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告知投稿への対処

オンライン・コミュニティを運営していて悩ましく思うのは、投稿の質と量のバランスです。人数が少ない時は誰も投稿せず、人が増えると場の趣旨と無関係な投稿が増えます。

主催者としてどう考え運用しているか述べてみます。投稿するヒントにもなるかと思います。

投稿はコミュニティの「顔」

どんな人がどんな投稿をしているかを見れば、その場の程度が分かります。新しくそのコミュニティに参加するかを検討する人にとっての最も重要な判断材料でもあります。

もちろん、グループ情報にある場の説明や、最初に固定されている投稿の記載も材料になりますが、人や運営のレベルが最も如実に反映するのが投稿です。

よって主催者は、場の趣旨と整合し、参加者に有意義で、できれば質の高い投稿やコメントのみが並んでいる状態を目指します。逆に、趣旨と関係ない、投稿者の営利目的の、雑多で質の低い告知に溢れることを嫌います。

最初は誰も投稿しない

参加者に価値ある投稿が無ければコミュニティは成長しません。しかし、最初は誰も投稿などしません。メリットがないからです。

投稿するのは少し勇気がいります。誰が見ているか、どう受け取られるか分かりません。自分の見識が試されますし、場合によっては矢が飛んでくるかもしれません。それを上回る「良いこと」や必然性が確信できないと、わざわざ投稿などしないでしょう。

場に人が少ない内は告知効果もないし、知見や人のマッチングが成立が見込みは薄いものです。そんな場にわざわざ投稿する人などいないでしょう。

最初は主催者が、賑わいや役立ち感を自演

投稿の数があれば賑わいを感じますし、中には役立つものもあり、登録する動機になります。しかし、最初は投稿する人がおらず、「投稿が無ければ人は増えないが、人が増えなければ投稿が増えない」というジレンマに陥るでしょう。

この状態を打破するために主催者ができるのは、自分で価値ある投稿を増やすことです。作り込んだ投稿は1日に何個も作れませんが、目についた役立ち情報をシェアするだけでも案外役立つと感じてもらえます。

但し、タイムラインを遡っても主催者の投稿しかないという場も虚しい感じがしてしまいます。

そこで、色々な手を使い、他の人の投稿を増やすようにします。告知をしている人がいれば、グループでも告知してもらう、募集や質問があれば、グループにでも投稿してもらい、もう片一方でその課題を解決できそうな人を探して裏でアレンジするなど、「この場なら自分の課題が解決する」と実感してもらいます。

またそうして、参加者や参加を検討している人に、ここは信用できて役立つ場であることを実績として見せるのです。

人が増えると告知投稿が増え、対処が必要になる

1,000人を超えるくらいになると、場の趣旨と関係ない告知が増え始めます。投稿者にとってみれば、1投稿するだけで多くの人にリーチできるからです。

しかし、場の趣旨に関係ない告知は参加者にとってノイズになります。グループの投稿が告知ばかりになると、運営がゆるい印象も与えます。主催者の信用を毀損するリスクもあります。

よって、主催者は告知に対しては適切に対処しなければならないのです。

まずは明確に、どのような投稿をどのような理由で削除したのかを説明し、望ましい投稿や望ましくない投稿の基準を示すことです。

告知投稿に対する3つの方針

方針は、主に以下の3つの型に分けられると思います。

1)一切許可しない

グループの中には主催者や運営チームの人以外一切の投稿を認めない設定にしているところがあります。それはそれで一貫性が保たれて良いでしょう。

デメリットとしては、自分たちで相応の量と質のコンテンツをコンスタントに投稿しなければならないこと、投稿者が偏ることで内容が偏ることなどがあります。

また、参加者と運営側、参加者同士の双方向のやり取りが発生しにくいため、参加者が参加者を呼び、新しい取り組みが発生するような盛り上がりは期待できなくなります。

2)原則許可する

逆に、制限を設けないというものもあります。それにより気軽に投稿する人を増やすことを優先し、自然の淘汰に任せる判断です。

その代償として雑多な告知投稿にあふれ、往々にして「悪貨が良貨を駆逐する」ことになります。

3)基準を満たす投稿のみ許可する

多くのコミュニティではこの方針がとられていると思います。私が運営するグループでも、固定投稿でガイドラインを掲示しています(最後に記載)。

なぜガイドラインを明示するかというと、主催者が恣意的に判断しているように見える度合いを極力下げるためと、投稿を考えている人が安心して自分で判断できる材料を予め示すことで、投稿をしやすくするためです。

場の趣旨と無関係な告知をする人はこのようなガイドラインを一切見ずに投稿する一方、良心的な投稿者は主催者の意図を気にするため、方針を明示しないと自重しがちです。方針を示さないと、厚顔なフリーライダーの告知が溢れます。

厳密にするか、幅をもたせるか

誰が見ても明確な基準で対応する場もあれば、方針のみ示して主催者が中身も含めて判断する場もあります。

前者は分かりやすい分、投稿する側も判断しやすいですが、場の目的や参加資格など、最初から明確に絞られている必要があります。

後者は曖昧さが残りますが、いろいろな種類の投稿を増やせ、運用しながら方針を固めるのに適しています。

絶対の正解はない

どちらが良いかは、ターゲットや目的の明確さなどにより異なります。私の場合、ターゲットやテーマに幅があるため方針だけ示していますが、「教育のオンライン化」「人事実務者の課題解決」など、テーマや対象を誰が見ても分かるようにして投稿の幅を一定に保ち、活発にする運営をしている人もいます。

同じコミュニティにおいても、発展の段階によって対応を変えることがあります。初期は投稿が少なく、方針も固まっていないので、明らかに好ましくないもののみを削除しますが、投稿が活発になってくれば、告知投稿への対処を厳しくし、投稿の総量が多くなりすぎないようにしつつ、告知の割合を下げるようにコントロールすることもあります。

投稿に対する対処の実際

以下は私が削除する投稿の目安です。

・場の趣旨と無関係
・参加者に価値がない
・投稿者を一方的に利する
・同一イベントの告知で、短期間に複数回投稿
・サムネイルや文体が品位を下げる
・他の参加者より報告があった

営利イベントであっても、場の趣旨に沿っていて、参加者に価値があると思えば残しますし、無料でもそうでなければ削除します。高額なイベントは比較的厳しく判断されます。

場の参加者の関心に合致するテーマで役立ちそうなものなどは、オンラインというテーマから若干外れていても許容することがあります。

事前承認か、事後削除か

理想は一瞬たりとも場の信用を毀損する投稿を表示させないことで、その意味では承認制が妥当ですが、運用負荷が重くなります。また、承認制を謳うと投稿へのハードルが上がるかもしれません。

よって、私は1日に数度チェックする必要があるものの、問題があれば事後に削除する方針をとっています。

なお、削除した旨とルールを投稿者に通知する機能がfacebookにはありますが、無差別に色々なところにコピペ投稿している輩と建設的議論ができる期待値は低いので、ガイドラインに基づきそっと消しています。

客観性・公平性は維持するよう最大限の努力はするものの、好ましくない投稿には迅速に対処することを優先し、そこは独断で良いと割りきっています。

自分が怪物にならないように

時々「こんな奴がいたからこんな対処をした」ということを公に晒す人がいます。一部の追従者は「さすがです」「そうでよね」と反応しれくれるでしょうが、大部分の普通の人はその傲慢さを醒めた目で見ることでしょう。

あるいは、投稿者に対して感情的な個別メッセージを送る人もいて、時々そのスクリーンショットが晒され、主催者の知らないところで悪い印象をばらまかれているのも見ます。理性的かつ丁寧に理由を説明すれば避けられ、好感を得られたかもしれません。

主催者は機能として投稿を自由に削除する権限を持ちますが、偉いわけではありません。参加者に有益であるよう場の価値を維持する、むしろ場や参加者に貢献すべき立場です。

しかし、機能的に強い権限を持ち、不届者を「罰する」ことが増え、追従者にそれを賞賛されるにつれ、「自分が偉い」と勘違いするのかもしれません。

行き過ぎた行為が増えれば、まともな人は黙って離れるだけです。よほどの信頼関係がなければ諫言はしてもらえず、自分では修整できないでしょう。あとには何でも賛同する信者だけが残り、側から見れば痛いだけの裸の王様に堕ちるだけです。

波に乗っている時は誰も何も言いませんが、潮目が変われば過去に不快な思いをした人々が「水に落ちた犬を叩く」など、報いを受けることになるでしょう。

参考:掲示しているガイドライン
【投稿について】 
役立つ情報や共創のキッカケを歓迎!以下2点踏まえ、気軽に投稿下さい。

1. 場の趣旨に合致
2. 他の参加者への価値がある

コミュニティは「相互利益」が基本と考えます。
他の参加者への価値が不明確な場合、投稿者を一方的に利するものと判断し、削除せざるを得なくなります。
宣伝は、場の趣旨にどう合致するか/参加者にどんな価値があるか、簡潔に添えることをお勧めします。

◆場の趣旨
リモートワークやオンラインでの活動について、参加者同士で知見を共有し、より良い実践を生み出す「オンライン・コミュニティ」として、皆様に価値を提供していきたいと考えております。

◆歓迎する投稿
行動変容につながる知見
    例)考察、How to、まとめ記事
1. ニュースや面白ネタ
2. 参加者交流や共創のキッカケ
   例)募集や質問、運営への提案
3. 参加者に役立つイベント等の紹介

※宣伝投稿について
●宣伝投稿自体は問題ありませんが、場の趣旨と合致し、参加者に価値ある旨を簡潔に添えた上での投稿をお勧めします。
●趣旨に沿うと判断できない投稿は、削除せざるを得なくなる旨、ご理解賜れれば幸いです。
●他のグループにも同一文面で投稿することは、場の趣旨や運営者の尽力に配慮せず、一方的な自己利益のために利用する行為と見なされやすいので、ご注意下さい。
●また、同一イベントの案内は1度、同じ人や団体による宣伝投稿は月に2回までを目安にお願いします。

その他
●個別の事前確認は手間なので不要、自己判断で投稿下さい。謝辞や了解を取った旨等、参加者に価値がない前置きは不要です。
●相応しくなければそっと削除するのでご安心下さいw
●相応しくないと思ったものは遠慮なく報告下さい。それは場に価値を維持する、歓迎すべき行動です。
●違反報告のあったものは削除します。

上記趣旨に基づき、運営者が是非の最終判断をします。
なお、オトナの扱い&性善説を基本としたいので、誹謗中傷・公序良俗云々、常識的なNGを細かくは書きません。
ご不明な点があれば、気軽にコメント下さい。

投稿するヒント

主催者が気にすることを踏まえれば、グループで主催者に歓迎される投稿が分かります。繰り返しになりますが、以下が明確なことです。

・場の趣旨に沿っている
・場の参加者にベネフィットがある

例えば、私が運営している場であれば、オンラインイベントやリモートワークに関する知見の創造を、場の目的と定めています。オンラインの知見創造と全く関係ない、単なるオンラインセミナーがよく投稿されますが、それは趣旨に合致しないので、削除します。方針を定めて場を運営している主催者なら、同じような対応をするでしょう。

以下のようにすると削除されたり心象が悪くなることを回避できる確率が高くなるでしょう。

・主催者が趣旨や投稿基準を明記している場合、それを読む
・過去の投稿を一通り見て、誰のどんな内容の投稿が消されずに残されているかから、基準を推測する
・余裕があれば、参加者の属性も見てみる
・上記を踏まえ、場の趣旨や参加者の関心との合致と、参加者のベネフィットとが説明可能にする(説明が通らないなら投稿しない)
・出来れば、投稿の冒頭にその場の趣旨にどう沿い、参加者にどんな価値があるか1〜2文で簡潔に示す(他の複数グループにもコピペ投稿すると、主催者にも参加者にも心象が悪い)

主催者も登録者も、同じテーマの他グループにも登録していることが多いため、例えば、人事系のイベント告知を人事関係の複数のグループにコピペ投稿すればすぐにわかります。場ごとに趣旨が違うはずで、当然その説明も異なるべきです。また、主催者にもとっては、苦心して人を集め質を維持しているところを何の尊重もなく手軽に人集めに使おうと見えて悪印象を与えます。

他の参加者にそのような告知に好きに使っても良いのだと思わせれば、投稿の規律を乱すと考えます。それを予防するためにそのような投稿は削除するでしょう。場の趣旨に合わせて一言入れるだけで大分心象は改善されるはずです。

時々「もし不適当であれば削除ください」と書く人がいますが、これは丁寧なように勘違いする人もいますが、自分で判断することを放棄して、主催者に丸投げしているだけです。趣旨や参加者ベネフィットを自分で考え書くのが本筋でしょう。

以上、投稿する際の目安を述べてみましたが、場の主催者の考えや性格は千差万別です。上記に基づけば歓迎される可能性は高まるとは思いますが、絶対ではないことを留意下さい。

場は参加者がつくるもの

コミュニティの価値は参加者によってつくられるもので、主催者の役割はそのための環境を整えることです。この文章が良い場を増やす参考になれば幸いです。

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