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note de 小説「時間旅行者レポート」その20



NOTFALL! Vermittler!!
NOTFALL! Vermittler!!
(緊急! 取り次げ!!)


ぼくはコールに出た。

『Dr.オリバー!?

あなたですね?
博士!出ました。

ミヒャエル・オリバーが
応答しました・・・


・・・変わりたまえ。

Dr.オリバー。
私だよ。

ハーバー博士だ。
無事のようだね。

こちらも
ずっとモニターさせて
もらっていた。

君の機転の利いた
救出劇には
みな、舌を巻いている。

本当によくやってくれた。

この事は
上に報告書として
レポートをあげなければ
ならないのだが・・・

みな、君の帰りを
心から待ち望んでいる。

出きることなら
無事に帰ってきてほしい。
このまま無事に。


あと数分で
亜空間の扉が
開くだろう。

こちらで指示するから
君は指示通りに
動きたまえ。

そうすれば問題ない。

では」


博士からの応答は途絶えた。
ボクは言われた通りに
無事に帰れるように
祈った。


ーーーーーーーーーーーー


「いやぁ、おったまげたな。

お前さん、いきなり独り言
言い出すかと思いきや
メガネも話しはじめやがる。

どうなってんだ、これ」

「あぁ、これは未来の電話ですよ

こうやってこうすると
空中に図表を出せたりします。

あと、目的地への
ナビゲーションとか、ですかね。

こうすると、ほら
会話もできたりします。

ただ、この機器は
時空を越えても会話ができる
特別仕様になっていますけど。

どうやってこんなこと
できるのかはボクも
わかりません。

不思議ですねぇ」


興味深そうに見いる
ウェルズ氏の目は
すでに次に目標を定めた
人のする目だった。

歴史によると
この人はこの日を境に
SF小説作家になり

その名声と作品を後世に
残すのだ。


「もう、会えねぇのか?
オリバーよ。

寂しいな、え?おい」

「ウェルズさん、ボクの名前は
ミヒャエルといいます。

オリバーはセカンドネームでして。
その、もしよければ
ミヒャエルと呼んでください。

わかりづらいんですけど」

「そうか。

お前さんの名前・・・

ミヒャ。

ミヒャ・・」

「えぇ、つまり
英語圏では

マイケルです。
マイケルでもいいですよ」

「いーや!
お前さんはやっぱ
オリバーだ。

オリバー。
いいじゃねぇか。
分かりやすくて
呼びやすいや」


ーーーーーーーーーー

するとゴーグルに
あらたな指示が表示されはじめた。

・・・・下に行け・・・・
下に・・・・・・
ノートル・・ダム・の
・・・・ステンド・・・ス
行け・・・待て・・・・

回線がジャムっている。
うまく聞き取れない。

なんといっているのか
検討がつかない。



それを聞いていた
ウェルズ氏が
どうやら解読に
成功したようだ。

ボクに教えてくれた。

「オリバー!

これぁよ、
『ノートルダム大聖堂の
ステンドグラスの真下に
行って、そこで待て』

つってんだよ。
分かったら早くいきやがれ!

俺もついてってやらぁ」


急ぎボクたちは
カフェを後にして
道をはさんですぐに
そびえ立つ大聖堂の
中に入った。

この時代には
現存する
キャセィドラル。

中にはいると
またそれは荘厳でありつつ
優しい美しさに包まれていた。

ステンドグラスが一体
どれか、を考える事も
なかった。



「美しい・・・」

暗闇のなか
月の光で輝く
宝石箱に落っこちた
ような幻想を抱いた。

「こりゃぁいい、なぁ。

帰ってもなぇのかい!?
そっか、2019年に
焼け落ちただぁ?

アコギなこと
するやつがいるもんだ。


あとよ。
オリバー、いろいろ
ありがとな。

もう会えねぇのかい?
またあそびにこれるんだろ?」

「えぇ、また機会が
あれば、ぜひ。

ウェルズさん、お元気で

ボクも楽しかった。
大学に入って以来
こんなに笑ったこともなかったし

勇気を出して
何かをしたことも
ないんです

本当にありがとうございます。
Auf Wiederzehn」


ーーーーーーーーーーーーー


それからまもなくのこと。

ボクのカラダから
閃光が放たれた。

浮き出ては消え
消えたと思えば浮遊する。

そんなホタルに巻かれたような
奇妙な光景を
ウェルズ氏も見守っている。


その瞬間。
ボクの方向感覚が
なくなった。

そして
意識も途絶えた。


あぁ、知っているぞ
この感覚。

ボクは時空を旅行中なのだ。
いずれ目覚めたら

22世紀の世界が
待っているだろう。

ーーーーーーーーーーーーーーー

H・G・ウェルズが
であった日を境に出版した作品は
以下の通り。

つまり。
ボクは指令に成功した

ということになる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー


つづきます。

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