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高品質なカーボン・クレジットを求めて

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誤解されやすい、カーボン・クレジット。適切に使用すれば、1.5℃目標も夢じゃない!正しい理解をお手伝いします。
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2023年12月の記事一覧

ブルーカーボンのおさらい(1)

ブルーカーボンについては何度もご案内してきましたが、Jブルークレジットの試行事業が始まり、企業の取り組みが始まり、環境省・国交省(港湾局)・農水省(水産庁)及び自治体が推進し、それに伴いメディアでの露出も高まり、改めて問い合わせも多く受けるようになりました。 Jブルークレジットのエバンジェリスト(?!)として全国行脚している私としては嬉しい限りですが、だからこそ、これまた繰り返しご案内している「カーボン・クレジット」と同様、ウォッシュ批判されることのない「高品質なブルーカー

ISO14068-1がリリースされましたね

開発が続けられていた、カーボンニュートラルのISOですが、COP28期間中の2023年11月30日にリリースされました。 この規格は、組織や製品(建築物やイベント等の商品やサービス)において、定量化、削減、オフセットを通じてカーボンニュートライティを達成・実証するための原則、要求事項、ガイダンスを提供した規格です。 詳細については、ISOのウェブサイトを参照ください。 規格のサンプルを読むこともできます。 購入に当たっては、日本規格協会の「Webdesk」がお手軽でよい

小坪ブルーカーボンPJ始動

今までは、相談に乗ったり支援したりという形が多かった、ブルーカーボン。 ようやく、直接的に関与して生み出すプロジェクトを開始します。 残念ながら、今年度の創出は叶いませんが、来年へ向けてキックオフ。 まずは、現場を視察してきました。 今回一緒に取り組んで行くのは、逗子市の小坪漁協さん。 水産庁が「海や漁村の地域資源の価値や魅力を活用する事業であって、国内外からの多様なニーズに応えることにより、地域のにぎわいや所得と雇用を生み出すことが期待されるもの」を「海業」と定義し推進

稲作中干し期間延長クレジットについての考察

農業分野におけるJ-クレジットの新しい方法論である「AGー005 水稲栽培における中干し期間の延長」の誕生はご存知の方も多いでしょう。 メタンは嫌気性条件で、微生物の働きによって生成されるところ、水田はメタン生成に好適な条件が整っていると言えます。なので、水稲栽培において湛水しない期間(中干し期間)を延長することにより、メタン発生量が抑制されるため、その削減量をクレジットとして認めるというものです。 これを受けて、既に7つのプロジェクトが登録されています。 ちなみに、

オフセットから始めよう 〜その歴史を紐解いて

「カーボン・オフセット」 もう皆さんには馴染みがある言葉でしょう。 ですが、2008年から2012年まで、環境省及び経産省がカーボン・オフセット試行事業を行っていた際は、「知っている人は知っている」「知らない人は全く知らない」という、「環境あるある」という状態でした。 この試行事業は、2008年11月に、環境省が「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方(指針)」を策定してカーボン・オフセットの普及促進を開始、この指針に基づき、環境省と経産省が共同で、カーボン・オフセッ

クレジットの十全性とは?

打合せの中で不意に受けた質問に、一瞬戸惑い、我に返りました。 「易しい言葉で」「誰にでも分かるように」と言いながら、結局、受け手に頼り切った説明を行っていたなと。 ですので、ざっくりで恐縮ですが、説明をしておきたいと思います。 まずは、ITMOs(Internationally Transferred Mitigation Outcomes)から。 そもそも、これ自体が「クレジット」ではなく、「クレジットの総称」です。 例えば、次のようなクレジットが含まれます。 IT

Scope 3 Flexibility Claim(ベータ版)

23年6月に、クレジットを使う側のルールである、Claim Code of Practice(CoP)のVer.1がVCMIからリリースされたことは、既にご案内済みでした。 これは暫定版という扱いで、11月に予定されている最終版が待たれていたところ、11月28日、COP28開幕前に滑り込みセーフ、リリースされました。 公開されたフレームワークを用いて、企業は、「Silver」「Gold」「Platinum」のクレームバッジを表示できることになります。 今回の目玉は、Co