見出し画像

夏バテがひどい美容師のある日

夏バテでグロッキーだけど、

どうしても仕事を休めない美容師は、

こんな感じだ。


まず寝起きからして

体調が悪い。


ずっしりとした全身の倦怠感。

さらに胃腸がスッキリとしない感じ。


そうやすやすと

仕事に穴を空けるわけにいかないので

いつもの3倍は重力を感じながらも、

気分的には

地を這って出社する。


就労時間が始まっても

不調は変わらない。


しかし、

長年に渡る

サービス業経験の賜物か、

お客様と対峙すると

ウソのように

調子が戻る。


よしよし、

いい感じだと思いながら

午前中はなんとかやり過ごすが、


食欲がないのに

昼食を摂り、

ちょっと一息ついたあたりから、

体調は

じわじわ下り坂の一途をたどる。


ほんの少しだけ、と

仮眠を取り、

少しスタミナを回復しても、


午後イチのお客様を終えるころには

体が岩のように重くなってくる。


それでも

だましだましで

何人かをこなし、

本日のゴールが見え始めた

午後4時台。


まさにここが鬼門である。


気分の悪さはピークになり、

めまいで視界もぐらんぐらんしてくる。


ハサミを持つ自分の手と

お客様の髪の毛との距離感がうまくつかめず、

いつも以上にまばたきが増える。


いよいよ立っていられなくなり、

カットチェア(美容室でよく見かける、美容師がカットするときに座るキャスター付きのイス)

に座りっぱなしで

カラー剤を塗るのも、

髪をドライヤーで乾かすのもやる。


額からは汗がにじみ、

あと少しで

「すみません、

右半分の髪しか切ってませんが

ここで帰らせてもらっていいですか。」

と懇願しそうになる。


そんなわけないだろ、

と自分に突っ込みつつ、

全身全霊で、

「私は決してバテてませんよアピール」をする。


なんとかかんとか、

最低ラインは死守して

そのお客様もフィニッシュ。


ここまでくると、

峠を越したのか、

少し楽になる。


そして

本日ラストの

お客様を

低空飛行でクリア。


満足してもらえる仕上げにすることだけは

何がなんでもプライドを持ってやる。


そうして

フラフラのカスカスになって

一日の仕事を終える。


ほとんど記憶のないまま帰宅。


あとは

泥のように眠る。


うん、

これからは

こうなる前にちゃんと対策しよっと!






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?