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算定と検証の実際

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躓きやすい算定ルールや検証の現場の話を紹介します。
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2023年5月の記事一覧

第三者検証〜はじめの一歩(9)

温室効果ガス排出量算定結果の第三者検証を受審するに当たって、躓きやすいポイントをご案内していく「はじめの一歩」9回目。 8回目では、リスクアプローチ及び戦略分析から、計画書を作成しデスクレビューを行うところまで紹介しました。 9回目は、ようやく、現地検証、オンサイトレビューに入っていきます。 流れはこのようになります。 「オープニングミーティング」では、検証チームの紹介や検証業務の概要説明、スケジュール確認、その他注意事項等の確認を行います。 現地検証は複数箇所で行う

第三者検証〜はじめの一歩(8)

温室効果ガス排出量算定結果の第三者検証を受審するに当たって、躓きやすいポイントをご案内していく「はじめの一歩」8回目。 7回目では、契約を交わした検証機関が実際行う作業についてご案内しました。具体的には、現地検証に至るまでに、「事前調査」と「デスクレビュー」を行うのでした。 最初のステップでは、検証に必要な資料を受審する企業から提出頂くのですが、それに当たっては、繰り返しご案内している、下記原則をに留意しつつ準備をして下さいね、とお話ししました。 さて、ここに来てようや

第三者検証〜はじめの一歩(7)

温室効果ガス排出量算定結果の第三者検証を受審するに当たって、躓きやすいポイントをご案内していく「はじめの一歩」7回目。 6回目では、検証を受けるに当たって、受審企業が準備をしておく必要があることについてご説明しました。 「ISO14065」の認定を受けた検証機関についてご案内しました。ISO9001(QMS)やISO14001(EMS)のようなマネジメントシステムの審査機関と同様に、JABの認定を受けて「検証業務」を行う機関のことでした。 お待たせしました。 今回は、

第三者検証〜はじめの一歩(6)

温室効果ガス排出量算定結果の第三者検証を受審するに当たって、躓きやすいポイントをご案内していく「はじめの一歩」6回目。 5回目では、検証を受けるに当たって、受審企業が準備をしておく必要があることについてご説明しました。 具体的には、上記のa)〜g)の作業を行うのでした。 今回は、契約を交わした検証機関が行う作業についてです。 受審企業の皆様としても気になるところでしょう。 でもその前に、4回目に頭出しだけした「ISO14065」の認定を受けた検証機関について説明させて

第三者検証〜はじめの一歩(5)

温室効果ガス排出量算定結果の第三者検証を受審するに当たって、躓きやすいポイントをご案内していく「はじめの一歩」5回目。 4回目では、依頼する検証機関との合意内容についてお話ししました。 今回は、検証を受けるに当たって、どのような準備をしておく必要があるかについて見ていきたいと思います。 具体的には、次のようなフローになります。 実は、前回の話は、「検証機関」側から見た検証プロセスのスタートについて見てきたのでした。ただ、広義で「検証」を捉えると、受審する企業としては、

第三者検証〜はじめの一歩(4)

温室効果ガス排出量算定結果の第三者検証を受審するに当たって、躓きやすいポイントをご案内していく「はじめの一歩」4回目。 3回目では、算定の「基本5原則」をご案内しました。 これを踏まえた算定を行っていることを前提に、受審企業と交わした「保証水準」の契約に基づき、以下の何れかの意見表明を行うのでした。 覚えていらっしゃいますか? 今回から、審査の流れに沿って、具体的にご案内していきたいと思います。 検証プロセスは、このように、事業者と検証内容についての合意することから始

第三者検証〜はじめの一歩(3)

温室効果ガス排出量算定結果の第三者検証を受審するに当たって、躓きやすいポイントをご案内していく「はじめの一歩」3回目。 2回目では、とにかく、覚えておいてもらいたい要諦をお伝えしました。 言葉にしてみると簡単で、当たり前のように思えますよね。 ただ「当たり前を当たり前に」がどれほど難しいか。 後になって気づくよりも、先に気づいておきましょう。 さて、3回目は、算定の「基本5原則」です。 検証業務は、「二重責任の原則」の下、事業者と検証機関の共同作業と、前回お伝えしまし

第三者検証〜はじめの一歩(2)

温室効果ガス排出量の算定結果に対する第三者検証を初めて受けることになった担当者を想定した「はじめの一歩」2回目。 1回目は、導入の導入で終わってしまいました さて、系統立てて学んだ方がよいのは当然ですが、まずは、結論から。 この3点を、座右の銘にしておいて下さい。 第三者検証とは、被検証組織(算定を実施する企業)が算定した結果を、独立した第三者がチェックすることです。 これにより、被検証組織は、自社が行った算定方法や結果に誤りが無いことが保証され、算定結果を利用するス

第三者検証〜はじめの一歩(1)

情報開示の道も一歩から。 気候変動で言うと、その一歩は算定でしょう。 ということで、これまで算定方法については、スコープ1・2からスコープ3、カテゴリ別にもご案内してきたところ。 また、実務をやり始めたからこそ気づく、更なるクエスチョンも、出題編と解答編に分けて、説明も行ったりしました。 算定を終えれば、いよいよ「公開」「開示」となる訳ですが、ここで「算定」の目的を考えてみましょう。 繰り返しお伝えしているのは、算定はまさに「はじめの一歩」であり、算定で「見える化」す