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第三者検証〜はじめの一歩(2)

温室効果ガス排出量の算定結果に対する第三者検証を初めて受けることになった担当者を想定した「はじめの一歩」2回目。

1回目は、導入の導入で終わってしまいました

さて、系統立てて学んだ方がよいのは当然ですが、まずは、結論から。
この3点を、座右の銘にしておいて下さい。

第三者検証とは、被検証組織(算定を実施する企業)が算定した結果を、独立した第三者がチェックすることです。

これにより、被検証組織は、自社が行った算定方法や結果に誤りが無いことが保証され、算定結果を利用するステークホルダーから見ると、算定結果に対して透明性及び信頼性が担保されることになります。

この時に重要になるのが、被検証組織が果たして「チェックが可能となる情報を提供してくれるか」です。虚偽の情報や、重要な情報を隠蔽されれば、保証などできないですよね。他方、適切な情報を提供して瑕疵がなければ、検証機関は意見を表明しなければなりません。

このことを「二重責任の原則」と言います。

二重責任の原則
 ▶事業者の責任:適切な情報を作成し報告する
 ▶検証者の責任:事業者が作成した情報を検証し、意見を表明する

平成22年度「企業・組織が行う温室効果ガス排出量の算定と検証に関する自治体等向け説明会」
資料(環境省)より

検証業務というのは、一方的なものではないのです。
互いに信頼し合って初めて実施できるもの。
だからこそ、検証結果の信頼性が担保され、ステークホルダーは安心して利用することができるのです。

という前置きをした上で、冒頭の結論です。


1にも2にもエビデンス

活動量の証拠となる証憑類は、算定対象期間内のものについては、全数保管しておいてください。請求書、領収書、購買伝票や日報、測定記録など事業者によって様々とは思いますが、「数字」が分かるものが必要です。

もちろん、膨大な量に上ることもあるかもしれませんが、基本「全数」。
その上で、検証機関側でサンプリングをするかしないかの判断をします。
ただ、相当数であっても、頑張って全数見るようにします。「ホントに見るんですね」と言われたりもしますけどね。

なので、勝手に判断せず、準備をしておくことをお奨めします。

最近はPDF化して、予め送付してもらうことも多いです。そうすれば、デスクレビューで突き合わせまで実施できますので、現地検証の作業が大幅に削減できます。条件次第では、不要にすることも可能ですし。

書類・文書は最新版

敷地境界の判定は、工場であれば、工場立地法届出や消防法届出、業務ビルであれば、賃貸契約書などの、公的・法的な文書類にて行います。

これが曲者で、届出を行ってから相当の年数が経っていることが多く、何度も敷地の拡張や工場の新築、増改築などを繰り返した結果、最新版がどれなのか分からない、あるいは、紛失してしまった、何てことが茶飯事です。

また、算定の範囲、バウンダリが、自社だけなのか、子会社含めた企業グループなのかも重要。分社化した部門などがあれば、日付が特定できる文書が必要になります。グループ企業単位で算定する場合、出資比率で按分するとなれば、その証憑類も用意してもらわなければなりません。

これらの管理部門は算定部門とは異なるでしょうから、連携して必要な文書類を準備しておくことが欠かせません。

責任の所在は明確に

オンサイトレビュー(現地検証)では、具体的な算定手順の確認や報告書と証票類の突合、排出源の目視確認や現場での作業・処理方法の確認など、多岐に亘る作業を行います。

このとき、請求書や購買伝票などの証憑類からどのようにしてデータが落とし込まれ、算定されていくかをひとつひとつチェックします。抜け漏れがあると、その場で指摘、準備してもらうことになります。

現場の計測によるものであれば、日報に記載された測定結果が、エクセルデータとして入力されているかも知れませんね。誰がどのタイミングで行うのでしょうか。通常は、スケジュールに合わせて、担当者なり責任者に立ち会って説明してもらったりします。

なので、窓口になっている方以外にも、多数の方の協力が必要になるのはお分かりになるでしょう。そんなとき、「実務担当がいないから分からない」では訪問した意味がありません。責任を持って説明できる人間が立ち会うよう手配するのが、算定担当の方の責任です。


この3点は、「当たり前」のようですが、「当たり前」にできていないことが、実に多いのです。このために、スケジュールが大幅におしてしまい、延長して終了できればまだ良い方、仕切り直しという事態も発生します。

検証する側としても、経費及びスケジュールとの関係上、再訪問は極力避けたいところ。指摘事項を明らかにして、期日を定め、是正・修正を行ってもらうことになります。ただ、「致命的」な不適合があると…..

なので、契約後提出頂く書類を精査し、様々なリスクを想定した上で計画を立て、「最悪の事態」を避ける努力を惜しまないんですねぇ。

ということで、受審する「心構え」を把握してもらったところで、具体的なステップについて、次回以降ご案内していきましょう。



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