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提案の価値設計 〜企画者の思考

セミナー企画に携わる人のために、年間200講座を実現する全思考を言語化します。

今回は、企画の中身を考える前に、価値をどう作るかの考え方。

ビジネスパーソンが社会人向けに登壇するイベントへの登壇提案を想定しています。


登壇は「手段」

相手にとって、登壇は何かしらの目的を実現する「手段」です。

例えば、
・研修やコンサルの引き合い獲得
・採用候補者との接点
・本のプロモーション
など「その先」の実現が動機となります。

実際多くの登壇者は、謝礼だけではなく、未来の可能性や間接的な効果を含めた、トータルの価値で判断します。

よって企画者は、相手の求める価値が、登壇を通じて実現されるよう設計し、実際に価値を実現することが求められます。


価値を上げる要素

相手にとっての登壇価値を上げるために何をすればいいか、経済学で喩えて要素分解してみます。

現在価値:将来10%の確率で100万円になるなら現在の価値は10万円

と考えると、実現確率を上げれば価値が上がることになります。

例えば「仕事につながる人」が多く来る登壇の方が価値が高い、ということです。

間接価値:相乗効果、ブランド、人的関係
主観価値:他者への貢献、知的好奇心

直接の「お金」だけが価値とは限りません。

出版と登壇のような、既に実施した施策と相乗効果があるものもあります。

著名な場に登壇してブランドが上がる、良質な人的ネットワークが構築できるなどは、将来の仕事や単価UPに繋がります。

社会貢献や恩送り、知的刺激などの「精神的満足」も価値になります。

投資対効果ROI):価値÷リソース

より少ない工数で同じ価値を実現できれば、ROIは高まります。

打合せも資料作成なく、当日身一つで行くだけ、というようなことです。

オプション:よりROIが高い選択肢を選ぶ

登壇は相手の唯一の選択肢とは限りません。
研修を売るなら、営業、執筆、広告など他に色々手段はあります。

同じ目的を達成する他の選択肢と比べ、ROIが比較優位にあるものが、相手にとってベストな選択肢となります。


選び方を知る

人によって価値判断は異なります。

インセンティブ:決定や行動を変える要因

相手のインセンティブ構造から、相手にとっての価値が推測できます。
採用担当なら、ターゲット人材がくる場で話したいと、ということです。

タイミングでも異なります。
本を出す前後なら、宣伝のために受ける、ということがあります。

主観価値:価値は人の主観による

短期的に結果に直結することに価値を感じる人もいれば、信頼や実績のような長期的に効果あるものを求める人もいます。

また、人によってポリシーも異なります。

・無料の仕事は受けない
・好奇心が刺激されるなら受ける
・頼まれたら断らない

など、何を価値と考えるかとその重み付けに加え、ポリシーも把握します。


相手を知る

相手のコミュニケーションスタイルにも合わせた方がいいでしょう。

要点だけを好む人もいれば、全情報を揃えた方が良い人もいます。

付き合いがあれば勘所は分かりますし、本提案の前に軽く打診もできます。

付き合いがなくても、直近の登壇機会や、知り合いのツテを調べ、会ってみるという手もあります。

バックグラウンドやSNS・メディアでの言動をリサーチすれば、人となりや状況を把握でき、ある程度の仮説は立てられます。


編集する

相手の価値やスタイルを調べ、仮説を立てたら、それに合わせて提案を構成します。

人間関係、善意や情に訴える以前に、本質的に価値がある提案にします。

大人の事情も勘案します。
相手が自分を納得させ、対外的にも説明可能な材料は、企画側で用意した方が丁寧です。

相手がNoと言い得る材料は可能な限り潰しておきたいです。


提案は仮説検証

提案しないと仮説の成否は分かりません。

いい提案でも断られることはあるし、思いつきが刺さることもあります。
運やタイミングも影響するので、一喜一憂しないことです。

断られても原因を推測し、次回以降の精度を上げる学びにします。

真摯な提案なら本気度が伝わり、お断りでも理由を教えてくれることもあります。
その場合は、再提案に活かします。


さいごに

良い企画とは、参加者にも登壇者にも価値のあるものだと思います。

本稿が、価値ある企画を形にする参考になれば幸いです。


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