それぞれの国のリスクについて知り、災害に関する知識を深められる時間となりました。
 話し合いの後グループの代表者が、内容をまとめて発表をし、共有しました。発表者からは、「日頃からどこにいてもその場所の危険性について意識し、サイトで情報を確認したり、防災食を用意するなどして備えておきたい」との意見があがりました。

熱心にグループワークを行う参加者

第3部 資料館・シアター見学
『地震を体験して知ろう!犠牲者の体験から学ぶこと』

 参加者は、資料館やシアターを順番に見学しました。4階にあるシアターでは、地震の映像や音をリアルに体験することができ、中には地震を体験したことのない参加者もおり、そのリアルな映像に圧倒されていました。英語の音声ガイドが貸し出され、留学生達は解説を聞きながら理解を深めていました。

その後、参加者は、館内に展示されている資料(阪神淡路大震災で被災した人達の実際の写真や破壊されたもの)を見学し、驚きの表情を見せながら、被害の大きさを感じていました。

 また、地震が発生するメカニズムについて、センター職員の英語の解説を聞き、展示されている資料を見ながら熱心に学んでいました。資料は日本語表記のみの箇所もありましたが、日本人学生が留学生に丁寧に解説する姿が見られ、留学生は、日本人学生と交流しながら一緒に学びを深めていました。 

資料館で学ぶ参加者
展示資料を見て熱心に学ぶ参加者
センターの職員からの英語の解説に耳を傾ける参加者

参加者の感想と考察
 
参加者のアンケートでは「とてもよかった」「よかった」が100%と満足度の高い結果となりました。
 参加者は、アベウ先生による英語の解説により、地震の規模や実態について詳しく聞き、理解を深めていました。「どこにいるときも、普段から逃げる方法やルートを考えておきたい」「防災グッズの準備を今から始めていきたいと思った」という感想も聞かれ、地震の備えに対する危機意識にも変化が見られたようでした。

また、本イベント参加者で、日本と同じ地震大国のインドネシア人留学生の「コンソと連携して防災の重要性を伝えたい」という強い希望から、次年度一緒に協力して防災セミナーを実施していくこととなりました。
 
近い将来起こるとされている南海トラフ巨大地震の危険性からも、いざ災害が起きた時に留学生達が情報に取り残されず、自分達の命を守る行動をとることができるよう、必要な情報を伝えていきたいです。また、自然災害の多い日本で留学生達が安心して暮らせるよう、正しく地震の恐怖を理解し、防災や減災に関する意識を高め、ともに学び合える場を今後も引き続き提供していきたいと考えています。