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国内外の法規をフォローしよう〜省エネ法と温対法は外せない

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毎年毎年改正される、数々の法規、法令。特に気になるのが、この2つ。些細なものから、収集するデータから変わってしまう大幅なものまで、様々ですね。さらに海外も...となれば手に負えま… もっと読む
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#CBAM

CBAM 移行期間は移行期間〜しっかり勉強を

今年23年10月から「移行期間(Transition period)」が開始したCBAM。 第1回目の報告義務期限が来年24年1月31日に迫る中、対象セクター及びそのサプライチェーン企業は、その対応について準備を急いでいることでしょう。 5月から7月まで実施された、移行期間のみに適用されるルールに関する、コンサルテーションが実施された際には、寄せられたフィードバックを分析しました。 このときは、EU域外からのフィードバックに限って内容を確認しましたが、メディアが騒ぐほどの

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CBAMの移行期間(Transition period)が、2023年10月より始まりました。 2025年12月31日まで26ヶ月かけて、対象セクター企業及び当局が、報告内容・報告、システム運用等々の学びを重ねる予定であることは、ご承知かと思います。 スムーズな導入に当たって、欧州委員会は、ポータルサイトにおいて、ガイダンス資料やオンデマンド動画を提供していると共に、必要な情報をリアルタイムで発信しているので、頻繁にチェックされるのがよいかと思います。 中でも、9月から1

CBAM移行期間のルールが最終決定(5)

CBAMの移行期間に適用される規則及び附属書について、実施されていたコンサルテーションが終了、最終版が公開されたことを受け、2回に亘って、フィードバックの状況及び内容をご案内した後、附属書の報告リストを、ドラフト版と最終版とで比較したところでした。 全体的に、フィードバックの内容の反映はあまり見られないな、という感想をもちつつ、今回は移行期間の施行規則「C_2023_5512_1_EN_ACT_part1_v6」と附属書「C_2023_5512_1_EN_annexe_ac

CBAM移行期間のルールが最終決定(4)

CBAMの移行期間に適用される規則及び附属書について、実施されていたコンサルテーションが終了、最終版が公開されたことを受け、2回に亘って、フィードバックの状況及び内容をご案内。 3回目からは、フィードバックを受けて、最終版がドラフト版からどのように修正がなされているかを、確認しています。 前回は、附属書の報告リストの前半を見ましたので、今回は後半です。 両者を横並びで比較しており、赤字は最終版で追加となった項目、青字は削除された項目です。 前半と比較すると、さほど大きな

CBAM移行期間のルールが最終決定(3)

CBAMの移行期間に適用される規則及び附属書について、実施されていたコンサルテーションが終了、最終版が公開されたことを受け、2回に亘って、フィードバックの状況及び内容について見てきました。 今回は、フィードバックを受けて、最終版がドラフト版からどのように修正が入ったのかを見ていきたいと思います。 前回ご案内したように、フィードバックの内容は、主に次の5点でした。 「1.機密情報の扱い」は、とにかく報告する内容が細かすぎることに起因するものです。また、「2.EU-ETSに

CBAM移行期間のルールが最終決定(2)

CBAMの移行期間に適用される、規則及び附属書について、実施されていたコンサルテーションが終了、結果が公開されました。 この結果については、こちらのサイトで公開されています。 前回は、どのような国、産業セクターからのフィードバックがあったかについて、簡単にレビューしました。 今回は、フィードバックの内容について、ご案内していきたいと思います。 とはいえ、187全部を見るほど体力はありませんので(笑)、日本企業にとって参考になるであろうEU域外からのフィードバック、タイ

CBAM移行期間のルールが最終決定(1)

CBAMの移行期間に適用される、規則及び附属書について、ドラフトが今年5月に公開され、コンサルテーションが実施されていました。 その際には、5回シリーズでご案内しました。 そのコンサルテーションは、7/11で締め切られましたが、187件のフィードバックが寄せられたようです。 内訳を見ると、当然ですが、企業や業界団体が大半を占めています。 その後には、EU域内の個人、NGO、政府機関と続いています。 国別にみると、ベルギーが39件(21%)でダントツなのが不思議かもしれ

開示ルールの整理をしておきましょう

これまでnoteで何度となく紹介してきた、非財務情報の開示ルール。 ドラフトが公開され、パブコメが実施され、フィードバックを精査してファイナライズ、最終版のリリースという各ステージで取り扱ってきましたが、複数のルールが並行して走っているのに加え、クレジットやらSBTやら、GHGプロトコルやら、他のイニシアチブもあったりで、自分自身混乱していたりします。 ということで、ここで立ち止まって、整理しておこうと思います。 まずは、先月末、大々的にリリースし、エマニュエル・ファベ

移行期間のCBAMルールを考える(5)

今年23年10月から、CBAMの報告義務が始まり、報告期間限定の実施規則のドラフト及び附属書が公開されたことを受けて、4回に亘って読み込んできました。 4回目では、「個人も対象になるんだ」というお話をしました。 今回も、第5章 無視できる価値の貨物の続きをもう少しだけ。 同章には、このような項目もあります。 そう、案の定ですが、軍事関係は対象外となっています。 まぁ、現段階で、軍事関連の排出量については、開示の枠組みが無いので、当然と言えば当然。確かに、スコープ1・2

移行期間のCBAMルールを考える(4)

今年の10月から始まる、報告義務だけが課せられるCBAMの移行期間に適用されるルールについて、CBAM規則及び実施規則・附属書を参照しながら、主に算定周りを確認してきました。 3回目はこちらです。 具体的なルールが記載された附属書は一通り読んだので、最後に、CBAM規則と実施規則に目を通していきたいと思います。 まず、気づいたのが、第2条3項。 第2条は「Scope」つまり、適用範囲を定めている条項になります。 第1項が原則。まぁ、お決まりの記載内容。 第2項は「関

移行期間のCBAMルールを考える(3)

今年23年10月から、CBAMの報告義務が始まり、報告期間限定の実施規則のドラフト及び附属書が公開されたことを受けて、中身を読み込んでいます。 詳細を確認したい方は、こちらで原文に当たってください。 もちろん、英語ですが。 前回は、報告の項目と対象となる温室効果ガスを紹介しました。 今回は、「事業所レベルの排出量、生産プロセスの帰属排出量、商品の組込排出量、支払炭素価格」という章を読んでいきます。なお、対象セクター毎の測定方法は極めて技術的なので、一般的なものだけにした

移行期間のCBAMルールを考える(2)

今年23年10月から26年1月までの移行期間における報告内容を規定する実施規則のドラフト及び附属書が公開されましたので、その内容を見ていこうと思います。 なお、7月11日までパブコメを実施していましたので、10月からの移行期間前に発表される正式版では修正が入るかとは思いますが、その場合は、適宜キャッチアップしていこうと思っています。 CBAMについては繰り返しご案内しています。 詳細については、こちらを参照ください。 さて、1回目は、CBAMの変遷や位置づけをご紹介して

移行期間のCBAMルールを考える(1)

23年10月から、CBAM(Carbon Border Adjustment Mechanism)に基づいて、含有炭素量などの報告が義務づけられます。 これから、26年1月本格導入までの移行期間における報告内容について、ドラフトが公開されており、7月11日までパブコメ中です。 これからそのドラフトを見ていきますが、その前に、CBAMという法令の構成、変遷を確認しておきたいと思います。というのも、EUにおいて、どのような手順で規制が導入され、施行されるのか不明だと、具体的な対

カーボンプライシングとGX戦略(5)

「カーボンプライシング」と「GX戦略」を「脱炭素」というキーワードを絡めて、どのように活かしていくかを探るシリーズ、5回目です。 4回目では、「将来の税負担をより軽減し、成長志向型カーボンプライシングの果実を得るために、いち早く脱炭素化に着手しましょう」というお話をしました。 今回は、「よし、やってやろう」という動機付けになるような、排出量削減がもたらすベネフィットをご案内したいと思います。 まずは、「マイナス→ゼロ」、つまり、リスクを回避・低減できるというベネフィット