マンション標準管理規約 第72条(規約原本等)

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2024年6月7日改正(条文修正、コメント部分②追加)
2021年6月22日改正


条文

〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
(規約原本等)
第72条 この規約を証するため、区分所有者全員が署名した規約を1通作成し、これを規約原本とする。
2 規約原本は、理事長が保管し、区分所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、規約原本の閲覧をさせなければならない。
3 規約が規約原本の内容から総会決議により変更されているときは、理事長は、1通の書面に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載し、署名した上で、この書面を保管する。
4 区分所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、理事長は、規約原本、規約変更を決議した総会の議事録及び現に有効な規約の内容を記載した書面(以下「規約原本等」という。)並びに現に有効な第18条に基づく使用細則及び第70条に基づく細則その他の細則の内容を記載した書面(以下「細則内容書面」という。)の閲覧をさせなければならない。
5 第2項及び前項の場合において、理事長は、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
6 理事長は、所定の掲示場所に、規約原本等及び細則内容書面の保管場所を掲示しなければならない。

(イ)電磁的方法が利用可能な場合
(規約原本等)
第72条 この規約を証するため、区分所有者全員が書面に署名又は電磁的記録に電子署名した規約を1通作成し、これを規約原本とする。
2 規約原本は、理事長が保管し、区分所有者又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があったときは、規約原本の閲覧をさせなければならない。
3 規約が規約原本の内容から総会決議により変更されているときは、理事長は、1通の書面又は電磁的記録に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載又は記録し、署名又は電子署名した上で、この書面又は電磁的記録を保管する。
4 区分所有者又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があったときは、理事長は、規約原本、規約変更を決議した総会の議事録及び現に有効な規約の内容を記載した書面又は記録した電磁的記録(以下「規約原本等」という。)並びに現に有効な第18条に基づく使用細則及び第70条に基づく細則その他の細則の内容を記載した書面又は記録した電磁的記録(以下「細則内容書面」という。)の閲覧をさせなければならない。
5 第2項及び前項の場合において、理事長は、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
6 理事長は、所定の掲示場所に、規約原本等及び細則内容書面の保管場所を掲示しなければならない。
7 電磁的記録により作成された規約原本等及び細則内容書面の閲覧については、第49条第5項に定める議事録の閲覧及び提供に関する規定を準用する。

コメント

コメント第72条関係
① 区分所有者全員が署名した規約がない場合には、分譲時の規約案及び分譲時の区分所有者全員の規約案に対する同意を証する書面又は初めて規約を設定した際の総会の議事録が、規約原本の機能を果たすこととなる。
② 第3項で定める書面については、次のような作成方法が考えられる。
 ア)規約原本とは別に、変更内容を反映した冊子を作成し、理事長が署名する方法
 イ)規約原本に、変更内容及び理事長の署名を記載した書面を添付する方法
   なお、現在有効な規約内容の一覧性の確保や閲覧をする際の利便性を考慮して、ア)の方法により作成することが望ましい。
② 第4項では、第18条に基づく使用細則及び第70条に基づく細則その他の細則についても、規約原本等と同じ手続で閲覧等を認めることを明確に定めた。

解説

 第1項は、規約原本の定めであるが、標準管理規約では、『区分所有者全員が署名した規約』1通が規約原本になると規定している。しかしながら、分譲業者が作成した規約(いわゆる原始規約)に購入予定者それぞれが同意する書面に署名したのを分譲業者に渡すケースが多い。このような販売方法の時は、区分所有者全員分の同意書を添付した原始規約が規約原本になる。この時は第1項をコメント内にある「区分所有者全員の規約案に対する同意を証する書面」を添えた規約が規約原本になると書き換えなくてはならない。第1項は実情に合わせること。

参照条文等

区分所有法 第31条(規約の設定、変更及び廃止)
 規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。

区分所有法 第45条(書面又は電磁的方法による決議)
2 この法律又は規約により集会において決議すべきものとされた事項については、区分所有者全員の書面又は電磁的方法による合意があつたときは、書面又は電磁的方法による決議があつたものとみなす。

区分所有法 第33条(規約の保管及び閲覧)
 規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。
2 前項の規定により規約を保管する者は、利害関係人の請求があつたときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧(規約が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの当該規約の保管場所における閲覧)を拒んではならない。
3 規約の保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。

標準管理規約 第49条
5 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があったときは、議事録の閲覧(議事録が電磁的記録で
作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を紙面又は出力装置の映像面に表示する方法により表示したものの当該議事録の保管場所における閲覧をいう。)をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。

標準管理規約 第64条
3 理事長は、第49条第3項(第53条第4項において準用される場合を含む。)、本条第1項及び第2項並びに第72条第2項及び第4項の規定により閲覧の対象とされる管理組合の財務・管理に関する情報については、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求に基づき、当該請求をした者が求める情報を記入した書面を交付することができる。

標準管理規約 第18条(使用細則)
 対象物件の使用については、別に使用細則を定めるものとする。

標準管理規約 第70条(細則)
 総会及び理事会の運営、会計処理、管理組合への届出事項等については、別に細則を定めることができる。

標準管理規約 第37条(役員の誠実義務等)
 役員は、法令、規約及び使用細則その他細則(以下「使用細則等」という。)並びに総会及び理事会の決議に従い、組合員のため、誠実にその職務を遂行するものとする。

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