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『ロジック』というコーポレートの秘密兵器を使えていますか?という話

皆さん、こんにちは!公認会計士・社労士・元CFOの植西です。

このnoteでは不定期で、コーポレート・管理部門にまつわる様々なテーマをこれまでの経験・知見などを通じて、書いていきます。
Disclaimer的な話ですが、多種多様に意見がありますし、あくまでサンプル数たった1の意見だと思って読んでくれると良いです。

ロジカルシンキングとは

いきなりですが、ここではロジカルシンキングの内容については一切語りません(爆)
筆者は一応Top3の外資戦略コンサルティングファームに在席していたものの、その組織における論理力としては、業務を通常程度でこなすという至って普通レベルでしたし、遥かに知識も技術の優れた諸先輩面々(勿論自分より年下のすごい人達も)がいました。
ビジネスの世界では古くからこのロジカルシンキングの重要性が語られ、多くの書籍もありますし、そういう方々を差し置いて語るなんておこがましいことはできませんので(笑)

ただ注意として、そんないくつかの視点で語られるロジカルシンキングも、この記事においては「構造化」「仮説思考」「論点思考」の3つに関して話していると思って頂ければよいかと思います。

今回のテーマ:コーポレート部門におけるロジカルシンキング

批判を覚悟で言いますが、管理部門・コーポレート部門において、ロジカルシンキングを使いながら仕事をしている人は体感値で1/10もいないです。

実はこれには業務構造的な理由がいくつかありまして、これをそれぞれ章ごとに話していきます。

 ①業務の内容が既に構造化されていて、自分から考える機会が少ない
 ②知識を中心に戦う比重が多く、コンサルティング等のふわっとした世界の出身者が少ない
 ③パワーポイント/スライド等を用いたのプレゼンテーション機会が圧倒的に少ない

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理由その①:業務の内容が既に構造化されていて、自分から考える機会が少ない

これは例えば、数字を扱う部門に多い傾向です。
例えば、損益計算書や貸借対照表をイメージしてみましょう。
 ・損益計算書⇒売上高/売上総利益(粗利)/営業利益/経常利益。。。
 ・貸借対照表⇒資産/負債/純資産
こんな構造になっていますよね。これに基づいて経理の人たちは業務を進めます。「今月の営業利益は。。。でした」「負債比率はxx%で。。。」とかのコミュニケーションしていますよね?


この決められた構造自体がロジカルシンキングを阻む要因なのです。
つまり、ご丁寧に損益計算書や貸借対照表が、「営業利益」「負債」とかの構造を既に作ってしまっていて、その構造を作ることの思考を放棄してしまっているのです。法律や一般的基準が構造を既に作っているとも言えます。

本当にロジカルシンキングを実行する人は、この構造に囚われません。例えば、先ほどの営業利益の話をすると、「ファンクション制組織で成長を目指す(という大きな論点を持つ)当社においては、損益構造はファンクション別で特有の勘定科目を作るべきで、売上原価や販管費といった既存の財務会計の構造で作ると、正確な組織成果を把握できない」

という風に考えられるか否かが大事です。数字周りで本当にイケてる人はこういう思考を持っています。管理会計周りにはこういう発想する人は多少いる印象です。

理由その②:知識を中心に戦う比重が多く、コンサルティング等のふわっとした世界の出身者が少ない

既存の法律やルールといった知識をベースに戦う業務の場合は、この状況に陥ります。理由その①は、経理の話を中心に出しましたが、知識ドリブンである人事労務・法務・総務系の全コーポレート部門でも起こり得ます

コンサルタントのように確かな資格や知識などがない世界では、頭の切れ味・分析力が唯一の武器です。一方で、コーポレート部門は、知識や知見が重要視されるから、両者間での転職・ジョブチェンジの相性が悪いのです。管理部門がコンサルにいってあまりうまくいかないケースが多いのはこれが原因で、自分のこれまでの生き方を否定しないといけないので、中々できません。
反対にコンサル出身の人は事業側や経営側に転職する人の方が多くなります。

そして、住む世界の違う職種同士が交わりにくい部署だからこそ、ロジカルシンキングの重要性・風土が入ってこない・伝わってこない。そんな環境が自然と出来上がっています。

理由その③:パワーポイント/スライド等を用いたのプレゼンテーション機会が圧倒的に少ない

これも結構良く見ます。
採用面接を行う時でも、ExcelやWordは使うけどパワーポイントはあまり使ったことがありません、という人がめちゃくちゃ多いです。

組織化された会社で働くということは、その会社に合ったレポートラインの下でコミュニケーションを円滑に進め、PDCAの質と回転数を高めることにが大事です。パワーポイントやkeynote等のスライドツールは、複雑な論点に対するコミュニケーションを最短で実現するツールです。
極めて重要かつ難易度の高い行動として、融資や出資などの資金調達をする時、新規事業を始める時、などパワーポイントを使うケースがほとんどです。

一方、管理部門は、ルーティン業務をこなすという部分がやはりそれなりの比重を占めるので、ExcelやWord(特にExcelの方)が使用頻度が多く、プレゼンツールを使う機会が少ないです。せいぜいExcelに少し纏めスライドを作ったりして分かりやすくする程度で、上下間のコミュニケーションが事足りてしまいます。

ロジカルシンキングをコーポレートで武器にしたら世界が変わった

理由その①で言った通り、管理部門は「そもそもの業務が既に構造化されている」という特徴があります。

拙い一例ですが、自分がコンサルティングファームを経てから管理部門に戻った時に、「既に構造化されていない世界を考える」ようになって、課題解決力が格段に上がった、という経験があります。

得られたメリットとして、
 ・論点=経営課題を考えることになり、経営者と対等に話すことが出来る
 ・事業部側の考えと近い発想になるので、説得・議論がしやすい

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コーポレートに関与する皆さんは、何かの業務と出会った時に、
 a)解決したい・伝えたいこと(=主論点)から入り、
 b)主論点をサブ論点に分解し、
 c)どういう順序と図表/テキストで伝えるかを考え、
 d)最後に、サブ論点ごとにExcel・Wordを作って主論点を解決、
という順番で行っていますか?⇒多くの場合は、dだけで終わっています。恐らく、①去年作った資料を流用、か、②似たような業務で使った資料を流用、をしていると思います。昔の自分はほとんどそういう思考停止の状態で仕事をしていて「作業だけ早い人」みたいになってました

今も、効率的に回すためには多くの場面でそうしますし、忙しくて考えられない場面も多いです。ただ、特に自分の知らない・能力的にストレッチしなければいけない課題に出会った時には、論点から入った解決方法を構築しなければいけません。
※コンサルタントや経営者の方にとっては当たり前のようなことを言っているかもしれません。

ロジカルシンキングって大事って言われますが、本当にその内容と実践方法を理解している人は少数です。その為の訓練を実務の中で長い間しないと絶対に身に尽きません。でも、それを管理部門の人が出来たら、知識もあるわ論理力もあるわで、最強の人材になれると思いませんか。

たまに業務に取り組むときに、ちょっと意識することから始めてみましょう!自分もこの世界はまだまだなので意識しつつ頑張っていきます。

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