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CFPの算定・検証に関する検討会(その3)

9月22日に実施された「サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルに向けたカーボンフットプリントの算定・検証に関する検討会」の内容について、2回にわたって紹介してきました。

前回は、CFPのこれまでの経緯や、その算定ルールに関する課題を事務局がどう捉えているかについてお話ししました。

今回はCFPの課題の2つ目、データ収集問題です。

算定においては、もう、これに尽きると言っても過言ではないでしょう。
算定支援の現場では、「経理システムから金額データを取り込んで下さい」とお願いします。そして、金額ベースの排出係数DBの定番「IDEA」と掛け合わせて、スクリーニング、大ざっぱな全体の排出量を把握します。

短期SBTiでは、カバー率について下記条件があります。
スコープ1・2:カバー率95%以上
スコープ3:排出量が全体の40%以上の場合スコープ3のカバー率2/3以上
その母数となる排出量になります。

CFP検討会の課題と背景より

もちろん、1次データを用いて算定した方がよいのは決まってますが、事実上不可能なカテゴリーが多々あります。可能な場合でも、マンパワー的、時間的、そして秘密保持/セキュリティー的に困難な場合がほとんど。なので、上述のような対応をお願いしているのが現状。

CFP検討会の課題と背景より

事務局は十二分に現状は把握しており、検討会にてその突破口を開きたい意向のように感じました。CFPの試行事業においては、同じ目的を共有し意識高く参画する少数の事業者によって推進されたので、複数のPCRが作成され、ラベルを貼った商品が生まれたのだろうと推察します。

自社製品の排出量を算定することの意義、目的、ベネフィットを認識し、行動に移す企業がどれだけ現れるか。確かに、試行事業開始当時とは環境が変わりましたが、期待薄では無いでしょうか。

「組織の排出量から製品の排出量も算定できるような、双方向のシステムも検討して欲しい」

検討会での伊坪先生の発言ですが、これが一つの現実解ではと思います。
今年から、CDPがプライム市場上場全社に質問書送付の対象にしました。
これらの企業は、スコープ1・2・3の算定をこれから始めます。
今年の場合は、約半数が対応したようです。

TCFDでの開示や、SBTiでの認定でも、算定が必要ですので、スコープ3まで含めた組織の排出量を算定する企業は、これから確実に増加します。

「組織の排出量」から「製品の排出量」が切り出せるのであれば、企業にとって二度手間とならず好適でしょう。

現在は、各ルールによってその取り扱いが異なっていますが、整理されれば可能性は高いと考えます。

CFP検討会の目的と進め方より

さて、検討会は年度内に4回実施され、レポート及びガイドラインの公表を最終的なアウトプットとしています。レポートはさておき、ガイドラインでどの程度具体的に実施内容を記述できるかがポイントですね。

それができないと、現状のイニシアチブのルール、基準と同じですし。
事業者は、「結局何をどうすれば良いか」というのを知りたいわけです。
加えて、マネジメントがしっかりとその作業の重要性を認識すること。
これが無いと、担当者は社内で孤独を味わってしまいます。

私も意見を言える立場にありますので、できる限り貢献したいと思います。

ところで、このような委員会、検討会、タスクフォースなどがあると、優秀な官僚の皆様が、現状の調査を行い、資料として提出してくれます。

とても、個人ではなし得ません。

例えば、今回だと、このような資料が提出されています。

CFP検討会の課題と背景より

下手に自分で調べると、時間がかかる上に正確性・網羅性に欠け、誤りがあると自分に責任が発生してしまいます。ですので、出典を明らかにしながら、有難く利用させてもらうことをお勧めします。調査費用は、私達が納めた税金ですから。

ということで、始動し始めたCFPの議論。
次回は10/27の予定。
開催されましたら、またご報告しますね。

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