見出し画像

試行イベント「ふり返り」のやり方

自身のイベントやコミュニティを形にするために、仮説検証と課題出しを目的としたイベントを、小さく試すやり方と考え方をお伝えします。

本稿は、私が講師を務める自由大学の講座「場の主催学」のテキストとして書きました。

試行してふり返る理由

頭で考えるだけでは、参加者ニーズは分からず、コンテンツもまとまりません。仮説を立ててイベントを試行すると、ターゲットやニーズ、目指す姿がクリアになり、軌道修正や改善のヒントも見えてきます。

また、実際に体を動かし実在の人を相手にすると、自分の心が動くかも分かります。

進むべき方向がわかり、進みたい気持ちを確信し、自走の第一歩をふみ出すために、試行してふり返るのです。

目指す状態

ふり返ることで、以下が整合した状態に近づけます。

1)コンテンツターゲットに届き、課題を解決している
2)ターゲット課題解決と、自身の目的・ビジョン達成とが両立する
3)課題解決の取り組みが、自身の根源的動機に基づいている
4)価値を実現するオペレーションができている

以下のように改善策を具体化します。

1)差異を分析する
・狙いと違ったところは何か
・違いの原因を掘り下げる

2)改善 or 方向転換
目指す状態に近づける改善策を考えるのが基本。
しかし、想定外の重要なニーズやターゲットを発見したら、方向性自体を変えることもあります。

3)アクションに落とし込む
・起きてからの対処より予防が理想
・問題が起きた瞬間に改善策まで言語化
・問題、原因、改善策は即座に記録
(遅くともその日の内)
・実施できるものは即座に反映

要素ごとの視点

主な要素ごとに、目指す状態と実際やってみた結果との差異を分析し、改善点を具体化します。

1)ターゲットとその課題
・想定した属性と実際に来た人の違い
・参加理由=課題は想定とどの程度違ったか
・さらに解像度を上げられないか
・上記を踏まえ、ターゲットの具体化、絞り込み、変更をする

「ターゲット」とは、主催者が本来参加してほしいと考える客層です。
「参加者」はそういった狙いに関わらず、実際に参加した人々です。
イベントにはターゲット外の人も申し込んできます。どこまで許容するかは主催者の判断です。

2)コンテンツとその価値(ターゲットの課題解決)
・狙い通りターゲットに刺さった点と理由
・思いがけずターゲットに刺さった点と理由
・ターゲットのニーズを満たせなかった点と理由
・狙った通りはターゲットに刺さらなかったか点と理由
・参加したターゲットは狙い通りのアクションをしたかとその理由
・上記を踏まえた修正点

3)届け方
・参加者は何をどう見てなぜ来たか
・狙ったターゲットが参加した理由
・狙ったターゲットが参加しなかった理由
・思いがけない層が参加した理由
・上記を踏まえ、案内の仕方をどう変えるか

4)自己理解(目的、ビジョン、動機)
・目指す状態への道筋が明らかになったか
・自身の「好き」や「使命」に合致し、心踊ったか

5)オペレーション
・目的や参加者価値の観点から不要な要素を削ぎ落とす
・自動化・効率化、手戻りやばらつきを減らす工夫をする
・手間を追加して価値を高める
・誰が、どのように実現するかを具体化

誰が、どうやるか

1)主催者による洞察

あるべき姿やそこに近づくための改善点を最も真剣に考えるのは、当事者である主催者です。まずは自分でヒントを見つけ出すよう意識しましょう。

ただし、主催者に見えないこともあります。

単純にいる場所によって見えるものも違いますし、様々なことに気を配らねばならないので余裕がない場合もあります。自分と違う価値観の人の不満は、言ってもらうまで気づけません。加えて、提供側は、どんなに気をつけても「こうなるはずだ、こうなるべきだ」という思考に陥り、実情が見えなくなります。

2)参加者アンケート

そのような、主催者が気づきにくい改善点を吸い上げる手段がアンケートです。ただし、聞くべき相手を明確にしないと、他人の意見にふり回されてますし、基準なく要求を受け入れると疲弊します。自身の目的や参加者全体利益の観点で優先づけ、現実的に判断しましょう。

・ターゲットにとっての価値になるか
・目的や目指す姿の実現につながるか
・投じる工数や費用に見合うか
・「らしさ」や「良心」に反さないか

ただ、アンケートに上がった要望は、安易に却下する前に、相手の表面的な要求の奥にあるニーズは何か、手間や費用をかけず実現する方法はないか、知恵を絞りましょう。他にない価値を実現する突破口になることもあります。やらない場合は、判断根拠を説明できるようにしておきます。

3)協力者を募る

運営メンバーを任命し、フィードバックも役割として定めるのも一案です。他の主催者を招待して、意見をもらうのもよいです。主催者は主催者の気持ちが分かるし、人にギブしようとする人も多いです。

あくまで主催者からのお願いなので、相手がやりやすくなるように、共有ドキュメントを準備し、あらかじめ目的・視点・手順も伝えると、効果的なアドバイスをもらえる可能性が高まります。

4)参加者へのヒアリング

申し込みした人の中に親しい人がいれば「モニター」をお願いしても良いでしょう。予め「今回は試行なので、割引価格で提供する代わりに、詳細アンケートや個別ヒアリングをお願いするかもしれません」とすることもあります。

注意:フィードバックは主催者が努力することで得られる

アンケートは答えてくれるのが当たり前と思わないことです。二度と行かないものには不満を伝える手間すら惜しいものです。自分と関係ない主催者のために何か伝えようとも思わないでしょう。

率直な声をもらうには、まず主催者が、参加者に価値を提供し、満足してもらう努力をすることです。また、知らない人でも自分のためを思ってこまめにやり取りしてもらえれば、何かお返ししようと思うものです。

例えば、参加者に個別のお礼メッセージを送る際に「よろしければ、参加者により価値あるものにするために、ご意見お聞かせ下さい」と入れるだけでも、返信とともに意見を貰える可能性が高まります。

さいごに

本稿で述べた考え方や方法は一例で、ターゲットなどの条件が異なれば違うやり方もあり得ます。絶対の「正解」はありません。

自身がどんなあり方を目指すのか、自身の場をより良くしようと、常に考え続け、機会を見出し、自分なりのやり方を創造してください。

よろしければTwitterもフォロー下さい。


よろしければTwitterもフォローください〜 https://twitter.com/Ryu_8cchobori