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[独占インタビュー] ウルライヒ、移籍の裏側を語る

ドイツ・SPORT1の独占インタビューで、彼は、自身の移籍の理由、新天地HSVでの意気込み、長年務めたノイアーの控えという立場、そして後任アレクサンダー・ニューベルについて語った。

— 以下、翻訳 (インタビュー記事全文)

SPORT1:ウルライヒさん、(北ドイツの方言)「モイン」という挨拶にはもう慣れましたか?

ウルライヒ : そうだね。でもたまに、(南ドイツ方言の挨拶)「セルヴス」とつい間違えて言ってしまうことがある。そのせいで、僕はすでに何人かからビンタを食らったよ。(笑)

SPORT1:ご自身のデビュー戦となった、木曜日に行われたテストマッチ、(デンマーク1部) FCフレデリシア戦で4対3の勝利を収めました。満足していますか?

ウルライヒ:失点を抑えるためにまだ取り組むべきことはあるが、ピッチに立つことができて楽しかった。選手たちのサッカーレベルは非常に高い。ただボールを前に蹴るのではなく、そこには走ってくれる選手たちがいた。嬉しかったね。良いスタートが切れたよ。

SPORT1:でも、まだあまり上手く進んでいないこともあるということですね?

ウルライヒ:あとは住居が見つかれば、すべてのことが絶対にポジティブに進むだろう。今はまだホテル住まいだ。一日も早く家族をこちらへ連れてきたいと考えている。僕にとって、家族は絶対的に大切な存在だからね。

SPORT1:ハンブルガーSVへ移籍の理由は?

ウルライヒ:ここでの仕事に魅力を感じたためだね。その数週間前から、HSVとはコンタクトを取っていた。ハンブルクは僕にとって常に目を引く存在だった。今、ここにいられることが幸せだよ。

SPORT1:2部リーグのクラブへ移籍ということで、あなたにとってステップダウンとはならないですか?

ウルライヒ:いや、僕にとって決してステップダウンではない。ここでさらに自分を成長させることができると考えているし、僕はチームの目標達成に向けた力になりたい。ここには良い雰囲気があるし、選手たちもそれを分かっている。それでも、しっかりと僕らは頑張らないといけないね。そしてその姿勢を若い選手たちへと伝えていくつもりだ。2部リーグでは、努力せずに何かが手に入るなんてことはあり得ないからね。

SPORT1:これからあなたはHSVの一員ですか?

ウルライヒ: 僕は出場機会を求めてここへ来たんだ。そうなることを願っているよ。

SPORT1:あなたを勧誘したのは誰になりますか?

ウルライヒ:ミヒャエル・ムッツェル氏やヨナス・ボルト氏(ともにスポーツディレクター)との話し合いは素晴らしかった。すぐに彼らのプロジェクトに確信を持ったよ。ぜひ僕もその一員になりたいと思ったね。

SPORT1:GKコーチの存在も重要だったのでしょうか?

ウルライヒ:僕はあらゆることを勘案している。ダニエル・ティウネ監督のゲーム戦術について、僕は確信を持った。しかし、僕らのGKコーチであるカイ・ラーベ氏がどのような仕事をする人物で、どのような性格なのか、周りの人々にも尋ねていた。僕らはお互いをよく理解し合い、補完し合うことになるだろうからね。

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SPORT1:これからあなたは、ブンデスリーガ2部のスター選手でしょうか?

ウルライヒ: いや、僕はスターの気品なんて持ち合わせていないよ。ここでは、試合に出て成功を掴みたいだけなんだ。FCバイエルンの選手がやって来るのだから、違う見方をする人がいるかもしれないね。でも、僕は全く望んでいない。とても控え目で、チームのために尽くす人間だ。

SPORT1:(シュツットガルト時代にともにプレーした) 友人のクリスティアン・トレーシュ氏は、あなたをすでに2部リーグで最高のゴールキーパーだと評しています。

ウルライヒ:彼は偉大なサッカー選手であり、僕にとっては良き友人なので、彼がそう言ってくれているのは嬉しい。これから数ヶ月で、僕はそれを証明していきたいね。

SPORT1:2012年、HSVの選手パオロ・ゲレーロが、コーナー付近で背後からあなたに危険なタックルを仕掛けました。当時のことは、まだよく覚えていますか?

ウルライヒ:このクラブのメディア部門は、僕の選手紹介として面白いビデオを制作してくれたんだ。そこには、あのシーンも映っている。幸いなことに当時は何事もなかった。その後、パオロとはよく話したので、これはもう終わった話だ。しかし、僕の中にずっと残る名場面の一つでもあるよ。

SPORT1:背番号26を選んだ理由は何ですか?

ウルライヒ:背番号1は、ダニエル(GKのホイヤー・フェルナンデス)が持っているため、どの背番号が空いているか聞いてみた。FCバイエルンでは、アルトゥーロ・ビダルに背番号23を渡して以降、26を背負い、良い瞬間を経験していたので、HSVでも背番号は26がいいと思ったんだ。


SPORT1:あなたは、2019年6月にドイツ代表チームに招集されましたね。今でも、初の国際試合出場を夢見ていますか?

ウルライヒ:いや、全く考えていない。今は頭の中に代表チームのイメージは持っておらず、ハンブルクで再び集中したいと思っている。でも、当時は自分の活躍が認められ招集されたので、とても嬉しかったのを覚えているよ。

SPORT1:ジェローム・ボアテングは、2007年から2010年の間、ハンブルガーSVでプレーしていました。彼にHSV移籍のことは話しましたか?

ウルライヒ:ああ、話したよ。でも途中で、HSVへの移籍話が頓挫しかけていた。しかしそんな時、彼はすぐにこう言った。「おお、ハンブルクならとにかくお勧めできるんだけどな」と。

SPORT1:FCバイエルン退団は、あなたの意向なのか、それともそうせざるを得なかったのか。どちらでしょうか?バイエルンでの契約は2021年で終了でしたね。

ウルライヒ:僕の意向だね。アレクサンダー・ニューベルを獲得したバイエルンは、将来を見据えたゴールキーパーとして、彼を考えている。しかし、彼の移籍に関わらず、さらに1年間ベンチに座っていたとしても、レギュラーの座を掴むのは難しく、満足できていなかっただろうと思うよ。

SPORT1:退団は悲しいですか?

ウルライヒ:悲しい気持ちがある一方、もう一方では、この半年間で僕はここを離れたい気持ちも芽生えていた。こうした新たなチャレンジを求めていたし、ハンブルクへの移籍はもう期待していなかったこともあり、なんとか実現して嬉しいよ。

SPORT1:元チームメイトたちとのお別れはできましたか?

ウルライヒ : 残念ながら、まだ僕個人としてはできていないね。でも、ミュンヘンに戻ったら、その埋め合わせをするつもりだ。誰もが僕にメッセージを書いてくれた。みんな僕が去り寂しく思っていることや、今後の成功を願うとともに、このステップを理解しているといった内容だね。


SPORT1:あなたは、バイエルンのファンにも人気がありました。

ウルライヒ:それは僕にとって大変意味のあることだし、もちろん僕自身もその人気には気づいていた。特にソーシャルメディアやファンレターはそうだね。本物であることや、自分の心血を注ぐことが大切だ。全力を尽くせば、ファンはそれに気づいてくれる。

SPORT1:だから幾度となくベンチから大声を出したり、時にイエローカードまでもらっていたということですか?

ウルライヒ:僕はこれまで、人生の中でどのような課題に取り組む時も、常に心と魂を込めてきた。No.2のキーパーとしての最後の数年間は、全力で、心を込めて戦いたいと思っていた。時にやりすぎたこともあったけれど、とても忠誠心を持っていた。ピッチに立てない時は、外からチームを鼓舞したいと考えていた。でも、だからといって、誰かに何かを求めていたわけではない。チームのために自分が何か役に立ちたい、ただそれだけだった。

SPORT1:バイエルンに在籍した5年間で、あなたは14個のタイトルを獲得しましたね。どのタイトルが最も印象的でしたか?

ウルライヒ:2017/18シーズンのブンデスリーガだね。 丸1年間に渡ってプレーすることができたので、自分にとって、これは本当の意味でのタイトルだったと言える。また、チャンピオンズリーグの優勝は、チームにとって至高の喜びだった。いつまでも最高の思い出だね。

SPORT1:No.2のキーパーであるがゆえに、チームを応援することが難しいと感じる場面はありましたか?

ウルライヒ:そうだね、つらい日々もあったよ。あるメンバーは、チームの成功や雰囲気づくりに多くの貢献をしている。しかし、その一方で、試合に勝っても自分がピッチに立てないと、涙が溢れそうな時もあった。悲しくなるよ。ここ数ヶ月で、またもっと多くの経験を積みたい、楽しみを感じたいと思うようになった。ピッチに立つ、それが僕に足りないものだっだ。これこそが、僕が移籍することにした理由だよ。

SPORT1:マヌエル・ノイアーから学んだことは何ですか?

ウルライヒ:多くのことを学んだよ。彼の動きは素晴らしいね。トニ・タパロヴィッチ氏(GKコーチ)からも、僕は多くのことを学んだ。ミュンヘンでの数年を経て、僕は以前とは違うゴールキーパーへと変わった。マヌエルとは素晴らしい関係だった。距離はあるが、きっとその関係は今後も続いていくことだろう。彼は素晴らしい人柄を持ち、ゴールキーパーとしても優秀な選手だ。


SPORT1:ここ数ヶ月間、彼があなたを何度も公の場で褒めていたのは、良いことだったのでしょうか?

ウルライヒ: 世界最高のゴールキーパーがこのように僕のことを語り、僕の強さを認めてくれたことは名誉なことであり、特別なことだ。ゴールキーパーの仲間たちとは、常に良い関係を築いていた。ここハンブルクでも、ダニエルとトム(・ミケル)とともに、そういう関係でいたいと思っている。

SPORT1:どのようにその関係は構築できているのですか?

ウルライヒ:誰もが己の最高のパフォーマンスを発揮するために、自分自身を高めることが重要だね。トレーニングでも楽しく一緒に笑えるなら、なお良いね。また、ピッチの外でも一緒に何かをすることは、ゴールキーパー同士の絆にとってプラスに働くと思う。

SPORT1:あなたにとって特別な、思い出に残るバイエルンの監督は?

ウルライヒ:僕は何人かの監督を経験しているので、それぞれ違う見方をする必要があるね。戦術的には、ペップ・グアルディオラが今のところ最高だ。リーダーシップという意味では、ユップ・ハインケスとハンジ・フリックだった。彼らはチームを本当にうまく指揮していた。それに彼らは、優れた戦術眼も持ち合わせていたね。

SPORT1:ハンジ・フリックとの関係はどうでしたか?

ウルライヒ: 非常に良い。よく話しかけてくれたり、傍に来てくれたりもした。年齢のせいか、物事の見方や、今後どうしていきたいのかを聞かれたね。僕らは互いに、いつもオープンで率直に接していた。試合には出ていなくても、チームのために尽くしていることを認めてもらえてよかった。それは良いサインだね。


SPORT1:あなたや他のゴールキーパーたちがアレクサンダー・ニューベルの移籍を知ったのは、今年初めにドーハ(でのトレーニングキャンプ)へ向かう飛行機の中でのことでした。ハサン・サリハミジッチがあなたに伝えたそうですね。その時、あなたはどう思いましたか?

ウルライヒ:この移籍があるかもしれないという噂は、以前から何度か耳にしていた。そして、移動の飛行機の中でようやく彼の移籍を知らされたというのは事実で、それとほぼ同時期に移籍が正式に発表された。他にやり方はあったんじゃないかとも思うけどね。もちろんその時はショックを受けたけれど、これを機に、今までずっと考えていたこと、つまり「また試合に出たい」という思いを実行に移そうと意識するようになっていった。

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SPORT1:ニューベルはいつかFCバイエルンのトップ選手になると思いますか?

ウルライヒ:アレックスは才能あるゴールキーパーだ。もちろん、彼はまださらなる成長が必要である一方、ここ数年はブンデスリーガでの経験をあまり積めていないね。しかし、トニ・タパロヴィッチ氏(GKコーチ)という専門家が側について指導することで、彼はさらなる一歩を踏み出すことができるだろう。これまで僕がそうだったようにね。結局それで良かったのかどうか判断するのは好きではない。

SPORT1:2015年にあなたはVfBシュツットガルトの正GKとして、バイエルンへ移籍しましたね。今回のニューベルの移籍と類似点などはありますか?

ウルライヒ: 似ているところもあるが、僕が当時FCバイエルンに移籍した時は、すでにブンデスリーガで150試合の出場経験があり、年齢ももう少し上で、ヨーロッパリーグでも何試合かプレーしていた。シュツットガルトでの時間はとても充実していたほか、次のステップに進みたいという思いもあった。正直なところ、これほど長くFCバイエルンでNo.2のキーパーを務めることになるとは思っていなかったけれどね。当初の僕の考えでは、1〜2年でいいからNo.2のキーパーになりたいと思っていた。それから、2017/18シーズンは中足骨の骨折でマヌエルが長期離脱を強いられたために、僕は多くの出場機会を得た。だから、僕は残留を決めた。僕にとってあの時期は、たくさんの経験ができた充実した時間だった。またFCバイエルンに移籍したいね。

SPORT1:もし今シーズンも残留していたら、ノイアーに次ぐ2番手の座を守っていたと思いますか?

ウルライヒ:もはやその質問は意味を為さない。僕は今、HSVで幸せだ。ミュンヘンでは、自分のできるパフォーマンスをずっと示してきたし、自分自身を責めることはできない。最初の数試合でも、僕は当日メンバーに入っていたね。FCバイエルンでの素敵な思い出は、いつまでも忘れることはないだろう。

▼元記事
https://m.sport1.de/fussball/2-bundesliga/2020/10/sven-ulreich-ueber-hsv-fc-bayern-und-alexander-nuebel

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