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「コミュニティ」という言葉に踊らされていないか〜コミュニティ相談室-4

コミュニティについて毎日1つの質問に答える相談室。

今回は「コミュニティの立ち上げ方」について。

質問
新しくコミュニティを立ち上げようと思っています。
うまく立ち上げる方法を教えてください。

回答:ゆるくいくつか作り、うまく回りそうなものを育てる

コミュニティが最初にうまく回るには、以下の3要素が必要です。

1)目的
2)人
3)関係

目的とは「何を実現するか」で、これが定まれば、何をするか/しないか、誰が対象か/対象外かの「軸」が明確になります。

次に人=初期メンバー。そしてそのメンバーと主催者、メンバー同士、また、メンバーと場との関係が噛み合い、うまく活性が上がってくると、コミュニティが自走し始めます。

狙ってできるものではない

ただ、場の目的を明確にし、場にあった人を集め、うまく自発的に動いてくれるようにすることは、そう簡単に、狙ってできるものでもありません。

実現したいことや活動の方向性などは、試行錯誤の中から徐々に固まる方が多いです。

メンバーによっても変化するので、人もおらず、活動もこれからという状況では、具体化できなかったりします。

趣旨が固まらないと人を口説き落とすのも難しいです。とりあえずきてくれたところで、何をする場か分からなければ、自発的にアクションを起こすこともできません。

主催者と相手との関係をベースに始まっていく方が、現実には多い気がします。

続く「やりとり」を発生させるのも難しい

facebookグループでも、メッセンジャーでも、LINEオープンチャットでも、何人かでグループを作ったとします。

メンバー同士のやりとりが自然に発生し、続くようになるには、主催者による結構な介入が必要です。

最初は、主催者が色々問いかけたり、質問を促したり、その質問への他の人からの回答を促したり、自分が答えたり、はたまた、裏で誰かに質問や回答をするように手を回して、「ここは気軽にコメントしていい場だ」ということを、メンバーの行動で見えるようにし続けます。

そうしないと、自然なやりとりが発生し、続くようにはなりません。

自らやりとりをするメンバーが何人か出てくると、うまく回るようになります。

そういった人が出てくるかは、結構巡り合わせの部分も多いです。

人の巡り合わせは難しい

また、その人がいつでもどこでもそうかというとそうでもありません。

同じ主催者が別のグループを作り、あるグループでアクティブだった人を追加しても、その同じ人が全く何も発言しないということもざらにあります。

他のメンバーとの関係性ができていない、その場の趣旨がその人の関心のツボにハマっていない、たまたまタイミングが悪いなど、色々な可能性が考えられますが、とにかくそういうことが普通にあります。

「苗床スタイル」が実際的

よって、百発百中を狙うのではなく、軽く始めて、うまく回り始めたものを育てる方が実際的です。

何かしらの共通点で括った人のグループを軽く作り、少しやりとりをしてみて、うまく目的、人、関係が噛み合うか、やってみて、いい感じに走り出したものを拡大し、目的や人だけでなく、体制や方向性などを固めていくのです。

いきなり何の脈絡もなくグループを作るのも何なので、自分の関心あるテーマでイベントを作り、そこにきた人のグループを作り、そのイベントを継続しながら参加者を蓄積し、そこから自走性の高い人を抽出して、コミュニティ化していく、というのが、一つの王道のような気がします。

「コミュニティ」という言葉に踊らされていないか

最近色々な企業が「コミュニティ」という言葉を使うのをよく聞きます。

何かの場を作った経験もない人が「コミュニティ」という、何か確固たる実態があるものを作ろうするのを目にすることも増えました。

そもそも「コミュニティ」とはバックグラウンドによって大きく解釈が異なるものです。

元の使われ方に近い、公共系の意味合いもあれば、技術者や研究者のコミュニティ、ファンコミュニティ、個人コミュニティ、コミュニティーマーケティングやユーザーコミュニティのようなビジネス文脈のコミュニティなど、文脈が違えば、イメージされるものも、メカニズムも、千差万別です。

「コミュニティ」という実体の捉え所のない言葉から考え始めると、大抵観念的になり、失敗します。

私の知る範囲ですが、「コミュニティ」をうまく立ち上げて回している人の内、少なくない人が「コミュニティ」という言葉を意図的に使っていません。

また、立ち上げた時「コミュニティを作ろう」と意図た人も少なく、何かの活動をしていて、人が集まったので、その人たちが動きやすいように仕組みを整えていったら、それが結果としてコミュニティになった、という話もとても多いです。私も同様です。

もちろん、ITベンダーのユーザーコミュニティのような、最初から意図して作るものもありますが、プライベートのものは、人先行の方がうまく立ち上がる可能性が高い感触があります。

あまり「コミュニティを立ち上げよう」とか、どうやればうまくいくかとか、難しく考えず、やりたいことをテーマとしたイベントや集まりをゆるく作り、気軽な取り組みを始めながら、うまく人が集まり、関係が噛み合ったら、それを徐々に組織化・仕組化するように仕掛けていくのが、気軽で楽しくて良いのではないかと思います。

肩肘張らず、考え過ぎず、楽しくやってみて下さい。

ご参考:コミュニティ運営チーム立ち上げ事例

著書:オンライン・セミナーのうまいやりかた


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