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Allocation(配分)について考える(1)

排出量の算定において、すぐにぶち当たる壁が2つあると思います。

1.排出係数(CO2排出量原単位)の壁
2.部分排出量算定の壁
(私が勝手につけただけですので、ツッコミ無しでお願いします。)

算定を初めて実施する場合は、全体を大まかに捉える「スクリーニング」を行います。活動量として、会計データを用いる場合が多いと思います。

これは「お金を支払ったところで、CO2の排出がなされている場合が多い」「金額ベースでの排出係数データが比較的入手しやすい」ことによります。

会計データであれば、アナログ/デジタル、スタンドアロン/クラウド、エクセル/個別ソフト、どのような形態であれ、存在するでしょう。

排出係数としては、非常に大ざっぱではあるものの、全産業を網羅した産業連関表を用いて算出した「環境負荷原単位データブック(3EID)」というものが、無料で利用できます。

これで、100%の排出量を、本当に本当に「ざっくり」と算定できます。
この100%がベースとなって、例えば、短期SBTの目標設定では、スコープ1・2排出量は95%をカバーするように、算定を行って行くことになります。

スコープ3排出量が、スコープ1・2・3排出量全体の40%を超える場合には、スコープ3排出量の2/3をカバーする必要がありますね。

Net-Zero Standardより

「カバー率が○○%以上とか規定されているけど、だったら、もう全体を算定してるんじゃないの?」と尋ねられることがありますが、このように、スクリーニングを行っていることが前提の話になってるということです。

閑話休題、このスクリーニングの目的は、少量排出は算定対象から外し、もっと排出量の多いスコープ、カテゴリーの算定精度向上をめざすことです。優先順位をつけるということですね。

ということで、スクリーニングの結果を踏まえて、算定精度を上げようとする場合には、活動量を金額から物量(t、L、kWhなど)に変更し、その活動量単位の排出係数を使用することになります。

スコープ1・2排出量においては、そもそも、スクリーニングの段階から物量で算定していることも多いでしょう。

会計データに上がってくる金額の元データは、請求書がベースと思われるところ、そこには、○○kWhとか○○Lとかの「物量」ベースでの使用量が記載されているでしょうから。(温対法対象事業者であれば、既にやってますね)

なので、スコープ1・2のカバー率95%は、「技術的」にはできるはずです。
会社の規模やフランチャイズの有無、国内外の拠点数などなど、条件次第で、「困難さ」に相当の差は生じるでしょうけど。

ということで、問題となるのは、スコープ3です。
ここで、冒頭に挙げた、2つの壁が立ちはだかります。

今回は、そのうちの「2.部分的排出量算定の壁」を考えます。
「1.排出係数の壁」は、別の機会でお話ししましょう。

組織の排出量算定の場面では、例えば、以下のような場合。

・社員が自宅を事務所として使用しているときの電力による間接排出
・社員が自家用車を業務で使用しているときのガソリンによる直接排出
・混載便で輸送している場合の経由による直接排出

製品の排出量算定の場面では、以下のような例が考えられるでしょうか。

・複数の材料を投入して複数の製品が製造される場合
・製品がリサイクルされる場合

副製品が得られるプロセス

つまり、バウンダリー外の対象が含まれるデータしか得られないところから、バウンダリー内のデータを抽出する必要がある場面のことです。

現実的な対処方法について、次回、考えていきましょう。

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