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上手くいっている予算編成の共通項「エレメント」って?―第2回新しい自治体財政を考える研究会1/3

こんにちは。
今回は4/28(木)に開催した「第2回新しい自治体財政を考える研究会」(以下「第2回研究会」とします)の内容をご紹介します。

第2回研究会の前半では、「財政課も原課も、自治体全体で納得できる予算編成=幸せな合意形成」を実現する「新しい予算編成フロー」の設計のスタートすべく、これまでの愛好会での議論内容や「エレメント」の概念を会員の皆さんにお伝えしました。
また、全国の財政課の皆さんの「査定のノウハウ」を形式知化し、共有できるようにする「査定ノウハウ集」のデモンストレーションも実施しました。

後半では
「全庁的視点から組織横断的な事業改善をするには?」
「財政課や原課の削減努力の質や量の評価を実感できるようにするには?」
などといった予算編成が抱える課題について、会員の皆さん同士でディスカッションしていただきました。

noteでは前半部分のお話について3回に渡りご紹介します。
今回は愛好会の報告について。
これまでも、愛好会での議論内容はnoteで報告してきたところですが、改めて簡潔にまとめました。

第1回愛好会

早速「業務フローを作るのは難しいのでは?」といった壁にぶつかりました。
組織の規模や事業数、首長のキャラクター、財政状況、編成手法など自治体の状況は様々で、業務を細かく見れば見るほど異なっています。
このような状況の中、ひとつのモデルフローにするのはとても難しく、仮に、ひとつのモデルフローを作成したとしても、それは実際に「使える」ものにはならないのではないか。
といった結論に至りました。

実際、上手くいく予算編成を設計された財オタの皆さんのフローも、それぞれ異なっています。

これらのことから、
上手くいく予算編成とは、何か特定の手法と結びついているわけではなく、別の共通項があるのかもしれない
と考え、この「共通項」を探っていくという方針が固まりました。

第2回愛好会

第2回は「上手くいく共通項リスト」の作成をスタートしました。
この時に意識したポイントが2つあります。

1つ目は予算編成の「時間軸」で業務・事例を確認すること。
事前の収支予測から予算決定、議員・市民に説明するところまでの全ての業務を分解し、要素を1つ1つ掘り下げ、共通項が無いか研究しました。

2つ目は予算編成の「関係者目線ごと」に業務・事例を確認すること。
財政課はもちろん、首長、官房部門、事業を担当している原課、市民の声を代弁する議員、市民など全ての関係者が腹落ちすることがないと「幸せな合意形成」と呼べません。
このため、財政課だけでなく、全ての関係者の視点に立つよう意識しました。

第3回愛好会

「上手くいく共通項リスト」が完成。
ですが、これは財オタの皆さんと事務局で作ったものなので、より多くの皆さんからご意見をいただくことで更新していくもの、時間の経過とともに変化するもの、という前提を持っています。

そして「上手くいく共通項」を一覧で示すだけでは更新作業がしにくく、実務に反映しにくいことにも気付きました。
このため、これらの共通項を「良い予算編成のためにどういう形で寄与しているのか?」といった目線で分類し、それらの共通項の達成指標となり得るようなKPIの事例も加えることにしました。

また、これらの共通項を探って行く中で、財政課の皆さんがもつ「査定の目線」にも共通項があるのでは?といった示唆が生まれました。
そこで、財政課の皆さんがもつ査定の目線=査定のノウハウを形式知化し、財政課の皆さん同士で共有できるようにまとめた「査定ノウハウ集」も作成することになりました。
(査定ノウハウ集の詳細についてはこちらへ)

まとめ

分類した「上手くいく共通項」のことを「エレメント」、エレメントにKPI事例など周辺情報を付け加えたものを「エレメントリスト」と名づけました。
そして完成したのが「予算編成エレメントリスト_Ver.1.0」です。
「予算編成エレメントリスト」は、今後、皆さんと議論を重ねることで1.1、1.2と更新していく予定です。
(エレメントの詳細はこちらへ)


ありがとうございます!