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算定と検証の実際

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躓きやすい算定ルールや検証の現場の話を紹介します。
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2022年10月の記事一覧

Allocation(配分)について考える(3)

排出量算定における、以下の2つの壁についてお話ししています。 1.排出係数(CO2排出量原単位)の壁 2.部分排出量算定の壁 このうち、「2.部分的排出量算定の壁」について考えていきましょう。 「それって何なの?」は1回目で説明しています。 プロダクト基準には、配分を回避方法について3つの方法が示されており、2回目でお話ししました。 今回は、残念ながら、どうしても配分が避けられない場合について説明していきたいと思います。 プロダクト基準には、3種類の配分方法が紹介さ

環境関係のISOシリーズ

以前、環境、特にCO2の算定やLCA、フットプリントに関するISOについて、ご案内したことがありました。 今回、対象範囲を拡げてアップデートしました。 前回ご案内していたのは、主に算定の方法や算定結果の評価など「要件」に関わるところでした。今回は、増やしたのは、LCAやNet-Zeroを実行に移すための「具体例」や、ESG投資に関する「要求事項」に関わるものです。 なお、ご紹介し損ねていました、ISO14064ファミリー規格の構造や、CFP算定・コミュニケー ションに関

引渡製品単位の排出量を改めて考える(2)

前回から、引渡製品単位の排出量の算定について説明をしています。 このnoteで、形は違えど、何度もお話ししているテーマではありますが、質問された際に、ふと「?」となることもあり、「やはり、ちゃんと理解できていないのかも」と考えたことがきっかけです。 ということで、今回は丁寧に、プロダクト基準を読み込みながら、必要な点に絞って説明していきたいと思ってます。 さて、前回は、GHGインベントリの算定の全体像を把握して、「さぁ、それでは、算定の実際を考えていこう」というところで

Allocation(配分)について考える(1)

排出量の算定において、すぐにぶち当たる壁が2つあると思います。 1.排出係数(CO2排出量原単位)の壁 2.部分排出量算定の壁 (私が勝手につけただけですので、ツッコミ無しでお願いします。) 算定を初めて実施する場合は、全体を大まかに捉える「スクリーニング」を行います。活動量として、会計データを用いる場合が多いと思います。 これは「お金を支払ったところで、CO2の排出がなされている場合が多い」「金額ベースでの排出係数データが比較的入手しやすい」ことによります。 会計デ

CFPの算定・検証に関する検討会(その3)

9月22日に実施された「サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルに向けたカーボンフットプリントの算定・検証に関する検討会」の内容について、2回にわたって紹介してきました。 前回は、CFPのこれまでの経緯や、その算定ルールに関する課題を事務局がどう捉えているかについてお話ししました。 今回はCFPの課題の2つ目、データ収集問題です。 算定においては、もう、これに尽きると言っても過言ではないでしょう。 算定支援の現場では、「経理システムから金額データを取り込んで下さい」