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高品質なカーボン・クレジットを求めて

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誤解されやすい、カーボン・クレジット。適切に使用すれば、1.5℃目標も夢じゃない!正しい理解をお手伝いします。
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2024年6月の記事一覧

米国のVCMの現状をおさらいしておこう

ACXとAlliedOffsetsによる、「Sustainable Markets 」レポート。 今回は、米国のVCM事情についてでした。 なお、「VCM」は「Voluntary Carbon Market」の略称です。これは「自主的カーボン市場」と訳され、規制に基づく市場(コンプライアンス市場)と対比して使われ、前者で取引されるのは「ボランタリー・クレジット」、後者は「コンプライアンス・クレジット」です。 欧州に比較して、何かと後ろ向きな姿勢に見られがちな米国ですが、各

台湾のクレジット事情 現状確認

AlliedOffsetsの隔週発行ニュースレター「Policy Carbon Currents」 気になっていたイシューをタイムリーにレポートしてくれるので、非常に助かります。 今回は、台湾のクレジット動向がテーマ。 法規制関係は中国語のみが多いので、とかく情報収集に苦慮するので、めちゃくちゃ参考になりました。 昨年23年8月、台湾証券取引所と台湾当局系ファンドの国家発展基金が共同で、台湾初のカーボン・クレジット市場「台湾炭権交易所」を設立、関連する法整備などを行った後

小坪ブルーカーボンPJ 着々

時折お届けしている、小坪ブルーカーボンPJの進捗状況。 前回は、生長している様子をお届けしました。 今回は、その収穫の様子を…と思っていたのですが、残念ながら、養殖場での収穫作業や収穫後の天日干し作業等々、都合がつかず参加叶わず。天候にも左右されるので、時期を合わせて九州からというのは、中々ハードルが高いことを痛感。やはり、移住すべきか?と悩むこの頃です。 前置きはこれくらいにして、今回は、ワカメの様子をお届けするのではありません。養殖は、11月末に種付けして、翌年2月

世界銀行のCPレポート 斜め読み(1)

世界銀行(世銀)は、こちらのダッシュボードを通じて、世界のカーボン・プライシング(CP)の情報を発信しています。 説明をしておくと、CPには次の3つの種類に区分されます。 排出量取引(Emisssion Trading Scheme:ETS)のみであれば、ICAP(International Carbon Action Partnership)も重要な情報源です。 導入されている国・地域がマップやリストで示されますし、排出権価格(Allowance Price)のチャー

CDRの真実 マイクロソフトとバイオ炭

IPCC第6次報告書(AR6)において、1.5℃削減経路達成のためには。二酸化炭素除去(CDR)が必要不可欠であることが明らかにされたことは、皆さんもよくご存知のことでしょう。 AR5とAR6の間、2018年10月にリリースされた「1.5℃特別報告書」において、すでにCDRの重要性については明記されていたので、驚くべきことではありませんでしたが。 これを機会に、CDRの創生や利用を検討し始めた企業も多かったものと推測しますが、マイクロソフトもそのような企業の一つでした。

インドネシアのカーボン・クレジット市場(2)

隔月で、国・地域のクレジット市場を深掘りしたレポートをリリースしているACX。今回は注目していた「インドネシア」をフィーチャーしていましたので、その内容についてご案内しております。 前回は、セクター別まで説明しておりました。 このように、Waste DisposalとRenewable Energyで、CDMレジストリに登録された全クレジットの70%以上を占めていることが分かりました。 ですが、グラフから内訳は分かりませんので、UNFCCC CDMプロジェクト検索ツール

インドネシアのカーボン・クレジット市場(1)

ウェブ上で完結するカーボン・クレジット市場を提供しているACX。 毎週発行されるマーケットレポートでお世話になっており、noteでご紹介したことがあります。ご関心のある方は、こちらを参照下さい。 そのACXは隔月で、国・地域のクレジット市場を深掘りしたレポートをリリースしているのですが、今回は「インドネシア」でした。 昨年より、アジア、特にASEANのカーボン・クレジット及びサスティナビリティ情報開示熱が高まっていることから個人的にも注目し、noteでもご案内していまし

米国から目が離せない?!

4月9日、SBTiによるスコープ3削減に当たってクレジットの利用を認める旨の声明を発端として、サステナ界隈がざわつき始めたのは、皆さんご承知の通りでしょう。 実際問い合わせも多く、取り急ぎ、個人的な見解をご案内しました。 もしご覧になっておられないようでしたら、是非。 これに至る伏線は複数あり、さほど驚きではありませんでしたが、やはり、足元で起きている現象を俯瞰して、今何が起きているかを把握する「Insight」と、これらを解釈して将来何が起こりそうかを予測する「Fore