うちにもお招きしたい、物の怪たち。「石黒亜矢子展 ばけものぞろぞろ ばけねこぞろぞろ」
過日、世田谷文学館で開催中の「石黒亜矢子展 ばけものぞろぞろ ばけねこぞろぞろ」へ。
絵本作家・石黒亜矢子さんの絵本の原画を中心に、描きおろしの新作約20点を含む500点あまりを展示。
開催されると知ってから、ずっとずっと楽しみにしていた展覧会。
最寄りの芦花公園駅からセタブンへ向かう足取りも軽く、るんるん(死語)していたら、歩道を走っていた自転車(マナー違反)と衝突しそうに。
石黒さんが「真剣にふざけて」描いているという”物の怪”たちはみんな、おかしみがあって、かわいい。
迫力ある化け猫図もどこかユーモラス。
これはもう、ご本人のお人柄なんだろうなぁ。
うっかり開けた襖の奥に居たら、びっくりはするけれど、きっと自分の部屋がもっと好きになる。
私が大好きなのは『いもうとかいぎ』。
「ずるい ずるい ねえねは ずるい」
ちょっと先に生まれただけなのに、おやつはいつも大きい方を取られたり、おいてけぼりにされたり、新しい洋服を買ってもらえなかったり…。
いつもいつも、いもうとは損してばかり。
ある日、ちょうちょのてふちゃん、だんごむしのまんまるこちゃん、でめきんのでめこちゃん、じょうろうぐものじょろこさんが「いもうとかいぎ」を開いて、お姉ちゃんたちをこらしめる作戦を立てる物語。
私も一応”お姉ちゃん”で、子どもの頃はずっと「妹がほしいなぁ」と思っていたから、みんなのことがかわいくてたまらない。
石黒さんの描く物語はどれも優しくて、いつも最後はホロっとするんだ。
京極夏彦さんの文章に石黒さんが絵を添えた『とうふこぞう』も大好き。
おばけがでたらどうしよう…びくびく、どきどきしながら布団にもぐり込んでいたら
ある夜、布団の上にのっかってきたのがとうふこぞう。
手に持った豆腐を見せるだけ、という何がしたいのか全く分からない(深夜に相当迷惑ながらも)憎めない妖怪。
館内で過ごしている間、ずっとにまにま、口角が上がりっぱなし。
私が行った日の来場者は大人ばかりだったけれど、きっと週末は子どもたちで賑わうのだろう。
子どもたちがきゃっきゃと笑う声を聴きながら会場を回るのも、楽しそうだなぁ。
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