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ルンメニゲ社長の語る「フリック監督への信頼、代表監督の後継者、注目選手たちの契約延長」

—— 以下、翻訳 (インタビュー記事全文)

カール・ハインツ・ルンメニゲCEOは、ドイツ『シュポルト1』のインタビューで、FCバイエルンで今後も続投が期待されるハンジ・フリック監督を巡る、DFBの招致の動きを批判した。また、オリバー・ビアホフ氏の問題発言は失礼だと指摘している。

カール=ハインツ・ルンメニゲ社長に笑顔が戻る。

キールでのポカール敗退の悪い流れは完全に払拭され、ブンデスリーガでは2位と7ポイントもの勝ち点差をつけて首位に立つ。クラブワールドカップを前に、ルンメニゲ社長は、カタールで「歴史を」築きたいと期待を込める。

しかし、FCバイエルンの社長が嫌悪を示すのは、ドイツ代表チームのディレクター、オリバー・ビアホフ氏によるハンジ・フリック監督への代表チーム勧誘の動きだ。

この65歳の三冠監督に関しては、早期のクラブ退団など以ての外だという。

SPORT1:ルンメニゲさん、FCバイエルンにとって6度目のタイトル獲得の可能性があるというのは、どれほど重要なことでしょうか?

カール=ハインツ・ルンメニゲ:FIFAがコロナの影響で今シーズンの大会中止を検討していた時、チームは監督と一緒に私のところへやって来た。彼らは私に、ジャンニ・インファンティーノ会長に連絡を取り、なんとか大会を実現させてほしいと頼んできた。そして私はそうしたよ。今回、こうしてFIFAクラブワールドカップに、欧州チャンピオンズリーグ優勝チームとして出場できることになり嬉しく思う。私たちのチームは非常に野心的で、獲得できるあらゆるタイトルを勝ち取りたいと考えている。彼らは今、新たな歴史を作ろうとしているのだ。これまでに6つのタイトルを1シーズンで獲得したクラブは、2009年のFCバルセロナだけだね。

ルンメニゲ:バイエルンがクラブワールドカップに参加する意味とは

SPORT1:カタールの太陽は、ビタミンDの補給には嬉しい副作用かもしれませんね。

ルンメニゲ:今週のミュンヘンの天気は、ほとんど穏やかなものだった。向こうには非常に快適な気候条件がある。それが、これまで冬季合宿をドーハで行ってきた理由だ。我々は一週間弱の滞在となる。チームは刺激を得て、モチベーションが高まると確信している。去年のリスボンに似ているね。

SPORT1: FCバイエルンは暖かい方が良い試合ができるのでしょうか?

ルンメニゲ:11月から12月にかけて寒さの厳しい時期には、トップレベルではない試合が続いていた。フランツ・ベッケンバウアー名誉会長も11月の状況に関しては言及していたね。今回は1月にもそうだったが、キールでのカップ戦敗退後、チームはより集中力を高め、再びモチベーションを高めていた。それ以降、ブンデスリーガでは勝ち点差のリードをうまく築いてきたのは偶然ではない。

SPORT1:クラブワールドカップ優勝は金銭的にもメリットが...。

ルンメニゲ:優勝チームには賞金5百万ドル(約5.3億円)が贈呈されるという、嬉しい影響もある。チームがこのタイトルを獲得すれば、その分のボーナスをチームに支給することになる。それに値するものだろう。しかし私は、相手チームを過小評価しないようにと警告している。2日間の休みと長旅を経て、来週の月曜日、すぐに準決勝を迎える。アル=アハリSCは、エジプトだけでも3000万人以上のファンを持つ伝統あるクラブだ。アフリカ大陸連盟から「世紀のクラブ」に選ばれた。この対戦をとても楽しみにしているほか、対戦相手には最大限の敬意と感謝の気持ちを持って臨みたいと考えている。

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SPORT1: バイエルンのスター選手たちの給料にボーナスは必要でしょうか?

ルンメニゲ:どの選手も非常に高額な年俸を稼いでいるとはいえ、チームがタイトルを授かるのは当たり前になっている。ボーナスは、クラブからチームに対する評価の形であるため、変えるつもりはない。しかし、ことわざにもあるように、「勤勉なしに賞はない」と言えるね。

クラブW杯でバイエルンは、アル=アハリ戦を「甘く見ないように」

SPORT1:この未知の相手アル=アハリとの一戦に向けて、実際にどのような準備をしているのでしょうか?

ルンメニゲ:我々の監督が対戦相手アル=アハリの分析を行う。我々が有利と見られているとはいえ、リスペクトに欠ける態度は取れないからね。途中でつまずくことなく、一戦一戦真剣に取り組んでいきたい。2020年、チームはこれを完璧に実行し、2021年も継続することだろう。どの試合にも、常に敬意とプロ意識を持って臨むことが重要だ。

SPORT1:これで、ハンジ・フリック監督は1シーズンの間に獲得できる全てのタイトルを勝ち取るチャンスがありますね。この後、彼が「ここで達成できるものは全部達成した」と言い残して辞任するのではないか、不安はありませんか?

ルンメニゲ:ハンジ・フリック監督の名言がある。「成功は借り物でしかない。」それが全てを物語っている。私はハンジを非常に意欲的な監督かつ、人物であると考えている。100個ものタイトルを獲得したウリ・へーネスやフランツ・ベッケンバウアーは何と言うだろう?彼らはさらに成功を続け、そして、その野心はますます増幅していった。ハンジは選手時代、FCバイエルンの遺伝子を自ら体感し、監督としてそれを究極の形で再びチームに吹き込んだ。常に新たな目標を設定し続けていくことが大切だ。たとえ、すでに全てを勝ち取ったとしてもだ。そして、その成功を再確認していかなければならない。ハンジはFCバイエルンで大きな成功を収めたとはいえ、今後もその姿勢を続けていくことに変わりはないだろう。

ルンメニゲ:ビアホフ氏の発言は「レーヴ監督に失礼だ」

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SPORT1:最近では早すぎる今夏の監督退団の噂も出ました。来季もハンジ・フリック監督がFCバイエルンの監督を続けてくれると考えていますか?

ルンメニゲ:100%そう信じている。さらに言うと、彼自身、選手時代はFCバイエルンで最も成功に満ちた時期を送った。同じことが、監督時代でもここで実現することだろう。

SPORT1:先日、ドイツ『シュポルト・ビルト』誌のインタビューの中で、オリバー・ビアホフ氏は、ハンジ・フリックがヨアヒム・レーヴ代表監督の後継者になりうる可能性を聞かれた際、「その可能性を否定するのはクレイジーなことだ」と語りました。この発言について、どう受け止めましたか?

ルンメニゲ:率直に言わせてもらうと、オリバー・ビアホフ氏は最近、まるで彼がDFBの問題解決や近代化を担う要人であるかのような立ち振る舞いをしている。しかし、この数日間の様々なインタビューで彼が批判した事は、全てオリバー・ビアホフ自身が責任を負うべきものだ。例えば、ドイツの若手選手や監督の育成に対する批判などだ。そのどれもが、スポーツディレクターであるオリバー・ビアホフ氏が15年間、担当してきたものだ。私からすると、その点が気になって仕方がないし、逆にそれ以外は気にならない。また、将来の監督候補者の話を公然とひけらかすのは、現代表監督のヨアヒム・レーヴに対して失礼だと思うね。

フリック監督が代表監督になったら?「それではドイツ代表チームの問題は解決しない」

SPORT1:もし代表監督になってほしいと依頼があった場合、ハンジ・フリック監督との契約を早めに解消する可能性はありますか?

ルンメニゲ:これまで私は、監督が最も重要な従業員であると常々言ってきたし、契約書にもその旨が明記されている。その観点からすると、これは全く取るに足らない問題だ。DFBの抱える問題を解決するつもりなどない。正直に言うと、もし私が監督の立場なら、職場をFCバイエルンからDFBに変えるなんて話が来れば、ただ微笑を誘うだけだね。

SPORT1:無観客試合の影響もあってか、最近はあなたの元気な声がスタジアムでよく聞こえるようになりました。

ルンメニゲ:昔からそうだったが、スタジアムに観客がいたから聞こえなかっただけだね。私はサッカーと共に、そしてサッカーのために生きており、このチームを愛している。とはいえ、ミスすると批判的なことを言ってしまうこともあるし、口笛を吹くのが苦手なため、大声で叫ぶこともあるよ。

SPORT1:CEOとして、これが最後の一年になりますが、さらなる大型移籍の成立を夢見ていますか?

ルンメニゲ:コロナは全世界、そしてサッカー界に甚大なダメージを与えた。このような厳しい状況下でも、FCバイエルンは比較的健全な経営状態にある。しかし、ある種の金銭的な高騰に陥っており、例えば、現在のムバッペやネイマールと契約できるとは思えない。また、1シーズンで5つや6つもタイトルを獲得すれば、移籍市場ではもう少し冷静に、財政面もやや安心感が生まれるということは頭に置いておきたいね。

アラバの引退試合は?「開催するのなら、それは彼が...」

SPORT1:選手の話をさせてください。ダヴィド・アラバはいつか引退試合をすることになりますか?開催する方向で何か動いていたりしますか?

ルンメニゲ:彼がここでキャリアを終えるのなら、引退試合をするかもしれない。最近、レアル・マドリード移籍の噂が出てきた時に、彼がオフィスにエスプレッソを飲みに来てくれた。FCバイエルンとダヴィド・アラバとの関係は全く問題ない。彼には、こう伝えたよ。FCバイエルンでの最後の日まで真摯でフェアな扱いをするつもりだということ、そして、FCバイエルンでの最後の試合でまた観客が戻ってくるよう願っている、と。というのも、ファンの前で彼を送り出してあげたいからだ。こうしたテーマを真剣に考えるというのは、常に私たちにとって重要なことだ。彼は13年近く前に私たちのところへやって来てから、クラブのために常に最高のパフォーマンスを披露し続けてくれた。FCバイエルンには、彼にお別れの挨拶をする義務がある。

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SPORT1: ジェローム・ボアテングは、現在ドイツで最も好調なセンターバックと言えるでしょうか?

ルンメニゲ:彼は間違いなく満足のいくシーズンを送っている。(ヨアヒム・レーヴ)代表監督は先週の土曜日、私のやや左側に座って観戦していた。ホッフェンハイム戦で決めたゴールのみならず、ボアテングが非常に安定し堅実なシーズンを我々と共に過ごしているということも知ってもらえたはずだ。

原因はウパメカノ?FCバイエルンがボアテングの契約延長を躊躇する理由

SPORT1:ダヨ・ウパメカノなど、まだ移籍が決まらないことが原因なのでしょうか。ボアテングの去就がなかなか決まらない理由は?

ルンメニゲ:30歳を超えた選手たちに対しては、我慢をお願いするのが通例になっている。たとえ契約満了が近づいてもだ。ジェロームもそれは分かっており、待ってくれている。そして、然るべき時期に話し合いの場を設け、彼と一緒に決めることになるだろう。今はまだ終わらせるべき宿題が残っている。それが片付き、明確な結果が見えたら、次のステップに進むことになる。

SPORT1:レオン・ゴレツカについて、契約延長で長期契約を結べると楽観視していますか?

ルンメニゲ:1年前、レオンは私のオフィスに来て、FCバイエルンにとって重要な選手になりたいと言ってきた。そして、私はこう尋ねた。「何かその妨げになるものはあるのか?」と。そうすると、彼はこう答えた。「何もない!」と。「それならば、是非そうなってくれ」と、私は返した。実際、2020年に彼は、FCバイエルンのキープレイヤーと呼ぶに相応しい存在になるための大きな飛躍を遂げた。キミッヒとゴレツカのコンビは、私が知っている中でも最高の組み合わせの一つだ。ドイツ国内だけでなく、国際的に見てもだ。また、彼が見事な成長を見せたもう一つの分野、道徳的な共感という分野に関して、このコロナの時代、人々のクラブに対する期待を彼が理解していると願っている。それについて隠しだてはしない。何でも一緒にできるというわけではないし、ここは選手の理解も必要な分野だね。

SPORT1:コロナの影響で、本当に大型契約の時代は終わったのでしょうか?

ルンメニゲ:基本的に、プロサッカー選手の報酬はこれまで常に過大評価を受けてきたと言わざるを得ない。特にここ10年間、移籍金のほか給与も飛躍的に増加を続けてきた。コロナにより、今後は間違いなく下方修正を余儀なくされることだろう。

ルンメニゲ社長は、ジューレとゴレツカの契約延長を望む

SPORT1:2022年に契約満了となる選手として、ゴレツカとニクラス・ジューレがいますね。この2選手のうち、どちらを先に延長しますか?

ルンメニゲ:両選手とも適正かつフェアな解決策を見い出せることを期待している。FCバイエルンの目標は、常に良い選手を維持することだ。

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SPORT1:FCバイエルンは、今夏にコランタン・トリッソのような選手を売却して収益を上げる必要があるのでしょうか?彼との契約も2022年に切れますね。

ルンメニゲ:チーム編成においては、現在と未来の両方を考えることが重要だ。私たち全員の思いは、少なくとも現状のクオリティを維持、もしくは理想的としてはさらに向上を図ることだ。しかし、現時点では、きちんとした予想は難しい。トリッソは今夏で残り契約は1年。彼とは契約を延長するか、もしくは別の選択肢を探るかの2択だ。この2つの選択肢がテーブルの上にある。どちらがどうとは断言できない。

SPORT1:ドイツかイングランドか。ジャマル・ムシアラの決断はどちらに期待しますか?

ルンメニゲ:今はジャマルとの契約を長期的に延長することを優先している。この契約延長は、ドイツ代表にとっても有利になる可能性もあるだろう。

▼元記事
https://www.sport1.de/fussball/bundesliga/2021/02/fc-bayern-karl-heinz-rummenigge-ueber-bierhoff-loew-flick-zukunft


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